僕らが風を追い越す日3話
やあああああああああああ!!
こんちゃっちゃ!!!!
くらげさんっですよおおおおおおおおおお
ぜひ読んでね^-^
次の日の昼休み。
教室にあるはずの“日常”は、ほんの小さなズレで、まったく違う景色になる。
「ねぇ、大輝。ちょっと、いい?」
その声に、教室中が少しだけ静かになった。
千葉のいとこ――千葉瑠璃。
大輝の親戚であり、同じ高校に通う一年下の後輩。だけど、ひそかに“大輝狙い”として有名だった。
「……何?」
「これ、返す。前、貸してくれたやつ」
彼女が差し出したのは、大輝が貸したイヤホン。
けれど、それ以上の“意味”を持っていることに、まわりの空気が敏感に反応する。
「ありがと」
それだけ言って、彼はすぐにイヤホンをしまう。表情に変化はない。
(ねぇ、なんで今の見た?)
教室の後ろで、それをじっと見つめていた山本ひまわりは、机の角に爪を立てていた。
自分から離れたくせに、勝手に嫉妬してしまう。
それが惨めで、悔しくて、でも止まらなかった。
そのとき、ひまわりの隣に座っていた上原あんなが、何気なく呟いた。
「元カレに未練あるなら、動いたほうがいいよ」
「……なに、急に」
「いや、私もさ、健多に冷めたって思ってたけど……ホントは“他の女と話してる”とこ見て、なんかモヤッとした。あれ、たぶん、まだ好きなんだと思った」
その言葉は、まるで心の奥底に放り込まれた石のように、ひまわりの中に沈んでいった。
放課後。
美術室では、太田東二先生が新婚話を熱弁していた。
「君たち、愛ってのは、相手を全部知ったうえで、それでも“見たい”と思えるかどうかだ」
「はいはい、先生ののろけはもう聞き飽きました〜」
と、冗談交じりに返すのは、中山けいと。
口調はキツいが、内心は案外ピュア。力も強いけど、恋にはとにかく不器用だ。
「でも、わたし、なんか分かるかも」
と、ぽつりと呟いたのは内村荘子だった。
不登校だった彼女が、今日は久しぶりに登校していた。
誰もが驚いたが、誰もが嬉しそうにしていた。
「……荘子、今日、来れてよかったね」
隣で、中村海偉が柔らかく声をかける。陸上部のエースで、イケメンで面倒見がいい彼。
荘子の小さな勇気に、ちゃんと気づいていた。
「……ありがとう」
その笑顔は、誰よりもぎこちなくて、誰よりも美しかった。
そしてその頃、校舎裏で――
「……ひまわり。ちょっと話せる?」
ひまわりの前に立っていたのは、千葉大輝だった。
一瞬、空気が止まった気がした。
「なに?」
「……昨日、イヤホンのことで誤解されてたら嫌だなって思って」
「別に、どうでもいいし」
「そうか……でも、言いたかっただけ」
風が吹いた。あの日と同じ、春の匂い。
ふたりの間にあったのは、ほんの数十センチ。
でも、それは“遠すぎる距離”だった。
「じゃあ、行くわ」
「……うん」
ひまわりが見上げたその背中は、やっぱり少しだけ寂しそうで。
でも、自分にはまだ、それを引き止める勇気がなかった。
風が、揺れる。
心も、揺れる。
だけど、誰もまだ、“本音”を言えていなかった。
コメントとか残しちゃってもいいのよ?
追記
ミスって連載にしちゃった、๑><๑)てへぺろ