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魔法の使えない魔法使いはしぶしぶ筋トレを始めました。  作者: スフレ
第1部「魔法の使えない魔法使い」
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ラブレター

突然だけど靴箱にラブレターが入っていた。

「ソル・キアスター様へ」というありきたりな出だしから始まるよくある感じのラブレターだった。


放課後に、校舎裏の木の近くに来てくださいと書いてある。


ちなみに俺は2日ほど靴箱を開けてない。今更だが俺は靴を履かない主義だからだ。代わりに足には布を巻いている。

道場で暮らす時、足裏を鍛えるためと言って靴を取り上げられた。しかし、意外とこれがいいのである。

足裏が直接地面に付くから気持ちがいいのだ。


ということでこの靴箱は授業で使う道具入れとして使ってる訳だが・・・。

まぁ、ラブレターの子が今日靴箱に入れたことを願いながら校舎裏に向かうのだった。






結論から言おう、罠だった。

行ってみたら5人位の黒服軍団に囲まれた。フードも被っていて誰だかわからない。


ついでに足元がなんか光ってるなと思ったら魔法陣だった。




何が起こったのか冷静に考えていると、1人の黒服がフードを脱いだ。

女の子だった。

金髪長髪のまぁ、美少女だ。


「来たわね、ソル・キアスター、てかなんで2日も来なかったのよ・・・。」


あぁ、やっぱり2日前に入れてくれてたのか、すいません。

「私の名前知ってるわよね・・・。」

「知らん」


「っ!同じクラスのエリス・ラズルよ!あなたが筆記試験で1位を・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・から私が頂点になれないのよ!あなたには消えてもらうわ!」


正直長かったので、最初と最後しか聞いてなかった。

まぁ、俺が座学でいい点を取るので彼女が上位に入れないらしい。

そう言えばこの子、確かいい所の子だったな。つまりお嬢様だ。プライドが高いんだろうな。

実技はトップみたいだし、俺が邪魔ってことだろう。



「その魔法陣は最高レベルの封印魔法が組み込まれているわ!その中では絶対に魔法は発動しない!でも・・・。」

5人はこちらに手を構えた。

「外からの攻撃は可能なのよ!」


なぜ外から魔法攻撃が可能なのか?説明しよう。彼女達が使おうとしているのは操作魔法を応用した投石魔法というものだ。

そこら辺に転がっている石を操作して加速して飛ばすというもの、加速が加わるのは最初だけで、石が飛んでる時は魔法による効果は乗っかってない。だから封印魔法陣の外からでも攻撃が可能だと言うわけだ。さらにこちらは防御魔法も発動出来ない(元々できないが)。詰んでいるとはこのことだ。


ドドドドッ

という感じでいしつぶてが発射される。辺りは土煙で覆われる・・・。




もちろん無事である。なんちゃって強化魔法もとい鬼龍闘気は魔法ではない、よってこのよく分からない魔法陣の上でも発動出来る。肉体を強化し、ダメージを無効化した。というか、この程度のいしつぶてなら鬼龍闘気を発動させるまでもなかったな。

元々の防御力で十分だった。

魔法使いを目指しているが、くさってもそこらの拳闘士以上の能力を持っているからな。



5人は俺の無事を見てポカーンとしている。

まぁ俺だから何も無かったけど、一応あのいしつぶては魔法で発射されたもので、簡単に言うと当たったらその部位が吹き飛ぶくらいの威力はある。

それを5発同時に喰らってピンピンしてるのだ、驚くなという方が無理だ。



「くっ!流石ね!最上級の封印魔法陣を持ってしても防御魔法を発動させるなんて・・・。」


なんか勘違いしてくれているので、乗っかっとこうと思う。

「当たり前だろ、俺はあの大魔法使いキール・キアスターの息子だぜ、この程度の封印魔法陣では止められねぇよ。」


「ふっ、でも無駄よ、今から5人で最上級投石魔法「泥榴弾(ストーンブラスト)」を詠唱するんだから!」


こういう風に複数人で一つの魔法を詠唱することも出来る。複数でやるんだから威力も上がるし詠唱時間も縮まる。

「泥榴弾」は高密度に圧縮した土の塊を投射する上級魔法で、城壁に穴を開ける位の威力があるが、本来詠唱時間が30分以上かかって、約3人分の魔力が必要というものだ。


5人でやるから時間は5分の1で6分って所だろう。まぁこいつらはまだ未熟だから良くて10分かな・・・。魔力は5人もいるから足りてはいるだろう。




「そんな時間のかかる魔法使うんなら俺帰るぞ?」

「残念だったわね、それは出来ないわ。足元をよく見なさい!」



よく見てみると魔法陣は二重に描かれていて、その二つはどちらも違うかたちをしていた。



「今、二つ目の魔法陣を発動させたわ!その魔法陣は一つ目とは少し違う封印魔法を施してあるの。魔力が中から外に漏れないようになっているはずよ!」


なるほど、そういう事か。


「知ってるでしょ、体内にも魔力があるのよ、つまりあなたは魔法陣の外に出ることが出来ないの!」



まぁ色々と考えて計画してくれてたんだろうな・・・2日もすっぽかしてすいません。


「そろそろ魔力の充填がすんだわね・・・。なにか言い残すことは・・・?」


「腹減ったからそろそろ帰っていい?」


「ふっ、消えなさい!」



キンッ という音と共に黒い塊が発射された。


俺の体は粉々に砕け散るはずだったのだろう。


しかし、全力の鬼龍闘気を発動させた俺にはあまり効かなかった。まぁ、流石に手をすりむいてしまったけど。



辺りを見ると5人のうちエリス以外は魔力を無理に取り出した反動なのか倒れてしまっている。。

そしてエリスは驚愕の顔で俺を見ていた。

まぁ、本来城壁破壊用の魔法だからな、生きてたらそりゃ驚くだろう。

「分かったか・・・。俺には敵わないんだよ。」


「くっ・・・、逃げるわよ!みんな、起きなさいよ!」


「そろそろ出ていい?」


「出られるものなら出てみなさいよ!言っておくけどねその魔法陣は魔王の封印にも使われた超超最上級の封印・・・」


言い終わる前に魔法陣の外に出た。まぁ、俺の体の中魔力ないし。




エリスは口をパクパクさせながらヘタっとその場に座り込んでしまった。



あっ、この匂い・・・。

エリスの足元に水溜りができていた。


「えっと、大丈夫・・・?」


「・・・しなさぃよ」


「えぇ?」


「殺しなさいよ!こうなることも覚悟してたんだから・・・!」

ボロボロと涙をこぼしながらキッとこちらを睨んでくる。


「殺さねぇよ、俺もう帰るからな・・・。」

で、ほんとに帰ったので、その後あいつらがどうなったのか知らんし興味無い。


とりあえずその日は寮の自室に帰って料理を作ることにした。が、一人暮らしを始めて1ヶ月経つがまだ料理というものには慣れない・・・。

今日も失敗した。


「はぁ」ため息をつきながら肉だった何かを口に放り込んだ。



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