悪魔の魔法活用術
「もしかしたら、魔力カンストしてるのか?」
そんなことを思ったが、まずあり得ないだろう。
そしたら、3歳の時点で最強魔術師が出来上がってしまうし、限界値があるなんて聞いたことがない。
しかもタットはどうだ?俺より魔力は高いんじゃないのか?
もしかしたら、魔力草の補食より鍛えた方が上がりやすいのか?
でも、そしたら一般の魔法学校生だってこれくらいの魔力は身に付くだろうし....
それより問題は次の試合だ。
闘技場は殺害を認められてるが、俺はそんなことしたくない。
命懸けで戦ってるとはいえ、闘技場で死ぬ人は少ないし、殺すとレベルが上がってしまう。
まだわけあってレベルは上げたくない。
ーー仕方ない、自信はないがアレを試してみるか。
☆
「二回戦第4試合!フロイト VS イシズ」
対戦相手のイシズさんは、短剣を両手に持つ二刀流の剣士だった。
いきなり二刀流の剣士だと難しい気もするが、ぶっつけ本番だ。
だんだんと感覚を掴めればいい。
「よろしくね、フロイトくん。」
美人だからなのか観客が多いな。
それとも、俺のさっきの試合のせいか?
まあいい、観客が多くなればそれだけファイトマネーも上がりやすい。
「よろしく、イシズさん。」
俺も応え、杖を構える。
『それでは、はじめ!』
声と同時にイシズさんが走り、距離を詰める。
俺も杖で迎え撃つ。
カッ、カッ、カッ
短剣の攻撃を杖で防ぐが、杖が切られたりはしない。
少し傷ついたりするが、結構丈夫なようだ。
「君なかなかやるね、じゃあこれはどうかな?」
イシズさんの動きが変わる。
これは剣舞だ。
まずいな、これじゃ杖術との相性が悪い。
避けたり防いだりしても、フェイントやスピードに身体がついていけない。
そしてついにイシズさんの短剣が、俺の肩に振りかかろうとした。
「ドサッ」
攻撃を仕掛けたイシズさんが、片膝を着く。
よしっ、どうやら成功したようだ。
「いま、何をしたのっ!?」
「?俺は何もしてないよ?」
俺はとぼけたように応える。
もちろん、何もしてないわけじゃない。
俺がやったのは、生活魔法だ。
それもかなり小さく放った雷の生活魔法。
生活魔法は魔力が高くても威力は小さいままなので、俺でも気にせず使える。
皮膚を通るほどの微弱な雷魔法を身体の内部に撃つことで、強制的に相手を動かすことができるのだ。
まだ、身体を操作するとまでとはいかないが、膝を曲げるくらいは出来る。
ーーこうして俺は10分くらいイシズさんと撃ち合い、危なくなったところで膝や肘を曲げさせ攻撃を回避した。
「なぜよ!なぜいいところで!!」
そう言いながら悔しそうに自分の膝や肘を見つめるイシズさん。
意思とは勝手に曲がる肘や膝。
本人からすると怖いだろう。
よし、雷の生活魔法の操作にも慣れてきた。
もうこの辺でいいだろう。
「今度は俺から!」
構えるイシズさんの両手に、生活魔法を放つ。
手が開かれて、短剣が落ちた。
俺はもう負けだという顔をするイシズさんの頭に向け、魔法を付加させた杖を振り下ろす。
こんらん治しの魔法。
脳を休ませて混乱を解く魔法。
俺の場合だと、魔力が強すぎて人を気絶させてしまうのだ。
「勝者、フロイト!」
イシズさんは気絶し、俺は勝利した。
前の話をすこし改変しました。
また、書いてて直すかもしれませんが、そんなに話には影響しないよう気をつけます。