第2話 あそびについて。
僕は良い意味でも、悪い意味でも変な保育士だった。
サッカーで遊んでいても、全力でフェイントや切り替えしをしてボールを渡さない。かけっこでもぶっちぎりで勝つ。
鬼ごっこでも悲鳴を上げて逃げたり、わざと転んだりして子どもに捕まっていた。
かくれんぼにいたっては忍者かというくらい本気で隠れた。相手は保育園児である。
特に子どもを丈夫なカラーボックスに入れて持ち上げ歩き回る、「デロリアンごっこ」は子どもに好評だった。
僕が子どものことを「マーティ!」と呼び、「先生のことはドクと呼んで!」と言うと、大人にも子どもにも笑いが取れた。
僕が子どもを肩に載せて、「兄者…」や「100%…」と言う「戸愚呂弟ごっこ」や、「アンドレ!」「フェルゼン!」と叫びながら踊る「ベルサイユの薔薇ごっこ」も子どもは喜んだ。相手は保育園児である。
紙芝居や絵本の読み聞かせもアドリブは当たり前で、声色を変えて劇団のように話して聞かせた。
保護者もそれをおもしろがって、お迎えに来ても子どもたちと一緒に最後まで見てくれていた。
ちなみに読み聞かせにアドリブは入れない方が好ましい。
僕の保育ボケは、周りの大人も笑えるように狙っていたので、子どもが「???」となることも多かった。
しかし、子どもは子どもで、「なんか大人も楽しそうなことしてるわね」というのは感じるみたいで、いつもにこにこしてくれていた。
そんなキャラクターの保育士だったので、他のクラスの子どもたちからもすっかりなつかれるようになった。
色んな年齢の子が熱烈にくっついて来てくれるので、自分がどのクラスの子を見ているのかわからない時もあった。
それは担任としてどうなんだろうと今では思う。というか、それで怒られたこともある。
しかし、何よりありがたかったのが、他の先生方がそんな僕にとても寛容だったこと。
ベテランの先生ばかりだったので、僕に対して「こいつ、意味わかんねえ」という顔はしつつも、笑ってくれたり、突っ込んでくれたり、時には真顔で注意してくれたりした。
他の保育園だったら、完全にアウトだっただろう。