体育祭3
4年防御部隊にて
異常だ。
偵察隊からの報告によると開始してまだ1時間も経ってないのに2、3年の棒が倒されてしまったらしい。
5年はそんなことしないだろうし、そうすると消去法で1年生がやったことになる。
1年生め、なんてことをしてくれたんだ。このままでは、また「5年」が優勝してしまうぞ・・・。
頭を抱えていると パキィィン とガラスが割れるような音がした。結界が壊された音だ。
くそっ、もう来やがったか・・・。
2、3、4年は棒の防御の数を減らし、〝偵察部隊〟に数を回している。そこを上手くついてきたつもりか・・・。
「全員、戦闘準備!恐らく1年生の大多数が攻め込んでくる!大規模攻撃魔法の準備だ!」
1年生は数は多いがまだまだ経験が足りない。まずは広範囲に攻撃出来る魔法で数を減らし、混乱している所を狙い撃つ・・・!
あぁ・・・!?
張っていた結界が順番に全て破壊され、全員がその方向を見ていた。100人以上の軍勢が来ると予想していたが・・・。
「2人だと・・・。」
馬鹿な、どういうことだ、いや、周りから隠れて近づいているのかもしれない。ならば問題ない。
「大規模攻撃魔法「十字葬火」を発動させろ!」
十字葬火・・・中心を除く、半径50mを爆炎で焼き払う魔法、詠唱時間およそ1時間、10人分の魔力が必要な複数人で詠唱することが前提の大規模攻撃魔法だ。
これで終わりだ。
まぁ、これで良かった。考え方によってはもう4年の棒を倒しに来る者はいなくなった。
5年生を探すことだけに集中出来る。
「よし、お前ら全員総出で5年生を探すぞ!この山全てを探すんだ!」
バキィ と音がして、棒が崩れ落ちた・・・。
「な、何が・・・。」
何かが空から降ってきて棒に激突したみたいだ。
そこには1年生と見られる青年が少女を抱えてたたずんでいた。
「お前ら・・・、十字葬火をどう避けたんだ・・・。というかほかの軍勢はどうした!見捨てたのか!辺りから生命反応が無い、全員で結界魔法を張れば助かっただろうに・・・!」
「え?あの炎なら飛んで避けたけど、後俺たち2人だぞ?」
飛んで避けただと・・・。十字葬火の炎の高さは約5mあるんだぞ・・・。
「2人だと・・・、まさかお前ら2人で2、3年を倒したのか・・・?」
「そうだよ。」
驚いた・・・、いやしかし、この2人ならもしかしたら・・・。
「お前らなら出来る!どうか5年生を倒してくれ!」
「言われなくてもそうするつもりだけど?」
「無理なんだ!5年生は〝見つけられない〟んだ!」
「見つけられない?」