十二話
それから一週間私達は
何不自由なく過ごさせてもらっていた。
食事はともかく
湯浴みまでさせて貰えるとは
さすがに予想外だった。
おばあさん曰く
女の奴隷は見た目がとても
大事だから他では知らないが
ここでは最低限清潔を
保ようにしているそうだ。
現に湯浴みの際私達以外にも
鎖を付けた女の人たちはいた。
そしてとうとう
運命の日がやってきた。
私達はいつもの
最低限体を隠せる布切れではなく
城にいたメイドが着ていたような
給仕服を着させられていました。
顔は隠されていませんでしたが
どうやらここは正規の
オークション会場では無いようです。
私達は死んだことになっているので
顔なんてさらしたら大騒ぎに
なると思っていたのですが
私達を紹介していた司会の
人の話を聞いていて理解しました。
私達はあくまで賢者サラと
騎士団長フレイのそっくりさん
先日殺されてしまった
二人の写し鏡のような
私達が偶々今回で回ってきたので
高く売れると判断され商品に追加された
しかし、女としての機能もダメで
さらに声も出せないという
欠陥品なので二人セットで
50万ゴールドで競りが開始される
これはすなわち
先日私が考えた通り
人体実験の被検体もしくは
一切逆らわないサンドバック
として使うつもりがあるのなら
どうぞお買い上げください
というものだった。
50万ゴールドは本来女の
奴隷を購入する際に最低限
必要とされる相場だが
今回に限っては利用価値が
限られているため
私達では二人で一人分にしかならない
という意味も込められている。
そっくりさんなんて言い訳なんて
誰も信じず私達を本人だと
分かった上で競りが開始された
のでどんどん値が上がっていく
元賢者たちを自分の手で
散々いたぶってやりたいという
狂気に満ちた声をとどろかせながら
そして10倍の500万に届きここで
終了となりかけたその時
真っ黒な髪をした女の人が
声高々に叫んだ。
「1000万!!」と
先ほどまでの最高額だった500万の
二倍の値段をここで彼女は
繰り出してきた。
500万と提示していた方は
いくら本物の私達だと
分かっていても所詮女としての
機能が使えない欠陥品
そんな物にそれ以上出せないようで
渋々引き下がった。
こうして私達は真っ黒な髪の女の人に
買われることになったのです。