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到着(調査官ロイ)

久しぶりにラスター王国の地を踏んだ。教会へ着き、アキム司祭様に面会を申し込む。最初は怪訝な顔をしていた受付の神官は、高等法務院の印章を見せると明らかに態度を変えた。

アキム司祭様の姿を見て、懐かしさが湧く。

「ロイじゃないか。大きくなったな」

司祭様は覚えてくれていた。疲れた顔をした司祭様に印章を見せると、司祭様は顔を覆った。

「そうか…立派になったな。ルーミア様にも見ていただきたかった。立派になって、姫様も喜んでくださっただろう」

そう言った司祭様の瞳は潤んでいた。

姫様の墓はないのだという。本人が墓を作ることを望まなかったと。遺骨も姫様の希望に沿って散骨した…一時でも長くこの地に留めておきたくなかったのだとアキム司祭様は静かに語った。相棒のジュストに視線を向けると、頷いている。


俺はこのラスター王国の孤児院で育った。孤児院を出る年齢が近づいたある時、俺に特殊能力が発現した。俺の能力は「つながり」を視る能力だ。血のつながり、物と持ち主のつながり、いろいろな()()()()がわかる。

特殊能力が発現した俺は、連合の組織の一つである高等法務院に呼ばれた。訓練をして、一般常識と呼ばれる知識や最低限のマナーを叩き込まれた。何度も試験を受け、使えると判断されて、俺は正式に高等法務院の調査官となった。

高等法務院には、俺のような特殊能力者が集められていた。ジュストとは、わりといつも組んで仕事をしている。調査官は主に二人組で調査先に向かうが、そのペアは上から指示が出る。俺とジュストは能力の相性がいいらしく、相棒といえるくらいに組まされることが多かった。ジュストの特殊能力は相手に真実を話させることができる。嘘をついているかどうかもわかるらしい。



高等法務院は、連合に所属する国が不当に処罰を与えた場合、被害者が訴え出た内容を調べて精査する部署だ。本当に罪を犯したのか、冤罪なのか。妥当な刑罰が与えられたのか。その対象は主に王侯貴族だが、平民でも高等法務院に訴えることは可能だ。

王侯貴族の罪を問う時は連合所属の法務官が立ち会うが、それでも不当に処罰されたと訴えられる場合がある。その真偽を調査するのが高等法務院だ。

高等法務院によって審議され、不当だと判断されれば、その国にはそれなりのペナルティが課される。



ルーミア様の書状に同封された添書は、確かにアキム司祭様と()()()()がある。

ルーミア様を火葬した場所に連れて行ってもらうと、姫様の書状の血判とその小さな穴には()()()()があった。

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