笑顔をこぼす。 小さくても。力強く。
ほんわかする回です。この世界について少し触れます。
「……ふうっ。これで完了。完全に怪我は治ったよ〜まぁ。私なんかの“マホウ“だから、ちょっと心配だけどねー」
「……ううん。すごいよ。“マホウ“が使えるんだね」
「…?学校で習わなかった?」
やべぇ…!何とか誤魔化さないと…
「えーと。あんまり記憶がないんだ…。何でこんな電車に乗っているかわかんないし」
「えっ! そうなの!?かなりやばいんじゃ…!だから頭を怪我していたのね…。外側からの怪我は治せても、内側からは治せないのが“チユマホウ“の痛い所よね…」
「チユマホウ…」
「とりあえず、都市部の方のお医者さんに診てもらう?」
「ううん。大丈夫。痛くはないし、生活できる範囲だから」
私は席から立ち、状況を把握する。
目の前の女性はさっき、カレストリア王国と言っていた。
私のしょぼい知識では、そんな国名は聞いたことがない。
先程の“マホウ“からしても、これは異世界に行ってしまったと考えるべきだろう。
…ありえないが。普段なら考えもしない妄想のようだが!
とりあえず、のんびりしようかな。
…ちょっと、疲れちゃったし。
そうして私は考え事をやめる。
「カレスト…ってカレストリア王国の一部なのよね?」
私は質問を目の前の人に向かってする。
その人は優しく笑うと丁寧に教えてくれる
「えぇそうよ。 カレストは一言で言うと田舎だよ。のどかで、都市部から離れてて…都市からのお客さんも滅多にいないの」
「へぇ。私、記憶がないから、この国のことも忘れちゃってて」
「そうよね…。でも特に覚えることはないと思うわ。カレストではね。都市部だったらいろんなことを覚えないといけないから大変よ。」
都市部。…私がいた、暗い社会のことかな。…こんな世界にもあるんだ。暗い裏側の世界が
「あ。ちなみにこと電車は都市部からカレスト行きの電車よ。 カレスト唯一の電車。…都市部では、廃止すべきだーって言う意見もあるみたいだけど…。カレストの住民にとってこの電車は都市部に行く唯一の方法なの。それに…。人がいなくても、落ち着いた空間で私は好きだから…」
目の前の人はそう言うと顔を曇らせる。
「大丈夫よ。都市部の人たちも考えてくれるはず。この電車がなくなることはないよ。
それに、そんなにも大切にしてくれているあなたがいるんだから、消えることはないよ!」
私はぐっと拳を構えた。
力強くそう言うと、目の前の人はニコッと笑った。
心の底から。嬉しそうに。
その笑顔を見て、私もつられて笑みが溢れた。
あぁ…。こんなにもやさしい気持ちになるって、久しぶりだな。
次回もお楽しみに!




