五話
一晩ゆっくり眠って翌日
俺はサラを祝福する為の準備に
取り掛かった。
まずきちんと確かめていなかった
勇者とサラの事を調べた。
俺は近くの町にいる情報屋に
探らせた。そしたら案の定
噂は真実で事をなしたのも
一度や二度ではないとのことだ。
俺はその情報を元に
俺とサラの両親の説得を行った。
サラが勇者に惚れていて一線を
超えるような仲になっている事を
話すと俺の両親は放心し、
サラの両親は激怒した。
俺はサラの両親に情報屋の
まとめた資料を渡した。
最初こんなのは出鱈目だと
言っていたが俺との手紙を
見せると表情は一辺
母親の方は泣きだしてしまった。
サラの父親は俺にどうするつもりかと
聞いてきたので祝福する旨を伝えると
一瞬目をこれでもかと見開き
そして次いで俺に謝罪してきた。
俺の両親は何も言わず
ただ一言
「お前の自由にしろ後始末には
私たちも協力する」
と申し出てくれた。
サラの両親が落ち着くのを
待ってから二人に
「勇者とサラがこの家に結婚の許しを
貰いに来たら許してやって下さい。
俺との婚約はだいぶ前に解消され
その事を気にすることはない事を
伝えたうえで。」
サラの両親両親はそれでは俺が悪者に
なる恐れがあるのではと聞いてきたが
「それは俺に対する罰です。
なので甘んじて受けます。
父さん達には迷惑かけるかも
しれない。だから先に謝っておきます。
申し訳ありません。」
両親は気にするなと言ってくれました。
しかしサラの両親はそれでも納得が
いかないようだった。
「ならお二人にもお願いします。
もしもサラが帰ってきても
優しくしてあげてください。
さっきも言いましたが、
俺がこうなってしまった原因なのですから
サラは何も悪く無いのですから。
勇者との間を許して祝福してやってください。」
これはとてつもない酷い事だというのは
分かっている。しかし、これぐらいの
事を言わなければサラの両親は納得
しないだろう。
俺とサラの両親が納得して
両家族の家族会議が終わると
俺は王都に向かった。
俺が王都に着いて
向かった先は神殿だ。
ここに来たの理由は神官と話をするためだ。
俺が神官に会いたい旨を神殿の入り口にいた
シスターに告げると客室に通してくれた。
そこでしばらく待っていると、
あの時の神官がやってきた。
神官に勇者とサラの事で話しがあって
来たことを告げると顔がこわばった。
この神官どうやら勇者とサラの関係を
知っているようだった。
初め俺が勇者とサラが恋仲で事を
知っていると言った時、先ほど以上に
顔がこわばったが俺が二人を祝福する
事を伝えると一気に驚愕の顔に変わった。
神官になぜと聞かれると
今まで通りに説明をした。
説明を終えるとではなぜ今日ここに
来たのかを聞かれたので
俺はようやく本題に入った。
「俺が来た理由は一つです。
神殿の力を使って俺とサラが
婚約者関係だったことを
あれはデマで全くそんな
事実はないと流布してください。」
神官は再度驚愕した。
なぜそんな事ができるのか
やりようによっては勇者とサラを
陥れる事だってできるのにと
「俺はサラに幸せになってほしいんです。
きっと勇者はこちらに帰ってきたら
サラとの関係を大舞台の場で堂々と
宣言するでしょう。
その時、サラに婚約者がいたなんて
噂が流れたままなら二人にいらぬ
波風が立ってしまう。
だから今の内にそんな噂を潰して
おきたいのです。」
神官は
なぜあなたの婚約者と裏切った元婚約者の
為にその様な事ができるのかと聞いてきた。
「俺も最初は怒りもしました。
恨みもしました。だけど、
だけどやっぱりあいつが
サラが泣いている悲しんで
いるのを見たくないんです。
そして俺は魔王討伐にサラを
一人で送り出して悲しませてしまった。
そしてサラに笑顔を取り戻して
くれたのは勇者ブレイです。
あいつ手紙で言ってました。
ブレイがピンチになった私を
助けてくれたって。
ブレイが悲しんでいる私に
優しくしてくれたって。」
俺は泣きそうになってしまったので
一度息を整えた。
「だから俺は俺の罪の為に
あいつから身を引きます。
そうすることであいつが
笑顔のまま暮らせる
そう信じて。」
神官にそういうと
何も言わずただ任されたと
一言言って退出していった。
俺は客室から出て
家に帰ろうとした時なにやら
外が騒がしい事に気が付いた。
神殿をでて近くにいる人に
事情を聞いた。
「すみません。
この騒ぎは一体何なんですか?」
「ああなんだ知らないのかい
勇者軍が魔王を討伐したんだよ!!」
俺はなぜかは知らないが
とてつもない胸騒ぎがして
急いで帰路に付いた。