表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/9

僕らが風を追い越す日3話

やあああああああああああ!!

こんちゃっちゃ!!!!

くらげさんっですよおおおおおおおおおお

ぜひ読んでね^-^

次の日の昼休み。

教室にあるはずの“日常”は、ほんの小さなズレで、まったく違う景色になる。


「ねぇ、大輝。ちょっと、いい?」


その声に、教室中が少しだけ静かになった。


千葉のいとこ――千葉瑠璃ちば るり

大輝の親戚であり、同じ高校に通う一年下の後輩。だけど、ひそかに“大輝狙い”として有名だった。


「……何?」


「これ、返す。前、貸してくれたやつ」


彼女が差し出したのは、大輝が貸したイヤホン。

けれど、それ以上の“意味”を持っていることに、まわりの空気が敏感に反応する。


「ありがと」


それだけ言って、彼はすぐにイヤホンをしまう。表情に変化はない。


(ねぇ、なんで今の見た?)


教室の後ろで、それをじっと見つめていた山本ひまわりは、机の角に爪を立てていた。

自分から離れたくせに、勝手に嫉妬してしまう。

それが惨めで、悔しくて、でも止まらなかった。


そのとき、ひまわりの隣に座っていた上原あんなが、何気なく呟いた。


「元カレに未練あるなら、動いたほうがいいよ」


「……なに、急に」


「いや、私もさ、健多に冷めたって思ってたけど……ホントは“他の女と話してる”とこ見て、なんかモヤッとした。あれ、たぶん、まだ好きなんだと思った」


その言葉は、まるで心の奥底に放り込まれた石のように、ひまわりの中に沈んでいった。


放課後。

美術室では、太田東二先生が新婚話を熱弁していた。


「君たち、愛ってのは、相手を全部知ったうえで、それでも“見たい”と思えるかどうかだ」


「はいはい、先生ののろけはもう聞き飽きました〜」


と、冗談交じりに返すのは、中山けいと。

口調はキツいが、内心は案外ピュア。力も強いけど、恋にはとにかく不器用だ。


「でも、わたし、なんか分かるかも」


と、ぽつりと呟いたのは内村荘子だった。

不登校だった彼女が、今日は久しぶりに登校していた。

誰もが驚いたが、誰もが嬉しそうにしていた。


「……荘子、今日、来れてよかったね」


隣で、中村海偉が柔らかく声をかける。陸上部のエースで、イケメンで面倒見がいい彼。

荘子の小さな勇気に、ちゃんと気づいていた。


「……ありがとう」


その笑顔は、誰よりもぎこちなくて、誰よりも美しかった。


そしてその頃、校舎裏で――


「……ひまわり。ちょっと話せる?」


ひまわりの前に立っていたのは、千葉大輝だった。


一瞬、空気が止まった気がした。


「なに?」


「……昨日、イヤホンのことで誤解されてたら嫌だなって思って」


「別に、どうでもいいし」


「そうか……でも、言いたかっただけ」


風が吹いた。あの日と同じ、春の匂い。


ふたりの間にあったのは、ほんの数十センチ。

でも、それは“遠すぎる距離”だった。


「じゃあ、行くわ」


「……うん」


ひまわりが見上げたその背中は、やっぱり少しだけ寂しそうで。

でも、自分にはまだ、それを引き止める勇気がなかった。


風が、揺れる。

心も、揺れる。

だけど、誰もまだ、“本音”を言えていなかった。

コメントとか残しちゃってもいいのよ?

追記

ミスって連載にしちゃった、๑>؂<๑)てへぺろ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ