表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/26

六話

俺は帰りの馬車の中で

勇者軍の事について聞いていた。


勇者軍は昨日魔王軍と

最終交戦に入ったそうだ

数いる兵士の人たちは勇者達を

魔王の下まで届ける道を作り

勇者一行はその道を通り

魔王の下までたどり着く

魔王との戦闘は半日にも

渡り続きそしてつい一時間前

魔王を屠ったそうだ。


龍王も魔王と共に戦闘をしていたのだが

魔王が敗れる直前、魔王と短い話をして

龍王は戦闘を離脱したそうだ。

その際、勇者が逃がすまいと追撃をして

ダメージを負わせたが撃破とまでは

行かず逃がしてしまったそうだ。


魔王は龍王と共闘して勇者一行と

戦力が拮抗していたが龍王が

いなくなってそのパワーバランスも

崩れてその数十分後敗れたそうだ。


その時の戦力差は

魔王と龍王が二人きりに対して


勇者一行は勇者本人、騎士団長と

その部下5名、聖女含めるヒーラー

3名、賢者と魔法部隊延べ7名の

合計17名で挑んでいた。

このパーティー全員が

精鋭揃えの人類最強の集団であった。


その事から魔王と龍王が

どれほどの化け物だったかというのが

分かる。

本来であればここでそんなのが

倒されてよかったと

思うべきなのだろうが

なぜだか俺はそんな気になれなかった。


そんなどこかスッキリしない

感情のまま俺は村についた。


家に帰ると神妙な顔をした

両親がいた。

一体何事かと聞くと

リュウヤが一人で来ている

そうだ。それもどことなく元気が

無かったそうだ。


両親はリュウヤを俺の部屋に

通したそうなので俺は速足で

部屋に向かった。


扉を開ける際なぜかうまく扉を

開ける事が出来なかった。

俺は自分の手を見ると

そこには震えていて

全く力が入らない自分の

手があった。


俺が何とか震えを抑えようと

していると中から扉が開けられた。


そこに立っていたのは

顔面蒼白の今にも生命の灯が付きそうな

リュウヤが立っていた。


リュウヤは俺の顔を見るなり

どこか安堵したような顔をした。


その顔は俺をものすごく

不安に駆り立てるものだった。


「シード君どうしたんですか

 そんな不安そうな顔をして。」


「それはこっちのセリフだ。

 リュウヤ大丈夫なのか

 ものすごく顔色が悪いけど。」


「ええその話を踏まえて

 中で話しましょうか。」


「そこ俺の部屋だけどな...。」


俺がそう返すとリュウヤは

少し微笑み中に入っていった。

俺はその後に続いて言った。


「さて何から話しましょうか。」


「それなら俺から聞かせてもらう。

 まずオーマはどうした。

 一緒じゃないのか?」


「...そうですね、まず初めに

 オーマについて話しますか。

 結論から言いますと

 オーマは無くなりました。」


「.....え。」


俺は最初何を言われたか

分からなかった。


オーマが死んだ?


あの死んでも死ななそうなオーマが?


「その顔は信じられないという

 顔ですね。しかし、事実です。

 オーマは勇者の手によって

 倒されました。」


「...は?

 なんでここで勇者が出てくるんだよ?」


俺はリュウヤにこんな問いをしたが

頭では分かっていた。


「あなたも気づいているのでしょう?

 私とオーマの正体を。」


リュウヤにそう聞かれるが

何とか反対しようと考えていた。


オーマが魔王でリュウヤが龍王だって事を。


反論しようと考えれば考えるほど

確たる証拠が思い浮かんでくる。


まず出会いだ。

オーマ達との出会いは

約二年前それは今思うとサラが

賢者のスキルに目覚めた時に合わさる。


オーマ達は恐らく賢者のサラの

力を見に来たのだろう。

それも部下たちには内緒で。


オーマ達は性格上危険が未知数な

所には自分の身内をあまり送りこまない。

むしろ自分から行って危険度を確認してから

送り込むようなタイプだろう。


だからあの時も二人だけできたのだろう。

そうじゃなくちゃ凄腕の冒険者が

あんな所で腹が減って動けなくなる事は

ありえないだろう。


強さの面で言ってしまえば

二人の強さと身元だ。


オーマ達は確かに人間の

冒険者ギルドに登録している。

しかし、その記録内容を

特別に見せて貰った事がある。

これは二人を疑っていたわけではなく、

単に興味からだ。


そしたら色々おかしな点があった。

それをギルド長に遠回しに聞いたが

どこかおかしな点はあるかと

返された。暗示かなにかでそう

認識させられている事がわかる。


強さだってそうだ。

オーマの剣術は素人が見ても

素晴らしい物だ。

だけどそれを習得するには

恐らく何十年も時が必要だろう。

俺だってまだ剣術の十分の一だって

取得出来てない。

それをあの年で取得するのは

無理だというのが

稽古をつけて貰ってよく分った。


それにリュウヤだっておかしい

本来回復魔法は

斬り飛ばされた腕や足が

瞬時に治るなんて事はありえない。

それは賢者だって聖女だって無理だ。

それをリュウヤはやってのけた。

しかも何食わぬ顔で

そんな事ができるのは

古代の英知を持っている

龍王だけだろう。


それに二人とも

名前に出すぎだし何だよ

オーマってこんなの

マオウのアナグラムじゃねえか

リュウヤだってそうだ

今は龍が恐れられている

時代なのにわざわざ龍なんて

言葉を名前になんて使わないだろう。


そして決定的なのは

軍を動かすといった発言だ。

ここまでの思考でオーマ達が

魔王であることはほぼ確定だろう

そこに軍を動かせるという

発現だ。オーマは基本何も

考えずにただ思った事を

口にしたのだろう。

だからこそそれが実現可能な

事だというのがわかってしまい

予想が確信に変わってしまった

その瞬間だった。


「リュウヤは....」


「はい」


「リュウヤは大丈夫なのか?」


俺は確認しなくてはいけなかった。


オーマとリュウヤが魔王と龍王で

あるならあの話オーマが勇者に

討たれてリュウヤは致命傷を

受けているという事を

確認しなければならない。


「その質問からするに

 気が付いているのですね。」


「いいから答えてくれ。」


「そうですね。

 正直に言うと私はもう

 長くありません。」


「!?」


俺は一番聞きたくない言葉を

一番聞きたくない相手から

聞かされた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ