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#4サンソク
私は病院のベットで目が覚めた。
聞いた話によると砂浜で倒れていた私を犬の散歩をしていた人が見つけ救急車を呼んでくれたらしい。
そして心配する祖母と親にあの事を話した。
信じてはくれないだろうと思っていたのだが祖母はその話を聞くと一つの昔話をしてくれた。
昔この地には山の神様に豊作を祈るため人柱を立てていた。
そしてその人柱は山の神様を楽しませる為、能面を付け楽器と一緒に殺された。
それら人柱になった人達を村人はサンソクと呼んでいた。
サンソクと言う言葉に私は聞き覚えがあった。
あの祖父だ。
祖父は小さい頃私に、この山にはサンソクと言う恐ろしい妖怪がでる。
奴らは楽器で人を誘き寄せ、仲間に引き入れようとする。
もし奴らに見つかったら海へ向かいなさい。
山の神様に生贄にされた者は海へは近づけないからね。
そう言われていたのを思い出した。
何故あの時祖母の家に逃げ帰らず、海へ向かったのか、わかった気がした。
そしてもしあの時海ではなく祖母の家に逃げ帰えっていたらと思うとゾッとする。