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僕らが風を追い越す日 8話

文化祭前日。

音楽室の中には、緊張と期待が入り混じる独特の空気が漂っていた。


「明日、頑張ろうな!」


菊池壮太は、いつもの笑顔で仲間に声をかける。

バンドメンバーが集まり、最終調整をしていた。


「歌うの、久しぶりだな」

ギターを弾いていた長濱麗亜が、少し照れたように言う。


「お前、上手いじゃん!堂々としてるし。やってみろよ、明日は」

そう言うのは、小林旺汰。


でも、麗亜はちょっと遠くを見る。


(あの頃、こんなふうにみんなと一緒に過ごせる日が来るなんて、思ってなかった)


その頃、体育館では、大塚公司がバスケ部の練習をしていた。


「文化祭、終わったらさ、またみんなで集まろうぜ」

その言葉を口にしたのは、高橋花蓮。

彼女は、少しだけ遠くを見つめながら言った。


「バスケの試合も頑張ってね」


「おう、絶対勝つ。文化祭が終わったら、オレたちも負けねぇからな!」


でも、その目の奥には、少しだけの迷いがあった。


放課後の準備が終わった後、山本ひまわりはふと思い立って、文化祭の音楽室へと向かう。


「え、ひまわり? どうしたの?」


千葉大輝が、その彼女の姿を見て、少し驚いて声をかけた。


「うん……なんか、久しぶりにあの曲を聴きたくなった」


大輝は、ひまわりの後ろを歩きながら、彼女の言葉に耳を傾ける。


「曲? 何の?」


「私たちが、初めて一緒に聴いた曲」


「……ああ、あの時のな」


大輝が少し照れたように笑う。


「ねぇ、大輝。今、あなたはどんな風に思ってる?」


ひまわりがそう問いかけると、大輝はしばらく黙って歩き続けた。


「どう思ってるって、言葉で言うのが難しいな。でも……お前が、どう思ってるかが大事なんじゃないか?」


その言葉に、ひまわりは思わず立ち止まる。


「じゃあ、今度は私の番かな」


彼女は笑って、少しだけ前を向いた。


その夜、文化祭の準備が終わり、疲れた体を休める時間がやってきた。

麻生悠斗は、スマホの画面を見つめながら、心の中でずっと迷っていた。


「……花蓮、やっぱり伝えなきゃいけないんだよな」


彼は何度も自分に言い聞かせ、決意を固めた。


(もし、今伝えなかったら――きっと後悔する。これだけは、絶対に。)


その決意を胸に、悠斗は歩き出す。


文化祭当日。


グラウンドでは、学生たちが盛り上がっている。

バスケ部の試合が始まり、会社もその応援に駆けつけていた。


「絶対に勝つぞ!」


大塚公司のその一言が、チーム全員を奮い立たせた。


そして、音楽室で最後の演奏が始まる。


「じゃあ、いきますね!」


麗亜がギターの音を鳴らすと、メンバー全員が一緒に息を合わせて、音楽が流れ出す。


ひまわりと大輝も、その部屋の中にいて、少しずつお互いの距離が縮まっていった。


青春は、音楽のように響き渡る。

それぞれの心が揺れ動く中で、いくつもの想いが交差する。



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