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思いつき悪役令嬢短編

二度転生したSSSランクのおっさん冒険者は悪役令嬢に憧れて

作者: マッチ売りのおじさん


 世界最高難易度ダンジョン・グランドキャニオン


 最下層までたどり着いた者は、どんな願いでも叶える事が出来るという。



 そして今、一人の冒険者がたどり着いた。二度転生したSSSランクの冒険者おっさんだ。


「ここが最下層か。ダンジョンよ、俺の願いを叶えろ!」


 ダンジョンが二度転生したSSSランク冒険者おっさんの声に呼応するように、地響きが続く。ダンジョンの壁が人の顔に変化する。


『願いを聞こう』


 石であるはずの口の動きは堅さなど微塵も感じさせない。水分で構成されているかのように滑らかに動いた。


 そして二度転生したSSSランク冒険者おっさんは願いを口にする。



「俺を若返らせろ」



 二度転生したSSSランク冒険者おっさんは昔から憧れている人がいる。


 転生前にやっていた乙女ゲーム『レッド・クリムゾン』の悪役令嬢だ。


 悪役令嬢フレアは第一王子との婚約者であるが相思相愛だった。しかし主人公のマリアは王子の心をフレアから奪い取ってしまう。


 どうにか自分に振り向いて貰おうと王子の為に頑張る。しかしマリアの介入により、ことごとく失敗。


 マリアが邪魔だと気付き、最初は嫌がらせと呼べるぐらいの小さい事でいじめを始める。


 しかし、何事にも動じないマリアは逆に利用して王子の心をガッツリ掴む。


 そして行為はやがてエスカレート。直接マリアに抗議する。そこに王子という目撃者。


 そして婚約破棄を告げられるフレア。王子と自分の人生に絶望し、魔王となる。そして魔物を率いて王国を攻めるフレア。いや魔王レッド・クリムゾン。


 王子はマリアを庇い重症を負う。そして力が覚醒する聖女マリア。魔王レッド・クリムゾンを討ち果たしたマリアは王子と幸せに暮らしました。


 とても酷い話だ。


 フレアは王子を愛していただけというのに。


 好きな男の為に愛されようとする努力。避けられても一途に愛し続ける。


 その姿に憧れを抱くには間違っているだろうか?いや間違っていない。


 転生前ただのおっさんはこのゲームを何度もプレイした。フレアは俺の嫁と豪語するほどだった。


 続編である『レッド・クリムゾン2』プレイ中に心臓発作からの神の手違いによる異世界転生チートで一度目の転生という悲劇が起きた。


 転生してから何十年経とうと、乙女ゲームの続きが気になって仕方無かった。


 一度転生したSSSランク賢者おっさんだった時に、もう一度人生をやり直そうとして開発した転生魔法『Re:born』を使った。


 誤算は乙女ゲームに酷似した世界を指定したのに転生前と同じ世界だった事。


 そして二度転生したSSSランク冒険者おっさんへと成長した。前世は何故失敗したのかを考え調査した結果。この世界が乙女ゲームと似た世界である事が判明。


 フレアはこの世界にいる。全力で探した結果。そろそろ学園に入学する頃だった。転生では間に合わない。



 そしてダンジョンにやって来た。



『……それだけでいいのか?不老不死、一生使いきれないほどの金銀財宝、ハーレム、何でもいいぞ?』


「ああ、若返らせてくれ」


『……では行くぞ!若返れー!』




「おお、若返ったのか?背が小さいな。やけに声が高い。……胸が……あるな?おい!?」


 二度転生したSSSランク冒険者おっさんは少女へと変化した。


『おや、間違ったかな?では去らばだ』


 二度転生したSSSランク冒険者元おっさんは元の壁へと戻るダンジョンを睨み付ける。


 しかし、女なら婚約者のいる女性に近づいてもおかしく無いのでは?と、二度転生したSSSランク冒険者元おっさんは思う。


「これはこれでアリだな!待っていろフレア。俺がお前を幸せにして見せる!フハハハハっ!」


 二度転生したSSSランク冒険者元おっさんは少女の姿で高笑いをする。そして学園へと向けて歩き出した。




 この物語は二度転生したSSSランク冒険者元おっさんがチート能力を活かしてフレアと面白可笑しくマリアと学園でバトる、一大叙情詩である。





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― 新着の感想 ―
[一言] 新しいです❗️ 偶然、『二度転生したら~』で検索、短編だったので読んだら…とても面白かったです✨ 続きが無いのが残念(何でないの~涙)ですが、妄想が暴走するくらい楽しませて頂きました♪ …
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