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第42話、天敵?

あーー・・・早く帰りてぇ


琴平 涼香(ことひら すずか)の里帰りに付き合わされて千歳ダンジョンまで来ている


ソロの探索者、藤原 (まこと) 16歳です。


深緑の鏃(しんりょく やじり)に拉致られて はるばる4時間かけて車で護送されて来たのに、

休む間もなくそのままダンジョンに突入。


この地の人々から沢山の怒号とヘイトをいただいて

正に踏んだり蹴ったりな一日です。



その上、ダンジョンコアに呼び付けられ芽芽 (めめ)達と合流してからは

日本全国のダンジョンが抱えるお悩み相談を受けていた。


相談内容は「どうやってダンジョンに沢山の人を呼び込むか」の相談だった。


その日はアイディアなど浮かばず撤収した。


そして近くのホテルに宿泊。




さらに次の日もダンジョンに呼ばれて会議している。


この時点で俺は早く自宅に帰りたくなった。



「あっ、今日配信のアニメ、まだ見て無かった。小説もチェックしてない」


「兄様、せっかく私達と出かけているのじゃからそんな事は忘れるのじゃ」


『やれやれ可憐な女性に囲まれているのに無粋な人ですね。

まぁ、自分がモテてると勘違いして少女に手を出す心配も無くて良いですが』


ショタの姿でダンジョンコアが生意気な事を言っている。


こんな所に来た原因の半分はテメェのせいなんだぞ。ゴラッ



「あっ、良い事を思い付いた」


唐突(とうとつ)に声を出したのは曲者の斥候担当、轟 春奈 (とどろき はるな)だ。


「ねぇねぇ、ダンジョンの入り口ってリンク出来ないの?」


芽芽 (めめ)さん、春奈語は俺には分からないから通訳お願い」


「ほーん、そんな事言って良いのマコっち。キミが一番喜ぶ話なんだけどなー」


嫌な予感しかしないのだが・・・


「まぁ良いわ。だからね、各地のダンジョンの入り口を繋いで行きたいダンジョンを選べると面白いじゃない」


「それって、千歳の入り口に入ったのに七飯のダンジョンに行けるって事か?」


「そゆ事。ダンジョンの入り口のゲートって要するに転移門なんでしょ?

行き先を選ぶのが可能かなと思ってね」


素晴らしい、それなら今すぐ家に帰れるぞ。


『可能かどうかで言えば可能ですね。

こちらとしても皆さんが頻繁に来てくれて魔力が頂けるのは魅力的ですし。

良いかも知れません』


「ダンジョンの立場としてはそうでしょうけど・・・止めた方が良いわね」


「そうじゃのぅ。

それだと人気の有るダンジョンだけが混雑するであろうからの」


「それよりもマズイのはそれを利用して日本旅行する人達が大勢出て来るわ。

航空会社や鉄道関係、長距離バスもかしら、大損害になるからダンジョンが

インフラを敵に回す事になるわね」


それに貨物の輸送も可能になるから大混乱に成るだろうな。


ついでに犯罪者が逃亡するのにも利用できる。



『それなら帰りに出られるのは元の入り口限定にすれば問題無いですね。

現地の外に出れなければ問題無い』


それも良いな。俺だけは転移して外に出れるから各地に旅行し放題だ。



「他所のダンジョンに行く場合は 出る場所がランダムで決まるようにすれば?

人気のダンジョンに偏らないようになるよ。少ない所に割り振る手も有るね」


『面白いですね・・・。

手間もそれほどかからないでしょうから他のダンジョンとも協議してみましょう』


「産出品のアイディアは急には浮かばないわね。

とりあえず魔石が一番 無難だから

それに何か魔物の素材をレアで出しておくしか無いわね」


『そうですね・・・

今後も今みたいにアイディアが浮かんだなら知らせてください』


ここまで話をして後は帰るだけ・・・だったのだが



「何だ?これ!」


その場の空間にざわつく程の魔力の変動が起こっている。




「何してるんだ!?おいっ」


『私は何もしていませんよ。

そちらこそ・・・いやっ、これは空間の歪曲。

何者かが転移して来ます』


ザザッ!


ここはダンジョンの最下層。そんな場所に転移するなど普通では無い。


コアを含めて全員が瞬時に戦闘態勢に移る。


やがて小さな影がポワーンと空中に浮かんで来た。



「子供?」


そのシルエットは世の善男子を冤罪にする天敵、幼女だ。(偏見です)


またかよ・・・何で少子化の日本なのに幼女に縁が有るのか、怒りが湧いて来る。



巨大な木の葉を仕立てたような衣装をまとった幼女は

身長よりも長い白銀の髪の毛を揺らしてフワフワと空中に浮いている。


こいつは妖精か精霊かと思わせる儚さを感じさせる顔立ち。


幼女の耳はまだ短いので目立たないが尖っていて種族の特徴を示していた。


『これは驚きました。

以前の世界においても幻とさえ言われていたエルフ族。

しかも、さらに希少なハイエルフの子供ですよ』


「「「「「はあっ?」」」」」


全員がコアの言ってる事は分かる。


だけど、目の前の現実の意味が分からない。



『・・・ここは、何処なのです?』


あっ、気が付いた。


『これは・・・!、

母なる世界樹の恩恵が感じられない。

魔力も希薄、怖い』


キョロキョロと周りを見て俺達を見た幼女。


『人族が私を誘拐したのですね。

人族は私達を奴隷にする残酷な種族。

私をどうする気なのですか・・・

お願い、帰してください。

ぴえぇぇぇぇん』


おいおい、変な声を出して泣きだしたぞ。


子供が怖い俺とダンジョンコアは 幼女のその様子に恐れをなして後退る。


子供に耐性が有る女性陣は平然としている。



ふと、目が合った幼女エルフは俺を見て目を輝かせた気がする。


そして俺は猛烈に嫌な予感がした。


「後は宜しくな」


藤原 (まこと) は転移してその場から逃げ出した。


転移先はダンジョンの1F。


人があまり通らない目立たない場所だ。


このまま家に帰りてぇ・・・



まるで幽霊から逃げるように急いで出口を目指す。


「「「「我らは望むー、エルフの美少女ー」」」」


途中の開けた空間で変な集団が何やら儀式をしていた。



「あれは(いびつ)ですが召喚の儀式ですね。

足元に描かれている魔法陣は本物のようで

作動した痕跡があります」


びっくりした!、


いつの間にか隣に琴平 涼香(ことひら すずか)が居た。


彼女は召喚などの研究でも賢者の称号を持つ専門家である。


「あ奴らは無意識の転生者じゃな。

自分たちの妄想が前世の知識とは思っておらん。


娯楽として召喚ゴッコをしているのじゃろう。

それが本当に召喚の儀式とは気が付いておらん。

この子を呼び寄せたのは十中八九あの者達じゃろう」


「げっ、その子を連れて来たのか?」


メメはエルフの幼女を抱きかかえている。


「連れ帰ったらマズイだろ。コアに押し付けてくれば良かったのに」


「何を勘違いしておる。

この子が兄様を追いかけて来たのじゃ。

我らを巻き込んで転移してのけた。

さすがハイエルフじゃの」


見ると幼女エルフは俺をガン見している。




「おい、君たち。小さな子供が何故ここに居る?」


カルト集団の一人が俺達に気が付いた。


まずいな・・・幼児は法令でダンジョンの入場は厳禁なのだ。


連れ込めばそれだけで犯罪者だ。


チッ、めんどくさいな・・・。



「その耳、その子はもしかしてエリュふなのりゃ・・・ありぇ」


俺は幼女に気が付いた男を魔法で脳内出血にして破滅させた。


この男が転生者であり、儀式を主宰していた張本人だ。




「ぐああっ、何だ?急に腹がイテエーーーっ、」


「ぐああーーっ、俺も、急に、マジでいてーっ」


次に参加していた他のメンバーを胃潰瘍(いかいよう)にした。


そのせいで召喚の儀式もエルフも忘れるくらいパニック状態だ。


非人道的、鬼畜の所業、そう思われるだろうが思えば良いさ。


何とでも言ってくれ。



「その子を俺に渡してくれ、転移して外に連れて行く。

ゲートから外に幼児を連れ出すと大騒ぎになる。

しかも身元不明の幼児だ。

へたすると俺達が犯罪者に認定されるからマズイだろ」


「あっ、そうよね。気が付かなかったわ・・・」


「それは良いがのぅ、後でこの騒ぎを起こした理由も聞かせてもらうのじゃ」


何故か飛び付くように喜んで俺に抱きついて来る幼女エルフ・・・


深緑の鏃(しんりょく やじり)の全員から冷たい目が降り注ぐ。


俺が何をしたと・・・



すぐさま外の駐車場に転移。


姿を隠すためのクロークをエルフに被せて彼女を隠した。


ついでに俺が身に着けている探索用の装備もストレージに放り込む。


探索者であろうとダンジョン以外で武器の着用は禁止なのだ。


「手を繋いでてくれるか」


『ん♡』


見えなくなった幼女エルフとはぐれないようにしていると、

まるで保母さんにでもなったようで複雑な気分だ。


あっ、男の場合は保父さんか・・・


それにしても 何故にこの子は初対面の俺に(なつ)いてるんだ?




今日は 深緑の鏃(しんりょく やじり)の護衛達は電話で呼び出すまで待機しているので今は居ない。


まわりのギャラリーは殆どが彼女達のファンてあり、俺に対してアンチな人達。


つまり、アウェイな敵地にポツンと一人で立っている状態だ。


一人でノコノコ出て来た憎い男には容赦の無いプレッシャーが圧し掛かる。


今にも誰かが絡んで来て乱闘騒ぎに成りそうな緊迫した雰囲気なのだ。


皆早く出て来て欲しい。



そんなピリピリした駐車場の空気が一瞬で変わる。


黒塗りの高級車がぞろぞろとこの場に入って来たからだ。






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