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魔法の使えない魔法使いはしぶしぶ筋トレを始めました。  作者: スフレ
第1部「魔法の使えない魔法使い」
27/45

番外編 サイドストーリー 「コウ・キモン」

これは2話と3話の間の物語。









「この道場に入れてください。そして、鬼門流拳闘術を教えてください!」


道場に孫が来た・・・。









わしの名はコウ・キモン。

鬼門流拳闘術道場の開設者であり、師範。

嫁は先に逝き、娘も殉職した。

わしの血を継ぐのは孫だけとなった。



育てる者がいなくなった孫を引き取り、よくよくはこの道場を継がせようと思っていた。

しかし・・・。



「じいちゃん、俺魔法使いになりたいんだ。だから、じいちゃんの所にはいけない。」



驚いた。両親を同時に失い、7歳のコイツには頼れる者は、もはやわしぐらいのはずなのに。

はっきりといいよった。



「いいのか、辛い人生になるぞ?」


「いい、俺は何がなんでも魔法使いになりたい。」


「そうか。」

そうやって少しばかりの金を与え、孫を孤児院に入れた。












それから5年、絶対に戻ってこないと思っていた孫が道場に顔を出した。しかも、道場に入れてくれと、拳闘術を教えてくれと言っている。


「お前、戻ってきてくれたのは嬉しいが、孤児院はどうした・・・魔法使いになりたいんじゃなかったのか?」

「無理だった。俺は魔法使いに向いてなかった。」

「向いてない?」

「魔法適性が0だった。俺は魔法が使えないんだ。」


魔法適性・・・そうか、確かにわしの故郷にもそういう奴はおったが・・・。まさか孫が、ましてや魔法使いを夢見ていたこいつが。


「魔法使いは諦めて、拳闘士になるという事か?」


「はい、俺に拳闘術を教えてください。」




嘘だった。

目を見てわかった。


この目は希望を、夢を失っていない。


まだ諦めていない。


どうするつもりかわからないが何か見つけたのだろう。


じきにもう一度魔法使いになりたいと言い出すだろう。


その時には、この道場を今度こそ本当に出ていってもう戻らないだろう。


それでもあの時の娘と同じ様に拳闘術を・・・鬼門法を教えるべきなのか・・・。



愚問だ。



こいつはわしの娘の子だ。


わしの孫だ。


そいつが拳闘術を知りたいと言っている。


教えるしかないだろう。


魔法適性は鬼門法ではどうにもならんが、こいつが娘と・・・わしと同じ様な体質なら教える価値はあるだろう。

鬼門法を・・・。




「わしの修行は厳しいぞ・・・。」

「教えてくれるんですか?」

「当たり前だ。実の孫の頼みだからな。」




魔法の使えない魔法使いというのも面白いかもしれんしな。

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