作中の用語・ルビに関して
ディリオン群雄伝 http://ncode.syosetu.com/n0918ci/ 内では幾つか造語も含め特定の意味を持つ単語を登場させています。今まではあんまりルビをふって読み方を決めないようにしていましたが、やっぱりルビふってあった方が特別な単語としてとらえやすいと思ったので、新規に訳語を当てることにしました。
訳語や読みに関しては結構こだわってます。
え?そんなのどうでも良いって?
いや、まあ、そうなんですけどね。。。
◯公:プリンケプス
プリンケプスはラテン語で第一人者という意味の言葉です。元首制プリンキパトゥスの語源ですね。後には公爵または王子を意味するプリンスへと変わります。
プリンスprinceの意味の公は王権からは独立した支配者を意味する言葉でとあります。キエフ公とかノブゴロド公とかの公ですね。王の下の公爵はdukeで、元は官職のduxから来ています。
なので、作中では王権でも制しきれない巨大な地方政権という意味合い込めて公:プリンケプスとしています。
◯諸侯同盟:アリストクラティオン
ギリシャ語でアリストは貴族、クラティオは支配を意味する単語。
王以外の有力者による権力団体という事で命名。
◯国王軍:ドミニオン
ラテン語で王の支配領域と言う意味。
◯独立都市:ムニチピウム
古代ローマの行政単位で自治都市のことを指す言葉。現在でもイタリアで地方自治単位として使われている。
◯王都守備隊:プラエシディウム・ウルバナエ
ラテン語で直訳。
◯近衛兵:プラエトリア
ラテン語で直訳。
◯宰相:プレフェクトス・スペリオル
プレフェクトゥスは古代ローマでは役人や代官を総称した単語。長官とかの訳語にも当てられている。
スペリオルは優れているとか、上位とか言う意味。これは英単語でも同じ。
意図的に訳するなら「上級役人」だろうか。
◯総司令官:インペラトール
古代ローマ軍などでの最高命令権のこと。emperorの語源。
◯王:ドミヌス、女王:ドミナ
ドミヌスはラテン語で主人の意味。ドミナはその女性形。
レックスがラテン語での「王」の訳語だけど、作中ではディリオン王以外の王はレックスと呼称する(予定)。
◯民兵:ヌメルス
ラテン語で「数」の意味。文字通りに数会わせと言う意味で命名。古代ローマ軍では臨時の雑兵や末期には兵隊全体を指してこう呼んだ。
◯親衛隊:ヒュパスピスタイ
引用先は古代マケドニア軍の近衛歩兵隊のこと。古典ギリシャ語で「盾持ち」の意味。
(余談だが、筆者は昔wikiでhypaspistesがヒスパニア人と誤訳されているのを見て笑った覚えがある)
◯軽騎兵:プロドロモイ
古代ギリシャ軍での偵察や前衛を任務としていた軽装騎兵のこと。サリッソフォロイとも呼ばれたマケドニア軍での偵察騎兵部隊が有名か。
◯中央軍:スコラエ
スコラエscholaeは末期以降のローマ帝国軍に於ける皇帝や将軍の親衛部隊の事。語源は諸説ありますが、「scholasticus」(学び舎に属するもの)、引いては士官訓練集団という意味だという説を採用。その場合、学校schoolやスコラ哲学と同じ語源です。
バラバラに訓練されるのではなく、一箇所に集められて同じ訓練を受ける集団ということで命名。
◯勇士:ミリテス
ミリテスmilitesはラテン語で戦士の意味。初期中世西欧でも同様の意味で使われ、時代が降るに連れて馬に乗って戦う者、即ち「騎士」という意味で扱われるようになったりもしています。中世ドイツのミニステリアーレもこれを語源としています。
今作では戦う人という意味で「勇士」に当てています。ホントは武士とかのほうが分かりいいんでしょうが。
○宮殿地区:アッレア・パトリキ、神殿地区:アッレア・サクラ、倉庫地区:アッレア・ホルムス
アッレアはラテン語で「地域」の意味。
パトリキは古代ローマの貴族階級を指します。やんごとなき方々の土地という意味で命名。
サクラはラテン語で「聖なる」という意味で、ホルムスは同じくラテン語で「倉庫」の意味。こちらはほぼ直訳です。
○平民出身:ノヴィ・ホミネス
元々は古代ローマの平民貴族、「ノウス・ホモ」から。平民からの成り上がり者です。
予断ですが、言語の範囲としては、劇中で言うと、
ペラール市・ラトリア国がラテン語・ギリシア語圏
メガリス人はスペイン語やポルトガル語圏
北部はドイツ語や北欧語
をイメージしています。
ディリオン王国では多分北イタリア方言の様な言葉が話されているのではないでしょうか。