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人生、最後にしたこと

作者: 頭山怛朗

ヤフーブログに再投稿予定です。

 おれは偶然、同僚が人を殺すのを見て彼が犯人である証拠を手に入れた。


 “善良な市民”なら警察に通報するだろうが、残念だがおれは“善良な市民”ではない。彼には美人の奥さんと可愛い娘さんが三人もいる。死んでしまった人間はいまさらどうにもならない。おれが警察に通報すれば、不幸な人が四人でるだけだ。で、おれは警察に通報するのを止めた。替わりに彼を脅迫し、一千万円を請求することにした。正当な価格だ。と、思う。

 万が一のこと、おれが脅迫者であることが、彼にばれる可能性がある。当然、今度はおれが狙われることいなる。

 それで、「おれの身に万が一のことがあったら彼が殺人者であることを“世界中の人間が知ることになる”」と脅迫文に書き、当然、その処置をした。

 それに、脅迫文にこう署名した。“I am 脅迫者”

 おれにはおかしな英語を使う悪い癖があるのだ。


 おれの部屋。

 机の上にはおれ愛用のPCがあった。

「手紙は受け取った」と、彼は言った。「でも、私は脅迫には応じない。一千万円は大金だし、脅迫が一度で終るとは思えない。だから、お前を殺すことにした」

「おれを殺したら、あんたが殺人者であることを“世界中の人間が知ることになる”」と、おれ。

「それなら大丈夫だ。お前は会社でブログを書いていることを何度か話している。ブログなら世界中の人間が記事を見ることできるからな……。お前は証拠をブログに日時指定投稿にしているに違いない。万が一、自分の身に何かがあったら日時の更新がされず、私が殺人者であうことがブログ上に公開されることになるのだ。公開されれば、私は“The End”だ」

 彼はここでにやりと笑った。

 彼は話を続けた。「私まで時、処を構わない英語を使ってしまった。お前のせいだ! この迷惑野郎」

「こんなこともあろうかとブログの記事更新が終るたびにログアウトしている。ブログに入るためにはパスワードが必用だ。パスワードが判るのか? どんなに痛めつけられても、ログインするとためのパスワードは言わない。パスワードを言えば死ぬことになる」

 おれは勝ったと思った。そのはずだった……。請求金額を何倍にしたらいいだろう? そんなことを考えた。

 しかし、次の彼の一言でそれがとんでもない勘違いだとすぐに判った。

 彼は言った。「ログインするためのパスワードは知っている」

 彼がキーボードを叩くと、PC画面がYブログにログインした


「パスワードは“password”だ。お前は英語を喋れない。なのに、職場で変な英語を連発する。迷惑だった。普通の人間なららパスワードを“password”にはしないがお前なら……。と、思った。と、言っても一か八の賭けだったが、本当にパスワードが“password”だったなんてとんだお笑いだ」

 彼は問題の記事を削除し、おれを殺した。

 で、おれは彼の殺した殺人事件の犯人になり、おれの覚悟の自殺になった。彼に殺された男は“殺されて当然”の男だったし、おれも人様に誇れる人生ではなかった。

 おれが冤罪を着たまま死んだことによって、彼の美人の奥さんと可愛い三人の娘さんたちの幸せは守られた。おれも人生の最後にはいいことをしたのかも知れない。


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