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第61話、激動の世界

前世で妹だったメメと彼女のパーティの 深緑の鏃(しんりょく やじり)の面々は今とても忙しい。


前世の呪われたダンジョンが地球上に転生して来た事を危惧しているからだ。


各メディアを使って事の重大さを訴えていた。



前世の先代魔王が恋仲の勇者に捨てられ、憎しみのあまり男全てにかけた呪いだ。


魔王が命がけで施した呪い、その効果は絶大だった。


異世界の人類はそのせいで人口が半分以下に激減したのだから。


その呪いとは、時間が経つにつれて男達は女性に対する興味を無くすものだ。


ぶっちゃけて言えばHな心が無くなり、女と結婚したいと思わなくなる。


ついには女性だけが性欲を抱え、結婚願望を持つ事になる。


婚活女子にとって悲惨な時代が来るのだ。



人類の強みは旺盛な繁殖力であり、それが人類社会を大きくして来た。


呪いは その強みが全て無くなる事を意味する。


世界全体の極端な少子化は人類そのものの弱体化であり存続の危機だろう。


恐ろしいのは その現実を目にしても男達が無関心で少しも気にしない事だ。


当然、それを解決しようとする気にもならないし動こうともしない。


男の欲望が無くなるとはそう言う事だ。


そして必然的に男性の数は激減する。


フェミニストを気取るバカな女共は喜ぶだろうが、事はそんな低次元の話では無い。



社会の快適なインフラを維持しようとするなら

いずれは《《女性が》》道路工事をしなくてはならない世の中に成る。


それどころか、ゴミの回収も処理も、さらには下水の工事も浄化設備の管理も

危険な高圧電線の配線も、ビルの建設も女性がする事になる。


当たり前だ、男性が極端に少なくなれば

必然的に力仕事や汚れ仕事の多くが女性の仕事に成る。


生活レベルを維持したいなら全てが必要不可欠な仕事だからね。


「女だから」が通用しない、そんな世の中に成るんだよ。


働く女性にとって実力勝負であり、一切の甘えが許されなくなる。


本気で働く女性にとってはチャンスかもね。



特に今の世界にはダンジョンが有る。


男達は自分が生活出来るだけ稼げば後は自由だ。


わざわざ余計な家族なんて作らなくなるのは当然だ。


探索者パーティに女性が入るとしても男と同等に戦える事が条件にされる。


結果的に男女混合のパーティはほぼ無くなる。



一般の会社でも変化は有るだろう。


家族が居なければ 会社で働く男性も無理に出世なんて望まなくても良くなる。


男性はやっと家族の奴隷から解放されるのだ。


いずれは結婚と言う概念自体が無くなるかも知れないね。




******************




その日、歴史が動いた。


充電したまま置き電話と化している藤原 真(おれ)のスマホが大音量でサイレンを鳴らす。


PCでゲームを楽しんでいたのに飛び上がるほど驚いた。


こんなの津波警報で驚いた時以来だぞ。


《緊急警報、函館ダンジョンから魔物が噴出しました。付近の住人は落ち着いて速やかに非難してください》


あーあ・・・言わんこっちゃない。


出て来たモンスは何だろうな。


七飯ダンジョンを急襲して来たのがトロールだから怪人系統の魔物かな。



ダンジョンが函館市役所の内壁に発生してから一月以上経つ。


その間に市役所業務は全て2Fに引っ越して一階は強固な作りに補強された。


例え魔物が出て来ても外には漏らさないように警戒されていたのだ。


俺達が喧嘩腰で警告したからなのだが、不幸にもそれが役に立った事になる。


函館には自衛隊の駐屯地も有るから最悪な事態にはならないだろう。


さてと・・・ゲームの続きを・・・




ビーッビーッビーッ☆


「だーっ、うるせえな。またかよ、二回も警報鳴らすな‼」


《緊急警報。ロシアが核兵器を使用しました。

爆心地はロシアのペルゴロド地方。

日本国民には直接的被害はありませんが落ち着いた対応を心がけて下さい》


はあぁぁっ?


「マジかよ」



ピンポーン☆ ピンポーン☆ ドンドンドン☆


「藤原さん御在宅ですか、山田と川上です」


うわっ、今度は政府の人が来た。


ドアを開けると3人だった。


またアメリカ娘が便乗している。


「な、何ですの?こんな美人が来たのですから嬉しいですよね」


「別に」


魔王の呪いをナメるな。


ガーンとショックを受けているジュディをスルーして

深刻な表情の政府の二人を案内する。



それぞれ座布団の上に座り込み挨拶無しの会話を始める。


「ロシアが核兵器を使った事は?」


「たった今、緊急連絡で聞きましたよ。正気を疑いますね。歴史が変わりますよ」


「そうよ、これでアメリカの不名誉な黒歴史も終るわ。

核兵器を人の町に使った最後の国はロシアになったのよ」


今はそんな事どうでも良いから。


「それで、わざわざ この家に来たのは また魔物の事ですね」


「ええ、まずロシアの核攻撃の目標はダンジョンでした。

ついでに放射能を敵国に流して攻撃する気だったのでしょう。

ところが核攻撃を切っ掛けに魔物の大群があふれ出て来たのです」


はははっ。無駄な事をする。


アレはある意味 別次元の存在なのに・・。


「今現在、飛行タイプの魔物が爆心地のダンジョンから

我が国に向かって真っすぐに飛来しています。

進路上の町には多大な被害が出ておりまして、死傷者の数も確認できません」


「防衛庁は魔物の目的地が日本であろうと予測し、防衛体制に入りました。

つきましては、藤原君には考えうる情報の開示をお願いしたい」


まいったな。

国の中央はそこまでこんな魔法使いを高く買っていたのか・・・。


政府の高官を二人もこの地に張り付けている事から注目されているとは思っていたけど、緊急時のオブザーバー的な役まで求められるのは予想外だ。


何処まで答えたら不自然にならないだろうか・・・。


「えっと、自分も魔物の全てを知ってる訳では無いので探索者としての

予測程度の事しか言えませんよ」


「助かるよ。

我々には魔物が日本方面に向かっている事しか予測できないからね」


「USAでもマコトの活躍は注目されてます。

前回 教えてくれた魔法使い育成カリキュラムは素晴らしいです。

魔法攻撃が出来なくて失望していたシーカー達は生き返りました。

これだけの知識、アメリカにスカウトしてお持ち帰りしたいです」


「それは我が国が断固拒否いたします」


「それならマコトは東京に来るべきね。

何か聞くたびに一々こんなカントリーに来ないとならないよ。

時間のロスね」


カントリー(いなか)とか言うな。


まぁ良いか。アホはほっといて話を進めよう。


・・・ゲームの途中だし早く帰ってもらおう。


「魔物が日本に向かうなら豊富な魔力を求めての事ですよ。

いち早くダンジョンが存在した日本の周囲には魔力・・・

人類にとって未知のエネルギーが多く存在しているのです。

新しく生まれたダンジョンはそれを求めて魔物を派遣した訳です」


「マコトはマンガの読みすぎです。

そんなエネルギーが有るなら日本の科学者がホオッテおかないし、

わがUSAが知らないなど有り得ません」


ちっ、科学至上主義め、めんどくさいな。


「核兵器でもダンジョンは消滅しなかったのでしょ。

つまり、それほどの力場が存在する事にならないか?

そもそもダンジョンを構成しているエネルギーは何なのか、

ダンジョン内だけとは言え、魔法が使えるのは何故か。

そろそろ人類は柔軟な発想が必要なんだよ」


「と言う事は、魔物の目的が日本なのは確実なんだな。

どう対処すべきか・・・」


「大量に飛ばしたと言う事はせいぜいワイバーン程度の魔物だよね。

ドラゴンじゃ無いなら日本まで来るまでに魔力が力尽きてますから

既存の兵器でも戦えると思いますよ。

護衛艦に搭載されていると噂のレールガンの標的に丁度良いでしょう」


「おおっ。それは朗報だな。アレを実戦で使ってみたかったのだ」


「山田さん、防衛庁の貴方がその発言をするのはマズイですよ」


「いやいや、日本も少しは実力を示さないと外交でナメられますからな。

その点で外務省も苦労されてるでしょう」


「いえ、我が国が武力を使うと必要以上に恐れられるからやっかいなのですよ」



そう言えば・・・


「話は変わりますが、函館ダンジョンの魔物、どうなりました?」


「むぅ・・・、思いのほか苦労してるな。

魔物を市内に出さないだけで精いっぱいの状態だよ」


それは予想外だ。外に出たなら既存の兵器が通用すると思ったけど。


市内に出さないようにしていると言ってたな・・・


「ひょっとして、市役所の建物がダンジョン化したのかな?」


「それはどういう意味なんだ?」


「侵略型ダンジョンですから地上にダンジョンを広げるのかなーと。

市役所の建物内がダンジョンなら銃とか爆弾は効果が無くなりますよ」


「それだ‼。やはりここに来て正解だったぞ。俺はこれで失礼する。

報告と現場に指示しなくてはならないからな」


「私も失礼しますよ。今の話は世界に発信すべきですから」



ジュディも帰れよ。ゲームするんだから。


「帰らないのか?」


「まだ聞きたい事があるの」


「何だよ」


「私って魅力無いの?。Hな事しましょうか」


「とっとと帰れ。俺はゲームするんだ」


「わーーっ、うそうそ。ジョークなんだってば」


「アメリカのジョークは日本人には面白くないんだよ」


「じゃあ聞くけど、マコト・・・ あなた何者なの?」


「俺か?・・・俺は正義のヒーロー、マコトマンだ」


「キャアーッ。マコト、スーパーヒーローですか。

素晴らしいです。結婚しましょう」


「ジョークに決まってるだろ。とっとと帰りやがれ」


何故かヒーローと言うと信じるアメリカ娘、


ヤバイから外に捨てよう。





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