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09 戦闘と採種、どっちも無双!

09 戦闘と採種、どっちも無双!


 しかしそんなことより僕は、秘密基地の新たな可能性にすっかり心を奪われていた。


「アイテムボックスは中身だけを異空間して、たくさんのアイテムが入るようしたものだけど、ボックス自体の重量と質量は無くならない。でも秘密基地は、完全に異空間に隔離することができるみたいだ。それって相当すごいことなんじゃ……?」


 そして僕は当然のように、ある疑問に行き当たる。


「……秘密基地の中にはいったまま、グッバイ・ゲートを使ったら、どうなっちゃうんだろう……?」


 それは試しにやってみるにしては、ちょっとリスクが大きいネタだった。


 まず、アイテムボックスに人間が入ってたところで大きな問題はない。

 これは、過去の実験において実証済みだ。

 でもアイテムボックスは存在しえるかぎり、施術者の魔力を消費する。

 もしアイテムボックスに中身が入っているときに施術者の魔力が切れると、中身は永遠に失われるという欠点があるんだ。


「でも待てよ。そもそも秘密基地は魔力を消費して存在している感じじゃないよね……。ああっ、もうガマンできない!」


 僕はとうとう好奇心に勝てなくなり、ゲートをくぐって秘密基地の中に入る。

 その勢いに任せ、内側のゲートに向かって手をかざした。


「もしかしたら、すごい発見があるかもしれないんだ……! ……グッバイ・ゲート!」


 思い切ってやってみたものの、なにか起こったような感じはしなかった。


「……秘密基地の中にいるときは、グッバイ・ゲートの効果が発動しないみたいだ」


 そうつぶやきつつゲートの取っ手を掴み、捻って外に出ようとしたんだけど、


「あっ、開かない!? なんで!?」


 ゲートには鍵なんて付けていない。それにゲートは内開きだから、外になにかが塞いでいたとしても開くはずだ。

 っていうかそれ以前に、取っ手が固められたみたいに回らなかった。


「あ……そうだ、覗き窓!」


 僕はゲートの目のところにある覗き窓を開こうとした。

 これは一見、目の飾りみたいに見えるけど、スライドさせると向こう側が見えるようになってるんだ。


 しかしその覗き窓も、接着剤で固められたみたいにびくともしなかった。

 それから僕は、ゲートを押したり引いたりしてみる。

 ゲートに向かって「開けてよ!」と訴えてみたりもしたけど、困り顔が返ってくるだけだった。


「う~ん……とりあえず、元に戻すしかないか。元に戻らなかったら嫌だな……ハロー・ゲート!」


 嫌な予感というのは的中しやすいものだけど、この時ばかりは当たらなかった。

 ハロー・ゲートを唱えたあとはゲートは普通に開くようになっていて、外には見慣れた草原の景色が広がっていた。


「やっぱり、僕はさっきまでこの世界から隔離されていたんだ。物理的に、この世界からいなくなってたんだ……」


 そう考えるとちょっと怖い気もするけど、同時にすごく便利だと思った。

 実をいうと、僕はセキュリティについてちょっと気にしてたんだよね。

 こんなすごい秘密基地の存在がまわりに知られたら、自分のものにしようと押し入ってくる人が絶対に出てくるはずだ。

 そうなると施錠とかの防犯対策が必要になってくるんだけど、施錠というのはピッキングに強くしようとすると構造的に脆くなり、破壊されやすくなるんだ。

 その逆も然りだったんだけど、防犯問題が一気に解決しちゃった。 


「うん……! 世界一の怪盗どころか、破壊神が来ても怖くないぞ……! だって、ゲートが物理的に存在しないんだから……!」


 それどころか、秘密基地をどこに置いても大丈夫になる。

 僕は利便性のほかに安全性も考えて草原の川べりに秘密基地を置いたんだけど、その心配もなくなった。


「モンスターだらけの森の中に引っ越しても、へっちゃらだ……! よぉーし、そうとわかればさっそく……!」


 僕は秘密基地を飛び出し、剣と盾を振り回しながら森へと突っ込んでいく。

 そして出会い頭のラビッツノを、ばったばったとなぎ倒す。


 戦闘レベルが4だと、もうラビッツノにも遅れを取ることはない。

 しかし敵もさるもの、ナワバリを荒らされたラビッツノたちは単体では勝てないとわかるや、停戦協定を結んだかのように群れとなって襲い掛かってきた。


 僕はもう今朝までの僕じゃない。

 木刀を背中に担ぐと、ラビッツノたちを走っておびき寄せる。

 ドリフトするように地面を滑りながら、サスペンダーの弾帯から手斧を取りだす。

 握りしめただけで手斧は実用サイズまで大きくなり、柄がちょうど握りやすいところに来てくれた。


 流れるような動きで、近くにあった大木めがけて手斧を一閃させる。

 一刀両断。一直線に並んで追いついてきたラビッツノたちは、雪崩のように空から降ってきた大木に、


 ……ずずぅぅぅーーーーーんっ!!


 まとめて押し潰されていた。本日3度目の一網打尽に成功。

 あまりにもうまくいきすぎたので、僕はこの身体が自分のものじゃないような錯覚にとらわれていた。


「すごい……! 僕は運動が苦手だったのに……! 戦闘レベルが上がったおかげで、運動神経まで良くなってるみたいだ……!」



『戦闘レベルがアップ! 基地レベルがアップ! 新しいスキルを習得しました!』



 秘密基地を出てからほんの数分しか経っていないというのに、僕はレベルアップを果たす。

 それどころか大木と、たくさんののびたラビッツノという戦利品まで手に入れていた。


 そして……新しく増えたスキルが、これまたすごかった……!

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