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93話 気配と異形

ウェッジとフィールは二つ目の魔道具に向かった。

歩く毎にまとわりつく不快感が増し、疲労が蓄積される。

本来、森林浴など、植物の多い環境は人にとっても有益なはずだ。

しかし、この樹海は人に対し、悪意を持っているのではないかと思わせる節がある。

フィールも、樹海に入るまでの威勢の良さはすっかり萎んでいる。

二つ目の地点にもうすぐ着くところで、ウェッジは地面にあるものを見つけた。

「フィール、これを見て下さい!」

フィールがウェッジの拾ったものを覗き込む。

「これ、先遣隊の道具袋、ですよね?」

「おそらく、そうでしょう。ということは、この付近に誰かいるのかもしれません」

「探しましょう!」

ウェッジたちは周囲を見回す。

そして、木にもたれるように座っている人物を発見した。

明るい赤髪の女性でマントを纏っている。

「あそこです!」

ウェッジが声を上げる。

「あれは、師匠!?」

どうやら、この人物こそフィールの師匠であるようだ。

急ぎ、二人が駆け寄る。

その人物は、かなり衰弱して、意識がはっきりとしていなかった。

ウェッジが水と乾燥させたブレッドなどを口に含ませると、何度か咳き込んだ。

しばらく様子を見守る。

「あ、アンタは……?」

意識がはっきりしてきたようだ。

「師匠、僕が分かりますか!?」

「フィール……? どうして、ここに?」

「師匠が心配で、ここまで来ました!」

「こっんの、バカやろゥ……、危ねェから、待ってろって言ったのによォ……」

師匠はフィールを叱るが、まだ回復しきってないからか、どこか弱々しい。

師匠がゆっくり木を支えにして立ち上がる。

「ありがとうよ、アンタ……。アンタがフィールをここまで守ってきてくれたんだろ……?」

「ウェッジと言います。礼には及びませんよ。それよりも大丈夫ですか?」

「あぁ、休んだからちィとはマシになったかな……。さっきの水とメシも、助かったよ」

「どういたしまして。立てますか」

ウェッジが手を貸そうとすると、師匠は手を振り、断った。

「ウェッジさんか……、もう大丈夫だ、歩けるよ」

師匠は歩き出そうとしたが、とたんに前のめりで倒れそうになる。

慌ててウェッジが抱きかかえる。

「重ねて、すまねェな。アタイはドゥーゼってんだ。フィールともども、迷惑かけるねェ」

支えて分かったことが、ドゥーゼの身体は鍛え抜かれた筋肉を纏っていた。

マントで見えなかったが、ウェッジよりも体格は良さそうで、腕っぷしも強そうだ。

《転移魔法》も使えるプロの《運送屋ドライヴァー》がここまで疲弊するとは。

やはり、この樹海は異常過ぎる。

ウェッジは改めて、自分のいる空間に脅威を感じた。

「ところで、他のメンバーはどちらに?」

ウェッジが尋ねると、ドゥーゼは首を横に振った。

「アタイにも、どこにいるか分かんねェ……。みんな、はぐれちまってよォ」

聞けば、先遣隊のメンバーはドゥーゼ含めて六名。

全員が魔法士であったが、魔鳥と魔獣に襲われて、散り散りになってしまったと言う。

「アタイは、この場所で魔獣どもを追い返してたんだが、食料が尽きちまって、このザマさ……」

「そうでしたか……」

未知の場所で、救援が来るかも分からない状況では、肉体よりも精神が削られてしまう。

しかし、ドゥーゼはそんな状況でも絶望を感じずに、奮闘していたのだ。

ここでウェッジは気になる点を尋ねてみた。

「ここでは、あの魔鳥の他にも、魔獣がいるのですか?」

「あァ、魔獣、いや、魔獣と言っていいのか分からねェ。アタイも見たことがないヤツだ……。ソイツが一番厄介だと思う」

魔鳥の群れに、まだ見ぬ魔獣。

「師匠! そんなヤツが居るんだったら、さっさと皆を見つけて、帰りましょう!」

フィールの言うことも最もだ。

ウェッジはドゥーゼの支えをフィールに代わってもらうと、近くの魔道具に《集魔球》を設置しに行った。

二つ目の魔道具も間もなく見つかり、幹の穴に球を嵌め込む。

ここの魔道具が埋まっている木には、目印なのかぼろ布が巻かれていた。

魔道具が蒼い光を放ち、起動する。

再び、何者かに見られているような気配を感じる。

ウェッジは気配の先を辿った。

魔道具の向こうに蠢くモノが見える。

目を凝らした途端、ソレと目が合った。

ウェッジの全身に粟肌が立つ。

悍ましい、異形。

ヒトの形をした、何か。

姿かたちはヒトに近いが、肌は木の幹を思わせる質感である。

目だけが異様に大きく、そして生々しい。

ウェッジは底知れぬ恐怖を感じ、思わず後ずさった。

異形が迫って来る。

ウェッジは手の震えをこらえ、ナイフを構えた。

数ある作品の中から、本作品をお読み頂いてありがとうございます。

もし、気に入って頂けたら、評価ptの入力やブックマーク登録を是非お願いいたします。

アルファポリス様のファンタジー小説大賞に長編小説を投稿いたしました。

そちらも、ご興味のある方はご覧ください。

https://www.alphapolis.co.jp/novel/792078171/912537385

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