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22話

最終回じゃないよ!

「あなたさっきの話を聞いていたのではないのですか?」


わずかな沈黙の後クロカは呆れたようにしていた。

しかし当のウェルはそんな態度を全く気にしてした様子はなかった。


「聞いていたから聞いているんです~。

 それとも皆さんは~、さっきの~話を聞いてそう思わなかった

 のですか~?」

「そう思えないから聞いているのです。サラがシードという

 ことを思っているのはもはや必然です。それをなぜ今更

 そんな分かりきっている質問をするのですか!」


その通りだ。私はシードのことが好きだ。

気づくのが遅くなってしまったが私はシードのことを

愛している。そんなシードの敵を討って何でシードが

かわいそうなのか。

そんな私の心境を察しているかの様にウェルは続けた。


「確かにあなたは今シードという人を愛している様だ。

 それは間違いじゃない。しかし、シードの死の原因が

 勇者かと言われればそれは断じてNOだよ。」


ウェルは先ほどまでの間延びしたような話し方ではなくなっていた。

しかし私はそんなことは気にしなかった。


「シードの死んだ原因がブレイじゃないってどういうことですか。」

「言葉通りの意味さ、確かにシードは勇者にあなたを奪われて傷心旅行に

 出て死んだ。」

「なら――」

「けどそれだけだ。」

「!」

「別段勇者が刺客を送り込んだ訳でもなければ、変な言いがかりを

 つけてシード家族を追い込んではいない。シードはただ旅に出て

 そして運悪く死んだ。旅に出たきっかけに勇者が関わっているが

 それ以外は何も関わっていない。そんな勇者をシードの敵という

 大義名分で復讐するのはシードという男にこれ以上の汚名を着せる

 ことになるそう思っただけですね。」

「それがサラの気持ちと何の関係がある!」


今度は怒気をはらんだフレイの声が部屋に木霊する。


「もちろん先ほどの事と関係がありますよ。」

「なに?」

「先も申し上げたがサラはシードに惚れている。

 しかしそれは今魔王様に気づかされてだ。

 なぜそこまで言われなければ自分の思いに気が付かなかったのか?」


私は今かつてないほど震えていた。

それは答えに行き着いた者がその答えが間違っているぞと

言い負かされた時の痴態と絶望に染まった時のように。


「サラさんお聞きします。あなたとシードの婚約は

 いつ決まったことですか?」

「...私がまだ小さかった時に。私たちの了承はあったけど

 親たちが盛り上がってそのまま婚約という形になりました。」


今度はフレイたちが私の言葉を聞いて絶句していた。


「やはりですね。人間、いえ感情のある生物であれば気持ちが

 変わることだってあるでしょう。それが人生を大きく分ける

 ものであればなお一層考え心が揺れるでしょう。

 小さいときに決まった婚約関係だが本当にこれでいいのかと

 疑問に思いでもしたら相手がよっぽど尽くしてくれていなければ

 婚約関係というものがあっても当時の勇者の輝きには負けてしまうでしょう。

 手紙を送ったとしてもそれまで婚約関係ということに胡坐を

 掻いて何もしてない男ではその程度は悪あがきにもなっていない。

 それで相手を奪われてしまっても何も言えませんね。」


周りは私を含めてウェルの話を固唾をのんで聞いていた。

誰一人その言葉に口を挟まずただ黙って聞いていた。


「話がそれましたね。

 これらの事から考えられるのがサラさんあなたは元々

 シードを友達程度にしか考えていなかった。

 これはどんなに否定されようと覆りません。なぜなら、まだ婚約関係に

 あったにも関わらず勇者に体を赦していることとそのあとあっさり

 勇者と結婚していることから変えようがない事実です。

 だから私は魔王様に言われるまで気づけなかった、いや気持ちが

 変わったあなたの復讐の理由にシードという大義名分を使うのは

 ただシードという怠惰な男の名をさらに汚すことに他ならないこと

 だと思い先ほどの質問をしたりしてとめました。」


私はもう訳が分からなくなっていた。

いっそ死にたいとも思った。こんな赤の他人ばかりに気持ちを

見透かされてシードを好きだという気持ちも今できたものだと

諭されそれを違うと否定するのではなく肯定している自分がいる。


「....私は、一体、どうすれば」


私はこれから何を糧に生きればいい。

私は何をすればこんな生き地獄から抜けられる?

私は..

私は...

私は....


「どうすればも何も復讐すれば~あ、いいじゃ~あ~りませんか?」

「はっ?」


それは誰が発したのか自分かそれともここにいる誰かか


「私はあなたの復讐の理由に~シードという男を使うのは

 だ~めといいました~が復讐事態を否定していませんよ~?」

「ウェルお前何を言って...」

「だってそこなサラさんは~勇者に純潔をささげ結婚もしたのに、

 あっさりポイですよそれはもう立派な~復讐の理由になっていませんか?」


そう言うとウェルは私と魔王の間まで歩いてきて

私の前に手を出す。


「先ほど魔王様が言ったか忘れたので私が~改めて~いい~ま~す。

 私のこの手を取ればあなたが望む復讐をさせてあげましょう。

 しかしこの手を取ればあなたは今までの暮らしには戻れません。

 それでもこのあなたを破滅させる悪魔の手をあなたはつかみますか?」


私はつくづく軽く自分勝手な女だと嫌気がさした。

さっきはシードのための復讐といわれて手を差し伸べられた時

躊躇したのになぜか今は目の前にいるこの変な男の手を

何の疑いも躊躇もなく握れた。


「いいわ。誰かのためではなく私自身のために

 あなた達魔王軍に利用されてあげます。そのかわり私もあなた達を

 存分に利用させてもらいますからね?」

「え~え~じょ~と~で~す。」


ここから私だけの復讐が始まる。

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