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空き教室の僕と彼女②

 いつから彼女と空き教室で話す様になったのか。

 元々あの空き教室は僕の安全地帯の様な場所だった。

 部活動に興味はなかったし、友達も特に欲しいとは思わなかった。

 ただ放課後にすぐに家に帰るのも味気ない気がして、校舎を歩き回って見つけたのがあの空き教室だった。

 それからは昼休みと放課後に空き教室へ行き、勉強をしたり本を読んだり、うたた寝して過ごした。

 その日の放課後もいつもの様に本を読んでいた時だった。


 突然扉が開かれ勢いよく入って来たのが彼女だった。

「…っ!?あっ!ごめん!ちょっと匿って!」

 そう言って彼女は僕の方に駆け寄り扉から見えない位置に蹲った。

 少しすると廊下をバタバタと数人が走る音が近づき、そして遠ざかっていった。

 通り過ぎる際、何人かこちらを見ていたが僕と目が合うなり慌てて走り去っていった。

 人の顔を見て慌てて走り去るなんて失礼ではないか。

 ため息を吐きつつ僕は未だ蹲る彼女に声を掛けた。

「いつまでそうしてるんだ?もう行ったぞ」

 僕に声を掛けられると思っていなかったからか、彼女は身体をビクリと震わせた。

 …突然声を掛けたのは悪いと思うが、少し傷つくぞ。

 恐る恐る顔を上げた彼女と目が合う。が、すぐに逸らされた。

「…えっ…とぉ…そのぉ…ありがと…」

「はぁ、特に礼を言われる事はしてない」

 僕は本の続きに目を落とし、それ以上彼女に早く出ていけオーラを放った。


 静かな教室にはパラパラと紙の捲れる音がする。

 あれからどれほど時間が経ったのか。

 彼女はまだこの教室に居た。

 しかも僕の目の前の席に座り、此方をじっと見ている。

 ずっと見られているせいで集中出来ず、ただページを捲っているだけで読めていない。

「ねぇ、さっきからずっと同じスピードで捲ってるけど、それ読めてるの?」

 声を掛けられたのにも驚いたが、読めていないことも気づかれている。

 と言うか、誰のせいで集中出来ないと思ってるんだ。

 かと言って「ガン見されているから集中出来ない」なんて絶対に言いたく無い。

 僕は本を閉じて彼女に顔を向けた。

「…君はどうしてまだ此処にいるんだ?そろそろ追いかけて来た奴らは居なくなったとおもうが」

「同じクラスなのにちゃんと話した事無かったなぁ、と思って」

「…僕の話し聞こえてないのか?それとも僕の声が思ったより小さいのか?…なんでまだ此処にいるんだ?」

 僕は先程より声を大きめに出した。

「君って目つきが悪いだけで結構良い人なんだね。自分のと僕っていうのもなんか意外!」

 ニコニコしながら話す彼女は僕の声と言葉は聞こえているらしい。

「会話が噛み合ってないのだが?言葉のキャッチボールって知ってるか?」

「意外と話しやすいって分かってたら、もっと早く話しかけたのになぁー」

「そうか。僕の話しを聞く気が無いって事はよく分かった。もう好きにしてくれ」

 会話をする気があるのか無いのか、僕の質問に答えたく無いだけなのか、もう諦める事にした。

 それを狙っていたかの様に彼女は先程より身を乗り出し、僕に質問をし始めた。

「ねぇ、さっき読んでたのなんていうやつ?ジャンルは?」

「"この空が続くまで“ジャンルは純愛、感動系だ」

「そうなんだ!だから入った時涙ぐんでたんだね」

「はっ!?なっ!涙ぐんでねーよ!」

「でも学校で純愛の感動系読むなんて意外だよー。あ!だから誰も居ない教室なのか!」

「うるさい!もうそれ以上揶揄うな!」

 その後もニヤニヤした顔の彼女と他愛無い話しをした。

 そして、帰り際に読んでいた本を彼女に貸した。

 その出来事がきっかけで放課後にちょくちょく彼女と過ごす様になった。

 ちなみに、家のリビングで読んで号泣していたら親に心配さてからは、自分の部屋で読む事にしたと言っていた。

 思い返すと何故彼女がよくこの教室に来るのかわからない。

 だが、彼女からと過ごすこの時間が嫌いでは無いのは確かだ。

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