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十七話

フレイはクロカからの話を聞いて

呆然としていた。


無理もない話である。

我身が傷つくことさえ

惜しまず女と生きる事を

諦め忠誠を誓った王。

肉親も両親。

そして愛されていると

思いこまされていた勇者。


一度にこれだけの人に裏切られれば

言葉を失い呆然とするのも無理もない。


一方サラの方は何かソワソワしていた。


「サラよ一体どうした。

 先ほどから落ち着きがないようだが?」


「魔王の前にいるのに落ち着ける方が

 おかしいでしょう。

 ....いえ失言でした申し訳ありません。」


サラは悪態の後に少し間を置き

素直に謝罪をした。


「よいそれより先の質問に答えよ。」


「分かりました。

 しかしお答えする前に一つ

 クロカ様にご質問があるのですが

 よろしいでしょうか?」


我はクロカの方を見て

無言でうなずく。


「いいでしょうなんでも聞いて

 ください。ただし答えるかどうかは

 保証しませんけど。」


「いえ、それで結構でございます。

 私の質問はただ一つその場に

 シード...私と同じくらいの

 年齢で冒険者をやっていそうな

 青年はいませんでしたか?」


「青年? いえそこにいた青年は

 勇者だけでしたよ。

 あとはじじいやババアしかいませんでしたよ?」


「そうですか。

 すみませんお手を煩わせました。」


「ふむそれは良いが、

 先ほど出てきたシードとは誰の事だ?

 先の説明で出てきた元婚約者の事か?」


「!?...その通りです。」


サラにシードの事を聞くと

ソワソワしていたものの

今まで一切動揺をあらわに

しなかった表情が一変

見るからにこわばった。


「サラよその者とのことを話せ。」

 

我がそう命令するとサラは首を横に振った。


「魔王...様のご命令でもそれはなにとぞ

 ご勘弁してもらえないでしょうか。」


サラは言うが早いかそのまま地面に

頭を伏せ懇願してきた。


「...クロカ例の魔法を二人にかけてくれ。」


「はい♪ 承知いたしました♪」


クロカはサラに近づくと

その手の甲に魔法をかけた。


「っ!?」


そしてすぐに横にいたフレイにも

同じ魔法をかけた。


「二人には奴隷の刻印をかけた。

 二人はもう我の奴隷だ。」


「なぜいきなりそんな!?」


「なぜ? おかしなことを聞く。

 貴様が我の質問に対し回答を拒否した。

 今の自分の立場を考えずにだ。

 拷問などして聞き出すほどの内容でもない

 だから手っ取り早く奴隷にして拒否できなく

 したのではないか。」


「く、それは。」


「さあ話してもらおうか

 貴様とシードとやらの間に

 何がありどんな思いを秘めていたのか。」


サラは抗おうとしたが

奴隷の刻印がほのかに光り

強制的に喋り始めてしまっていた。

最後の方はほぼ自分で喋っていたが

その顔は自分がしてきたことの羞恥からか

それともこのような事を奴隷にしてまで

聞き出した我に対する怒りによるものか

それは定かではないが顔を真っ赤に染め上げていた。


「ふむ婚約者がいたにもかかわらず

 勇者が少し貴様にやさしくしただけで

 体を許し挙句婚約者をほっといて

 勇者と結婚し、騙されたと分かったら

 その元婚約者の事を真に愛していていたと

 理解した。だから今までの事を謝罪したい

 要約するとそういう事だな?」


「...はい。」


「それと貴様は勇者に復讐する気はあるのか?」


「私にそんな権利はありません。

 すべて私が悪いのですから...。」


サラは肩を震わせながら小さく答えた。


我はその返事を聞いて

サラ同様肩を震わせた。


その様子に気が付いたクロカとサラは

怪訝な表情で我を見ていた。


そしてついに抑えきれずに

笑い(・)出してしまった。


「くくく、あっはははははははははは。」


クロカとサラ、そして呆然としていた

フレイでさえその場違いな笑い声に

驚愕の表情で我を見ていた。

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