悪魔の回復魔法
5年後のある日。
神父「今日から皆には、ポーションを作ってもらおう。」
5歳になった俺らは、教会で薬草の知識を覚えることになった。
働かざる者食うべからずだ。
さすがに何歳も面倒見るほど、教会はバカではない。
神父さんが裏庭の畑へと連れていくと、
「ここに育てているインモドというハーブからポーションが作れるから、1人一個取ってくれ。」
そういって、皆が一斉にインモドを収穫した。
どうやら皆ポーション作りに興味津々らしい。目が輝いてる。
「インモドの実と葉をすりつぶしたら、こうやって水を少し加えて、火にかけて煮詰めると完成だ。」
と神父は、当たり前のように生活魔法を使いながら作り上げた。
それを皆がマネをし、さも当たり前のように生活魔法を使う。
5歳にもなれば誰でも簡単に生活魔法を使える。
この世界は、ガスも無ければ水道も無いので、当たり前といば当たり前だ。
生活魔法はどんなに魔力が高くても、威力は上がらない。
炎の生活魔法でいえば、マッチ程度の火から強火までの火が扱え、スキルレベルを最大まで上げると消費魔力が0になる。
消費魔力が0ということは、無限に魔法が使えるのである。
まあ、威力が上がらないから戦闘には使われないけど。
神父「よーし、これでポーションの完成だ!」
完成した皆のポーションを樽の中に入れると、今度は畑作業となった。
「今日から皆が畑作業をやって、インモドを育て、ポーションを作ってほしい。分かったかな?」
「「「はい!」」」
畑作業が終わると、みんなでお昼ご飯を食べ、今度は回復魔法の勉強となった。
回復神父と呼ばれる神父は回復魔法を教えることが出来ないとなれない。
はっきりいって教会は人手が足りないのだ。
だから神父さんは回復魔法を教える資格が必要で、5歳をむかえる孤児たちに回復魔法を教える。
教会はいわば病院のようなところであり、孤児院で次世代の医者を若いうちから育てていく。
そうやって孤児たちは回復魔法やポーション作りに詳しくなり、いずれは神父や冒険者となって回復要員になるのだ。
「フロイトとタットはこっちだ。」
俺とタットはすでに回復魔法が使えるので、今日から医者として冒険者や騎士たちの傷を治す仕事をすることになった。
「うお!すげぇ!傷が完全に治った!!」
「ちぎれた腕が生えてきたぞ!!」
そんな声がタットに並ぶ負傷者の列から聞こえる。
どうやらタットは回復魔法が上手なようだ。
魔力も高いだろうから、回復効果が凄い。
それに比べ俺の列からは
「いってえええええええ!」
「かゆい....」
そんな声が聞こえる。
僧侶の職業に加え、前前世の知識もあって、回復魔法にはかなりの自信があったのだが、どうやら俺は下手くそなようだ。
一応治ってはいるのだが、痛みやかゆみが出るらしい。
そうして俺の列に居た冒険者たちは、タットの列へと移っていって、俺はこの仕事をクビになった。
「うーん、どうしよう」
これでは来年には教会から追い出されてしまう。
回復教会がお金を稼ぐ手段は、治療かポーション作りしかない。
ポーション作りは僅かな利益しか生まないので、治療が出来ないものは6歳になると教会を追い出されてしまうのだ。
なんとか回復魔法を使いこなさなくては....
そうは思っても俺の回復魔法のスキルレベルはMAXだし、魔力も充分過ぎるほどある。
前前世でも回復魔法で痛みやかゆみが出るなんて聞いたことがないし、もう八方塞がりだ。
しかも、状態異常回復の魔法を使えば、吐いたり酔ったり気絶したりと散々だ。
治るには治るのだが、こんなに痛いのなら治さない方がマシだ!なんて言われる始末。
「はぁ....」
クビになったことを考えても仕方ないが、溜め息が出ないわけがない。
しかも最近ずっと魔力が上がらない。
ステータス
名前:フロイト
種族:ヒューマン
職業:僧侶
レベル:1
体力 :23/23
魔力 :98052372/99999999
攻撃力:12
防御力:10
回避 :4
スキル
【生活魔法:レベル1】
【回復魔法:レベル10(MAX)】
【光属性魔法:レベル1】
レベル1だとこれが限界なのか?
限界値なんて聞いたことが無かったから、レベルを上げれば上限が解放されるのだろうか?
うーん、それにしてもどうしよう。
教会の図書でも読むか?いや、筋トレかな....
畑作業と一緒に身体を鍛えてみようかな。
しかし何が原因で痛みやかゆみが出るのだろう。
謎だ。副作用のある回復魔法なんて聞いたことがない..
いったいどういうことなんだ?