間違い
「うっ・・・ぷっ・・・!?」
ケートスさん・・・ケートスさんの首が!?
体中から血の気が引き、立っているのも辛くなる。
・・・ダメだ、残された俺がこんなことでは・・・。
アンナは青い顔をして、その場に座り込んでいる。そういう俺もこの場から動けずにいるが。
震えながら声を絞り出す。
「・・・アースさん、一旦この場から離れましょう・・・、アンナを頼みます。」
「・・・わかった。」
町から少し離れた場所にある大岩に背中を預けて座り込む。座った時、身体中が気持ち悪い汗で濡れているのに気付いた。
「どうだ?落ち着いたか?」
「はい、だいぶ楽になりました・・・アンナは?」
「あっちで食べたものを全部出す勢いで吐いている。腹の中が空になったら少しは楽になるだろう。
それにしてもどうしたんだ、お前ら、あのさらし首にされていた者は知り合いなのか?」
「・・・一緒に旅をしていた仲間です。」
「そうか・・・それは辛かったな。」
恐らく、俺達はあの町でも指名手配されていたんだろう。
あの町の前の焼けたあとはケートスさんが抵抗してあぁなったんだろう。
あれ・・・スズナ。
スズナはどこに行ったんだ!?あそこにはケートスさんのしか・・・。
まだ生きてる可能性がある。2人で行動していたんだから・・・!?
助けに行かないと・・・!
立ち上がろうとして、前かがみに転んでしまう。
「腰が抜けてるんだ、まだ動かない方がいいぞ。何か用事があるなら言ってくれ、私が済ませてくるから。」
「ありがとうございます・・・実はもう1人仲間がいて姿が見えないんです。恐らく、あの町でも捕らわれています。」
「名は・・・?」
「スズナです。」
「わかった、情報と食糧を仕入れてくるからお前達2人は休んでいろ。」
そう言ってアースさんはもう一度町へ入っていった。
俺らはテントを建てて休む事にした。
何時間経っただろうか。辺りはもう暗くなっている。
少し寒くなってきたので毛布をかぶりそのまま眠ることにした。
ふと、目が覚める。
毛布に何か入ってきた。
「・・・アンナ?」
入ってきたのはアンナだった。
「どうしたんだ?」
「・・・お腹が空いた。」
・・・そりゃあねぇ、あれだけ出したからな。
「荷物の中に保存食があったはずだ、それ食えよ。」
「・・・要らない。」
・・・要らない?
「ソル・・・あなたを食べたい。」
そうか・・・俺を食べたいのか・・・・・・・・・。
・・・!?
「えっ、ちょ、それって!?」
顔に水滴が落ちてきた。
暗くてよく分からなかったが、アンナは泣いていた。
というか、アンナの顔が目の前にあった。
アンナはそのまま顔を近づけ、俺にキスをした。
・・・俺は避け無かった。避けちゃ駄目なような気がした。
「・・・アンナ・・・?」
「・・・ソル、ソルも私を食べていいよ・・・。」
「ッ!」
俺はアンナを抱き締める。
そこから先はよく覚えてない。