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はじめてのけーば3

にゃ




あの、はい。調子に乗りました。

途中で係のおじさんがなぜか泣いていたが、なんだったんだろうか??


9010万円を当てた後、10レースに賭け、その全てにボロ勝ちを収めた結果、、、



俺は小切手を握っていた。

因みに、書かれている額は¥31.765.000.000



317億6500万円ですね。はい。

後日、銀行に持っていけば対応してくれるらしい。



「やっぱり俺、働かなくていいかも。。。」



今手元には現金で9060万円と317億の小切手がある。



「とりあえず今日は帰るか」



もう日も沈み始め、時刻は19時過ぎである。



「ただいま〜」


「「たろにぃ!おかえり!!」」


「おぅ、ユキ、ユイただいま」


真っ先にお迎えに来てくれたのは双子姉妹のユキとユイ。顔も体格も瓜二つだが、いつも髪を左耳にかけてるのが姉のユキ、右耳にかけてるのがユイだ。


ダブルで飛び付いてきたのでしっかりと両手で受け止める。父親になった気分である。



「ねぇねぇ!たろにぃ!この袋なぁに?」

「なぁにぃ?」


「あぁ、それはね〜、えっと」



まぁ正直に言っていいのか迷ったのだが、何故か大丈夫だと思ったので家族には伝える事にした。



「それはね、お金だよ、たっくさんの」


「えぇー!これ全部ホンモノなのー!?」

「ホンモノなのー!?」


「本物だよ」


「「たろにぃすごーい!」」



2人でそう言って奥へ走って行く2人。



「ねぇねぇ!ママ!たろにぃね!」

「たろにぃね〜!」


「おぉ、おぉ、どうなさって??」


「たっくさんお金があるんだよ〜!」

「あるんだよ〜!」


「そっか〜、たっくん頑張ってるもんね〜、凄いね〜」


たっくんてのは俺の事だ。ユキユイ以外の家族は基本俺の事をたっくんと呼んでいる。


「お母さん、ただいま〜」


「たっくん、おかえり〜、今日は朝から何処に行ってたのかな〜??」


やたらとニヤニヤした顔で聞いてくる母。


「まぁ、ちょっと競馬に」


「たたた!たっくんが競馬!!?」


いきなりの大声にユキユイが身体ビクッと跳ねさせ、ゆっくりと俺の横に来て服の袖を掴んでいる。


「ほら、いきなり大声だすからユキとユイがビックリしてるぞ」


「あ、あぁ、ごめんね。

ってそれよりどしたの!?たっくん!?今の今までゲームセンターには良く行ってたけど、その、大人の賭け事なんて一切やってなかったのに」


「いや〜、最近流行りのウマのゲームお母さんも知ってるだろ?それやってたらなんか本物の競馬っての生で見てみたくってさ」


「知ってる知ってる、ウマ漢だったっけ?気持ちは分からなくも無いけど、ほら、やっぱり心配になるからさ、賭け事って勝てる時もあるかもだけど負ける方が多いじゃない?」


「仰る通りではあるんだけどね〜、まぁ、見てよこれ」



俺は9000万円が入った紙袋を見せる。60万は財布にぶち込んである。



「、、、、、」



母はしっかりと中身を見つめ、手に取り、確かめてから言った。



「いくらあるの??」


「9000万」


俺は真実を伝える。するとまたしばらく固まって、、



「いっぱい当たったんだね??」



なんとも抜けた顔で首を傾げながら言った。

俺は問う。



「普通の息子がいきなり競馬で9000万円勝って帰ってきたら怪しくないか??」



「んー、でもいっぱい当たったんでしょ?」


「まぁ、そうなんだが、、」



俺は不思議に思いながらも一ヶ月過ごしていた。

そう、この矢印を使う事によって本来起こり得ない現象を周囲の人々はあたかもそれが普通であるかの様に振る舞うのだ。


コンビニの店員、レンタカーの店員、競馬の係員、そして俺の家族。

他にも職場の人と食事に行った際、俺は矢印を使い800円のランチを80円で済ませたが、共に食事をした同僚は俺のお会計を見ていたのにも関わらず、当たり前の様に800円を払う。

そしてお店の店員も同僚も何も言わない。

美味しかったな、また来たいな。などと言っていた。



何を言いたいかというとだね、この謎の矢印は非常にご都合主義なのだ。しかも俺にとって都合良く働く様になっている。


やっている事は0を増やしたり減らしたりしているだけなのだが、この数字で溢れた世界、0を自分の好きなように増減できるのは人生を楽に過ごしてくれとでも言われてるようだった。


だが、何故この様な事ができる様になったのか皆目見当も付かない。間違いなく俺は何もしていない。普通の毎日を過ごしているだけだった。


であれば、第三者の介入を疑う他無いのだが、これもまたさっぱり分からん。本当に分からん。


てな訳で何故使える様になったのかも、いつ使えなくなるのかも分からんこの矢印だが、使える間は楽しませて貰う事にした。



「なあ、お母さん、せっかくだし、どっか美味しいもんでも食べに行く??全員分、奢るからさ」



「えぇ!?いいの?やったぁ〜、ほらユキ、ユイ、こうちゃん呼んできて、今日は美味しいお肉食べに行くよ!」


「「いくぞー!!」」


こうちゃんってのは我が家の次男。ゲーム好きのこうたの事だ。


「え、なに、急にどうしたの?」


こうたが寝癖を携えて2階から降りてきた。


「たっくんがね、いいお肉奢ってくれるんだって」


「うわ、珍し。ユキユイに貢いでんのは知ってっけど兄貴、俺らにまで貢ぐってどんな神経?どした?頭おかしくなった?」


こうたは最近こんな感じである。昔は良くお兄ちゃんお兄ちゃんとついて来ていたのだが、ぐすん、、お兄ちゃんは寂しいぞ。


「ちょっと競馬でボロ儲けしてな、高級肉奢るくらいなんて事無くなっただけだよ」


「へえ〜、30万くらい勝ったん?たまにはやるじゃん」


「いや、9000万勝った。」



「、、、、、」



いやー、流石のこうたでもフリーズが必要な様だな。いくつになってもかわいい弟ではないか。



「はっ!はぁっ!?9000万!?ほんとに頭おかしくなってん、、、いや、すげえな、兄貴すげえな。」



最初はこの異常さに気付いたかと思ったが、少しずつ落ち着き、早い段階で納得してしまった。こうたは割と常識人だ。少なくとも我が家の中ではかなりまともな頭をしている。

そのこうたで気付けないのならもう我が家でこの異常さに気付く者はいないだろう。


わん

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