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第71話、ドラゴンより怖いのは・・・

カース グールドラゴン、

大巫女 白鳳院 司華(しか)が現代風に名付けた呪われしアンデットドラゴンだ。


その見た目は遠くから見てもグロい。


かの有名なアニメに出て来た巨神○のように肉体がドロドロに腐って溶け落ちそうになっている、と言えばイメージし易いだろう。


ボロボロの翼に魔力を纏わせて飛んでいる姿はホラーでありファンタジーでもある。


奴の口からは絶えず黒い瘴気と呪いを垂れ流し環境汚染を撒き散らしていた。



このままだと海上の俺達はスルーされるかもな・・・


キィーーン・・・キュン☆


護衛艦の主砲がSF的な音を響かせ砲撃を開始した。


「レールガンか・・・初めて見たな」


「ワクワクしてる暇は無いぞ。

レールガンだろうとアレの気を引いて足止めする効果しか無いからな」


「充分だ。

・・・ところで、俺に掛けている結界はどの程度の強さだ?」


「強力な結界だ、と言いたいところだがアレのブレスを一度防げる程度だ。

それに結界の強弱に関係無く呪いは防ぐことが出来ないぞ」


「了解した。俺が出たら安全な場所まで船を退避させてくれ」


「出るとは・・・?」


それに答える事無く藤原 真(おれ)は魔法で上空に飛び上がっていく。


おおっ!


男達の驚きの声がそんな俺を送り出していた。


はぁ・・・空まで飛んじまったし、 ますます言い逃れ出来ないなコレ。




目の前には醜悪なバケモノが浮かんでいる。


まだそこそこの距離が有るがその大きさのせいか今にも食われそうだ。


レールガンが被弾しているはずなのにその痕跡は皆無。


目の前に俺が来た事で警戒したのか腐れドラゴンは停止した。


そして睨み合う事3分・・・



≪何をしている。早く攻撃しろーーー≫


俺とドラゴンの睨み合いに()れたのか司華(しか)がせかして来る。


本気の魔法攻撃がエンタメみたいに派手な打ち合いだと思うならそうなるか。(笑



腐ってもドラゴン。奴はそんな俺を警戒してか距離を詰めて来ない。


それを幸いに魔法構築を進めていく。


そして術式のパズルが完成する。


ドラゴンの体にマグマのような炎が纏わりつく。


ガァァァァァァーーーーッ


グオォォォォッッッッッッーッ


おのれの異変に気が付いたドラゴンが苦し紛れにブレスを撒き散らす。


だがその破壊力は弱い。


なぜなら俺が送り込んだ魔力が奴の魔力と反応して消費され発火しているからだ。


お互いの魔力を燃やして相殺させる魔法。常識破りもはなはだしい。


「よもや 対魔王に備えて作り出した極秘の魔法をこんな所で使う事になるとはな・・・」


本来なら、勇者がこの魔法で弱体化した魔王にとどめを刺す作戦だったのだ。


かつて魔王以上と言われていた俺の圧倒的な魔力総量が有ればこそ可能にした荒業である。



弱々しいブレスは司華(しか)の作り出した結界が無効化する。


さらに、それを通過して襲い掛かる魔王の呪い『性欲消滅』は・・・

俺にとって今更の話だ。


やがて腐れドラゴンは粘着するプロミネンスに飲み込まれ小さな太陽のように成っている。


その熱量はすさまじく、結界が無かったら俺も焼かれていただろう。



海上は蒸発した海水によって一面に濃霧が覆いつくし、海上自衛隊の護衛艦が

何処に逃げたのか見えていない。


司華(しか)が乗船しているから無事だろう。たぶん・・・


やがて、二つの異質な魔力が燃え尽き、スパッと炎が消える。


残されたのはサラサラと砕け散っていくドラゴンの骨のみ。


熱処理され安全に成った遺骨が海に散骨されていく。ナムナム



≪おーい、シカちゃん。船に乗船したいんだがどこにいる?≫


≪終わった!のか?・・・危なかった。

これ以上長引けば 結界の維持ができないほどギリギリだったぞ。

船は移動して無いから お主のほぼ真下だ≫


退避してろと言ったのに・・・まぁ おかげで助かったけど。


俺も魔力を殆ど使い切り転移で日本まで帰るのは無理だ。


ユラユラと降りて行くと護衛艦が見えて来た。




「腐れドラゴンは燃やし尽くして消毒され海に沈んだぞ。

これなら海洋汚染も心配ないはずだ」


「おおっ、完璧だ。それなら他国も日本の対応に文句は言えまい」


「国を亡ぼす危険な魔物だぞ。退治したのに文句言われるのか?」


「自分は何もしないのに口だけ勇ましい奴は どの世界にも居るものだよ。

原発事故の処理水が安全なのにケチを付けて来たバカ共などは良い例だ」


日本に「環境汚染だ」とケチ付けて来た国が 実はそろって自国の原発から

放射能ダダ漏れさせて環境汚染していたのは笑えない話だった。




「はい。はっ、了解」


自衛官の頭部に装着しているインカムが一斉に着信音を鳴らし、彼らの動きが(せわ)しないものになる。


彼らの気配は敵を警戒する時の緊張感に変わっていた。


また魔物でも出たのかな?




「貴殿は 藤原 (まこと)で間違い無いか?」


俺を取り囲んだ自衛官が聞いて来る。なぜ今さら?


「そうだけど・・・」


「君を危険人物として拘束させてもらう。これは日本政府の正式な要請である」


・・・なるほど。そう来たか。


「まて、貴様らも見ていただろう。

マコトは国家の危機を救ったのだぞ。失礼にも程が有るだろう」


「自衛官は文民統制が原則です。

この件に関して我々に判断する権限を有しておりません。

例え、それが明らかに非常識であってもです」


司華(しか)が本気で抗議している。


この件に彼女は関与していないらしい。


「まぁシカちゃん、気にしなくても良いぞ。大人しく従おう」


≪何を言うか、何をされるのか分からないのだぞ。

いや、そうか・・・お主の事だ、暴れる気なのだろう≫


≪そんな無駄な事はしないさ。拘束されても後でどうとでもなるだけ。

地上で普通に攻撃魔法が使える以上、国ごときは敵にもならないし≫


≪まさかお主、国を滅ぼす気か?≫


≪だから、滅ぼさないって。

今の俺にとって、日本だろうとアメリカだろうと相手に成らないザコだ。

子犬が吠えていたからと言っていちいち殺さないだろ≫


≪傲慢だな。前世の性格を取り戻したのか≫


≪強い力を持つ手下を手に入れて「自分が強くなった」と思いたいのは権力者の

思考パターンだ。武力は強力な政治のカードだし、想定内の展開だろ。

ダンジョンの外で魔法を使ったから遅かれ早かれこうなってるさ≫


「それは・・・わたしのせいなのか・・・また お主を」




そのまま案内され、二人は以前の船室に軟禁された。


「なぜ私まで軟禁されるのだ。

政府の奴ら私にマコトを篭絡でもして欲しいのか?あり得んだろ」


なんだかんだ言いながらも司華(しか)の耳は真っ赤になっている。


色仕掛けか、俺に呪いが掛かって無かったら有効な手だろうな。


三国志で呂布と董卓の作った鉄壁の国を崩壊させたのは女の色仕掛けとされていて、色恋のトラブルは国すら亡ぼす力が有る。


有望な政治家や若い将校を先輩が娼館に連れて行くのはその心配が有るためだ。


日本で外国の女に億単位の税金を貢いでいたバカな公務員がニュースになった事も有るから一般人でも他人事では無いだろう。


古来よりハニートラップは恐ろしく有効な戦略なのだ。




「それより、この後 政府がどんな手を使って来るか内情を知ってる司華(しか)なら予想

付かないか?」


「難しいな。私ならまずはお主の力を封じる為に薬を使うがな。

さしあたり食い物の毒には注意が必要だろう」


それは困るな・・・思考が正常じゃないと魔法が作動しない。


とりあえず状態異常軽減のアイテム装備しておこうかな。


「お主の能力なら大丈夫だろうが現代科学をナメてると危ないぞ」


そうだな、油断大敵だ。




*******そのころ


アンデットドラゴンの消滅は衛星写真で複数の国に知られていた。


『ニホンのネイヴィはアレを撃滅する火力を持っていたのか』


『その可能性は高いでしょう。

海上にて かの国の新鋭艦がモンスターと接敵した形跡が有ります』


『ヌヌヌ。何時の間にそんな軍備を備えていたのだ』


似たような会話がそれぞれの軍部の議題となっていた。


日本の友好国は何とか自国でも手に入れたいと画策を始め、

敵対国は破壊力に戦慄しスパイの増員を決定する流れとなった。




そして日本では・・・


「めんどうな事になったな。

バケモノなど追い払って我が国に上陸しなければ何の問題も無かったと言うのに」


「良いではないですか。これで我が国に手を出すバカも減ると言うものです。

情報が洩れなければバケモノを消し飛ばした事実は最上のフェイクとなりましょう」


「そうは言うがな、先ほどもアメリカの大使から情報を開示せよと遠回しな要請が届いているのだぞ。火力が強すぎたのだ。明確に恐怖を与えてしまっている」


「以前なら周辺諸国も我が国を怖がってギャーギャー騒ぐところですが、

今は台湾以外の殆どが壊滅して魔物の巣になってますから静かで助かりますな」


霞が関の怨霊たる国家官僚たちが想定外の事態に右往左往していた。


御簾(みす)の陰から吠えている女狐が表舞台に出て来るとはな」


「いままで裏の世界で動いていた旧家の動きも活発になったそうだ」


現代科学に頼りきりの世代はそれ以外の問題に顔をしかめる。


「まずは他国が猜疑心から恐怖に駆られて核ミサイルを撃ち込まれないように

防空体制を強化しておくべきだぞ」


「それよりも先に外交努力すべきだろう。他国に何と説明するのだ」


まさに喧々囂々(けんけんごうごう)の有様だった。



*****とある旧家では


「政府も役人共も会議で踊っているようだのぅ。

時代を読めぬ(やから)よの。

・・・

さて、全軍に通達せよ、我ら封魔忍軍は拠点を迷宮世界に移すぞ。

何かと動きにくい地上では我らの価値は低い、彼の地こそ我らが生きる新天地」


似たような事情の移住希望者が続々と名乗り出ていた。




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