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91話 小休止と砂漠

フィールの魔法により、ウェッジは順調に《樹海》に近付いていった。

全行程の半分に差し掛かろうとしたとき、フィールが速度を緩めだした。

「もうそろそろ半分ですね! この辺りでいったん休憩にしましょう!」

ウェッジは彼の肩を叩いて、了解の意を伝える。

歩みを止めたフィールはロープを解く。

ウェッジは長時間背負われていたので、解放感を覚えながら固まった身体をほぐした。

もう魔法都市から随分と離れて、遠くまで来てしまった。

すでに隣国も越えて、ウェッジの土地勘も無い場所だ。

荒涼とした野原で、二人は腰を下した。

荷物から水筒を出して、一服する。

フィールにも分けると、彼はにこやかに受け取った。

「ところで、貴方の師匠というのはどんな方なのですか?」

ウェッジが尋ねると、フィールははにかみながら答えた。

「そうですねっ! まず、性格ですが、竹を割ったような気持ちの良い方ですよ! 何事にも大雑把で! あと、毎回食事はかなりの量を食べます!」

「そうですか……」

フィールの勢いの良さから察していたが、師匠もかなり豪快な人物のようだ。

(というか、《運送屋《ドライヴァー》》が大雑把でも良いのでしょうか?)

ウェッジはわずかな不安を覚えたが、フィールの笑顔で語る姿を見て、その言葉を飲み込んだ。

「では、続きを走りましょうか!」

休憩もそこそこに、フィールは屈伸をして、出発の準備を整えていく。

「良いのですか? 魔力をもう少し回復させてからでも構いませんよ?」

小さな身体だからというわけでは無いが、ウェッジは彼を労わった。

魔力の貯蔵量は一般的に年齢に比例する。

まだ、あと半分の行程を進んで、さらに《樹海》の攻略も控えているのだ。

「大丈夫です! ちゃんと帰りまでには魔力も戻ってきます!」

プロの《運送屋《ドライヴァー》》がそう言うのであれば、とウェッジは彼の判断に任せることにした。

再び、ウェッジにロープを巻きつけ、フィールが背負う。

「行きましょう!」

彼の足は力強く大地を蹴りだした。


それからもフィールは高速で荒野を駆け抜け、《樹海》の周辺地域までやって来た。

(本当に、こんなところに《樹海》が?)

ウェッジは周囲の景色を見て、疑問を感じずにはいられなかった。

ウェッジたちが休憩した地点から次第に草木は少なくなり、この辺りはもはや砂漠地帯である。

オアシスがあるならまだしも、樹海と呼ばれるようなものが存在するのか。

フィールが行き先を間違えている可能性まで疑いだした頃、それ(・・)は目の前に現れた。

「見えました!」

フィールも目的地を発見して叫ぶ。

腰丈まで青々と茂っている草。

密集して生えている様々な種類の木々。

数歩先も見通せないほど、樹木が乱立している。

まさに、樹海が砂漠の真ん中に存在していた。

フィールが樹海の手前で停まる。

草木が邪魔で、これ以上は走っていけるような場所ではない。

「ここですね……」

ウェッジが思わず呟く。

思った以上に森が深く、そして広い。

線が引かれているように、地面は砂漠と樹海の境界がはっきり分かれている。

何か超常の力が働いているとしか思えない、そんな違和感のある風景だった。

「どうします? 入りますか?」

フィールも異様な雰囲気を察してか、慎重に樹海の中の様子を窺っている。

しかし、目的はこの中にいる先遣隊の救出だ。

不穏な空気を感じるほど、中のチームの安否が心配になってくる。

入り口でまごついてはいられない。

「行きましょう」

ウェッジは樹海に足を踏み入れた。

数ある作品の中から、本作品をお読み頂いてありがとうございます。

もし、気に入って頂けたら、評価ptの入力やブックマーク登録を是非お願いいたします。

アルファポリス様のファンタジー小説大賞に長編小説を投稿いたしました。

そちらも、ご興味のある方はご覧ください。

https://www.alphapolis.co.jp/novel/792078171/912537385

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