残酷な世界
世界とは残酷だった。
ある剣と魔法の世界での話だ。
子供は12歳になると「能力適性試験」というものを受ける。
この世界では人間と魔族が長きに渡り戦争を続けている。
そこで試験によって人材を見抜き、優秀な兵士にして魔族と戦わせるのだ。
そして今日、12歳になり、適性試験を受けようとする者がいた。
ついにこの日が来た・・・!
今日から俺は最強の魔法使いを目指すんだ!
名を「ソル・キアスター」といった。
「能力適性試験を受けに来ました!」
「こちらでお待ちください。」
女性の職員が部屋まで案内してくれた。
12歳の誕生日、この日をどれだけ楽しみに待ったことか!
ソルは物心付いたころから魔法使いになるのが夢だった。
父も母も偉大な大魔法使いだった。
そんな2人の背中を見て、魔法使いを目指すのは必然だろう。
しかし、2人はもうこの世にはいない。
魔族の王と戦い、戦死したのだ。
2人の意志を継いで、人類最強の大魔法使いになる!孤児院のみんなにもそう言って出てきた!その夢の第一歩目がこの適性試験だ。
「準備が出来ました、こちらにどうぞ。」
通された部屋は正方形で、真ん中に青白く光る巨大な水晶が浮かんでいた。
「水晶に10分ほど触れ続けてください。」
水晶に触れる。ヒヤリと冷たい、と同時に体の中のすみずみまで覗かれているような感じがした。
「終わりました。こちらにどうぞ。」
やっと終わった。とりあえず結果が出たら孤児院に戻ろう。
そして魔法使いになるってシスターに言うんだ!
絶対に大魔法使いになってやる!
「結果が出ました。今から説明します。
体力124ポイント
物理攻撃力156ポイント
知能指数136ポイント
魔法適性0ポイント
魔力量0ポイント
人間全体での平均値が100ポイントとなっています。
あなたは体力、物理攻撃力共に高い数値で剣士または、拳闘士に向いています。こちらで剣術の講習が受けられますがどうしますか?」
「えっと、僕、魔法使いになりたいんですけど。」
「おそらく不可能かと、珍しい体質のようであなたは魔法適性(魔法をどれだけ上手く使用出来るか)、魔力量(体に蓄えられる魔力の量)が共に0ポイントでおそらくこれからも成長しません。その代わり、剣士などの戦闘職の才能がおありで「待ってください、僕はどうやっても魔法使いになれないわけですか?」
思わずセリフをぶった切ってしまった。
「まことに残念ですがそうなります。」
「そうです、か・・・。」
「その代わり剣士として
「ああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「お、お客様!?」
「ああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!うわああああああ
ああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
叫びながら部屋を飛び出す。
そして、俺は走った。走った。
悔しかった、魔法使いになれない事が。
「ああああああああああああっうぁああああ!!!」
泣きながらどこまでも走った。
その日、ソルは孤児院には帰らなかった。
3日にわたり捜索が続いたが、見つからなかった。
世界とは残酷である。