偽王女(調査官ロイ)
第三王女が罪の告白をしたが、誰も彼女を断罪しない。ルーミア様が冤罪を着せられたことが明白になったというのに、この国は、王家はどうなっているんだ。
「国王陛下。第三王女殿下がルーミア様に冤罪を着せたと告白しましたが、一体どうなさるおつもりですか?」
こちらから口火を切って促してみたが、王は眉間に皺を寄せたまま言葉を発しない。
「ルーミア様は、冤罪で処刑されたのですよ?」
言葉を続けたが、やはり王からの返答はない。睨むように王を見つめていると、しばらくしてやっと王が口を開いた。
「ルーミアにはすまないことをした。しかし、王族である第三王女を簡単に断罪することはできない」
どの口が言うのか。ルーミア様のことは録に調べもせず、さっさと処刑したくせに。
「王族でなければ、断罪するのですか?」
「あぁ…そうだな…」
歯切れの悪い返答を寄越した王に、俺は告げた。
「では、第三王女殿下はラスターの王族ではありませんから、断罪してください。王族でもないのに王族を名乗り、本物の王族であったルーミア様が処刑される原因をつくった罪人です」
「何を言うのだ。第三王女は王族だ。わたしの子だぞ」
「違います。第三王女とあなたにはなんのつながりもない」
「無礼者。戯れ言を言うな」
「本当ですよ。ここにいる他の王子と王女は王であるあなたとつながりがある。もちろん、ルーミア様もあなたとつながりがあります」
俺はルーミア様の血判状を取り出した。
「ここにあるルーミア様の書状は本物だと確認がとれています。ここに押されたルーミア様の血判と、一番強いつながりがあるのはあなただ」
第一王子を指し示して続ける。
「あなたがルーミア様の実の兄上様でしょう?」
第一王子が頷いた。第一王子のすぐ側には第二王子もおり、二人の年格好はよく似ていた。
周囲の目は疑い半分、驚愕半分のようだ。本当に俺がつながりをみることができることを信じきれていなかったらしい。
「国王陛下、この血判はあなたともつながりがある。他の王子殿下や王女殿下も、あなたとつながりがある。しかし、そこの第三王女だけは、ここにいる誰とも、なんのつながりもないのですよ。わたしは連合高等法務院の正式な調査官です。そのわたしの能力が信じられないということでしたら、どうぞ連合本部に血を送り調べてもらってください。王と第三王女に血のつながりはありません」
その場が騒然とした。高等法務院の正式な調査官である俺を疑うのは、即ち連合の裁定を疑うことと同義だ。表だって連合のこの国に対する評価は変わらないが、何かあった時の裁定には間違いなく加味される。それでもラスター国王は連合本部に血を送った。連合本部に血の鑑定を依頼し、結果がわかるまで第三王女は自室に軟禁となった。
第三王女の生母はすでに亡くなっているらしく、第三王女が誰の子かはわからない。通信装置を用いて鑑定結果が届けられ、ラスター王国と第三王女の血縁関係は否定された。そして、第三王女は牢に入れられた。




