悪魔の魔力
深夜になると、タットは裏庭に出て魔力草を捕食し始めた。
あんなに簡単に魔力を上げられるのは正直羨ましいが、俺だって上げられないことはない。
俺は寝たまま両手を天井に向けて、生活魔法を放つ。
「ビリリッ」
生活魔法とは、その名の通り生活に必要な魔法だ。
誰もが覚えていて、コツさえ掴めば赤ちゃんでも使える。
生活魔法には、炎・水・雷・土・風の5種類があり、中でも雷の生活魔法は一番使われない。
使うタイミングがないのだ。
しかも雷は一番燃費が悪い。
1秒間発生させるのに、魔力を5使う。
他の生活魔法は2~3なのに雷は倍だ。
まあ、おかげで素早く魔力切れを起こせるけど。
魔力切れは2日かけて全回復する。
その際、筋肉でいう超回復のようなものが起こり魔力が強くなっていく。
魔トレというやつだね。
そうして俺は約100秒電流を発生させ続け、魔力切れとなった。
「むしゃむしゃ..」
外ではタットが魔力草を食べている。
魔力草は食べても食べても次の日には生えてくるため、いくら食べても無くならない。
周囲の魔素を利用して数時間程度で成長する植物。
毎日毎日、魔力を上げられるっていうのは羨ましい。
ああ、俺にも捕食のスキルがあれば....
そう思いながら、ステータスを確認して俺は眠りについた。
種族:ヒューマン
職業:僧侶
レベル:1
体力 :3/3
魔力 :0/502
攻撃力:1
防御力:1
回避 :1
スキル
【生活魔法:レベル1】
【回復魔法:レベル1】
【光属性魔法:レベル1】
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ボクの名前はタット。
前世では数学者でちょっとは有名。まあ死んじゃったけどね。
転生の時、神がやって来てなにやらスキルを選ばせてくれた。
かなり迷ったが「捕食」を選び、この世界に転生してきた。
悪魔の子と呼ばれて孤児院に入れられたけど、居心地は悪くない。
なんたって美人シスターのおっぱい....
別にやましい理由じゃない。「捕食」でシスターのスキルを獲得するためだ。
おかげで【生活魔法:レベル2】と【光属性魔法:レベル2】を手に入れた。
やましい気持ちはないよ!
ただ、男はエロいんだ!仕方ないね。
今は裏庭の魔力草を捕食しながら魔力強化を行っている。
あらかた食べ終わると、魔法練習だ。
生活魔法は一通り試したが、魔力が上がっても威力は上がらなかった。戦闘には使えないだろう。
今日は光属性魔法のライトショットを撃とう。
そうやって裏庭の奥まで転がりながら進み、光弾を放つ。
「バンッ!!」
大きな音が出て地面がえぐれる。
うーん、もうこの音になるとマズイ。
シスター達が起きてしまう。
この魔法、全く威力の調節が出来ない。
生活魔法みたいに調節しようとしても出来ないのだ。
魔力は決まって10%減るし、威力も魔力に比例してどんどん強くなってしまう。
どれだけ魔力があってもライトショットは10発しか撃てないってのはホントショックだった。
スキルレベルが上がれば何かしら変わるかな?
まあ「捕食」があるおかげで、剣士でもなんでもなれるだろうから良いけど。
でも前世は数学者だったし、それなりに頭を使って戦ってみたいな。
剣士はあんまり目指してない。
まあ、剣士への憧れだって少しはあるけどね。
今日はこんなもんでいいか。
明日の分の魔力も残しておかないといけないし。
魔力の回復って意外と遅いんだよね。
さて、もう寝ようかな。ステータス確認っと。
種族:ヒューマン
職業:賢者
レベル:1
体力 :35/35
魔力 :1008/1120
攻撃力:24
防御力:20
回避 :28
スキル
【生活魔法:レベル2】
【攻撃魔法:レベル1】
【回復魔法:レベル1】
【光属性魔法:レベル2】
【捕食:レベル10(MAX)】
うん、いい感じ。
また強くなってる。