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♯2サンソク
今考えると怒るであろう祖父がもういない事で気が緩んでいたのかもしれない。
私は音の正体が気になり、時間の事も、ここが1年に1回しか来ない山奥である事も忘れて山の方へ向かった。
数分山を進むと太鼓の音が段々と大きくなってくる。
また近づくにつれて、他の和楽器の音も聞こえてきた。
どうやら何人かで楽器を演奏しながら山を登っているらしい。
私は一体どんな人がこんな時間に楽器を鳴らしながら登山してるのか一層気になり、はやる気持ちを抑えて音に近づいて行った。
木陰から音の正体を見ると20人ほどの異様な人間が半分に割れた能面を被り口元だけだした状態で歩いていた。
そしてこの集団の異様さはこの能面ではなくその首の長さと歩き方だった。
膝を曲げず体を全く動かさずに歩くこの集団は全員が全員、首が異様に長く体の半分以上あった。
私は悲鳴を出すのを堪えてその場にしゃがみ込み、その集団が早くいなくなる事を祈った。
音が離れていくのがわかる。(早く行って)目を閉じ心で何度もそう唱えた。
何分たっただろうか?音が全く聞こえなくなり私はゆっくりと目を開けた。