研究2
俺はいつの間にか3年生になっていた。
バルト先輩は卒業。
約束通り、バルト先輩の研究室を譲り受け、今日から自分の研究をしようと思う。
とても濃い2年間だったな。そうそう、この2年の間に実はエリスと結婚しました。
家の力関係的に俺が婿入りするのかなと思っていたが、キアスターの苗字を大事にしたいらしく(俺じゃなくてエリスの家の人がそう言った。)俺の名前はソル・キアスターのまま、エリスはエリス・キアスターになった。
結婚式とかは卒業後ってことでとりあえず籍だけ入れておこうって感じだ。
それからエリスとは一つの部屋で暮らし始めた。寮のもう少し広い部屋で。
まぁ、それくらいかな。
後、バルト先輩の論文は優秀作品かなんかに選ばれたらしい。
「古代魔法の失われた技術とその特性」という、論文。俺の強化魔法(本当は違うけど)を研究しまくって色々と発見があったらしい。良かった良かった。
バルト先輩が残してくれた、古代魔法関係の色々な書物を片っ端から見ていく。
俺の知らない情報が山ほどあった。
これは研究テーマには困らないなぁ。
やはり古代魔法は普通の魔法とは根本的に違うんじゃないかと・・・、それがバルト先輩と俺の見解だ。
古代魔法とはいったい何なんだろうか。父さんが生きてたら聞けたんだろうけど・・・。父さん、古代魔法も少し使えたみたいだし。
あっ!そうだ手帳があった。あれに何か書いてあるかもしれない。昔は読み飛ばしてて気づかなかった項目とかがあるかもしれないし。
そうと決まれば早速読もう・・・て、手帳どこにやったっけ。引越しの時はあったと思うんだけどな。
「なるほどねぇ、古代魔法も大きく3つのタイプに分けられるのか。・・・武装魔法ねぇ。」
結局、手帳は押入れの奥深くから出てきた。
武装魔法・・・古代生成魔法とも言われる魔法で、生成魔法では不可能な複雑な構造の物を生成したり、現実には存在しない物を作り出せる。
夢の様な魔法だな。
使い方や詠唱方法などの情報は揃ってるのに何故か誰も使うことが出来ない、それが古代魔法だ。
何か技術や工程の情報が失われているためと言われるが本当にそうなのだろうか。
あっ、なんか楽しくなってきた。
よし、今日はこの手帳読みまくろう!
まぁ、これだけ読んでも使えるようにはならないだろうな。
父さんもどうやって使ったんだろう・・・。
そして、なんで俺は魔法が使えないんだろう・・・。
俺は手を構える。
そして詠唱を始める。
「ふぅ・・・初級武装魔法・・・「古龍鉤爪」・・・。」
?・・・なんか腕が光だした。
ボゴォォォ!!!
「なになに!今の音!ソル!大丈夫・・・!?」
音に驚いてエリスが部屋に入ってきた。
「あぁ・・・えと、大丈夫だけど・・・。」
「ちょ!?・・・なに、どうなってるのその手!?」
俺の腕には緑色の鱗が生え、爪は黒く、鋭く伸びていた。
「ま、まさか・・・。」
俺は武装魔法を発動させたのだった。