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『夢の岸辺にて』

掲載日:2025/12/24

とりあえず読んでみてください。


それは、霧の残る朝だった。

湖畔の小道を、

彼女はひとり歩いていた。


彼女は、

いつも夢の向こうを見つめる人だった。


けれど、

あの朝のまなざしは、

どこか翳っていた。


それは、

夢に疲れた人の目だった。


それでも彼女は、

歩みを止めなかった。


岸辺に咲く、

名も知らぬ白い花のほうへ。


私は、

その場に立ち尽くしていた。


風が頬をかすめ、

水面がかすかに揺れていた。


その瞬間、

時間がわずかに軋んだ。


遠くで誰かが名を呼んだ気がして、

私は思わず振り返った。


けれど、

そこには誰もいなかった。


声は、

過去から漏れ出したものだったのか。


それとも、

私のなかでまだ終わらぬ夢が、

ひとりごとのように響いたのか。


夢は、

摘めば香りを失い、

摘まねば風に消える。


彼女は、

それを知っていたのだろうか。


あるいは、

知っていて、なお手を伸ばしたのかもしれない。



私は、


彼女の夢にはなれなかった。



けれど、

彼女の夢が咲いていた場所を、

私は今も覚えている。


その岸辺に立つたび、

私はそっと目を閉じる。


摘まれなかった花の香りが、

まだ風のなかに、

かすかに残っているような気がして──。








読んでくださった方々、ありがとうございました。

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