表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

39/118

39話 異国と空振り

試合が終わり、石舞台リングから降りるウェッジとグロリア。

同じく、大会の関係者に支えられながら、ジュノとオリキスも石舞台リングを降りてきた。

「お前ら、よくもやってくれたなぁ……」

ジュノがウェッジたちを睨みつける。

「よせ、ジュノ。お互い様だ」

オリキスが相方をなだめる。

「でもよぉ、こんな女どもにやられて……。しかも、ショボい《支援魔法バッファ》使いに、もう一人は魔法士ですらねぇし!」

「俺たちは試合に負けた。ここで吠えても無駄だ。それに忘れたのか、俺たち(・・・)の目的(・・・)を」

「チッ! ……分かったよ」

オリキスがたしなめて、ようやくジュノは引き下がる。

確かに、試合はウェッジたちの勝利だった。

しかし、ウェッジ自身は素直に喜べない。

グロリアに助けられ、何とか勝ちを拾った形だったからだ。

(私もまだまだですね……)

ウェッジはナイフを握り締めた。

もう、心の不安は消え去っている。

魔法の効果が切れたのであろう。

「グロリアさん、ありがとうございました」

グロリアに礼を言うウェッジ。

しかし、当のグロリアは俯いたまま、何も応えようとしない。

「あ……、あぁあ……」

グロリアが呻き、顔を手で覆う。

「どうしました?」

「わ、わたくし、何て、はしたない真似を……」

「そんなことはなかったと思いますが……」

「それに、あぁ、わたくし、ウェッジさんにも大変失礼な口を聞いてしまって……」

「もしかして、グロリアさんも魔法が切れてます?」

「もう、わたくし、お嫁にいけませんわー!」

泣き崩れるグロリア。

ウェッジはグロリアを慰めながら、なんとかグロリアに自信をつけさせる方法は無いか、考えていた。


控え室まで戻ると、アリスたちが待ってくれていた。

「ウェッジさん、大丈夫です!?」

「毎回手を煩わせてしまって、申し訳ない」

「いいですよー、これくらいすぐ治せますから」

アリスが《治療魔法ヒーリング》で、まずはウェッジの腕の治療を始めた。

見る見る内に、腕の傷が癒えていく。

「次は、わぁ、身体が痣だらけ……。これも治します」

「アリスさん、貴女、……さすがですわね」

アリスを誉めるグロリア。

しかし、その目つきは鋭かった。

「えへへ、任せてください! あとで、グロリアさんも傷や痛みがあれば治しますね」

「わたくしは、大丈夫……ですわ」

「すごく落ち込んでるように見えますよ?」

アリスが心配する。

「そっとしておいてあげて下さい」

ウェッジはアリスの肩に手を置き、首を振った。


◇◇◇


初戦は無事に勝利した。

ウェッジたちは闘技場を後にして宿に帰る。

また明日には、準決勝が始まるのだ。

ウェッジたちは、それぞれ英気を養うことにした。

部屋でくつろいでいると、ドアがノックされる。

ウェッジがドアを開けると、エリィが立っていた。

「驚いたかい?」

「えぇ、まさか本人が来られるとは思いませんでした」

「ふふ、たまには良いだろう」

エリィは相変わらず、身体のラインにフィットした黒のローブを着こなしている。

「とりあえず、中へどうぞ」

エリィを部屋に招き入れる。

「用件は何ですか?」

「まぁ、一回戦の勝利おめでとう、というねぎらいと、次の相手のことだ」

「次はどんな相手ですか?」

「……すまない。情報はほとんど無い」

「相手は魔法士では無いのですか?」

「そうだ。予選会で君たちの次に早く勝ち抜いた二人が相手になる」

「あぁ、あの……」

ウェッジは予選会場で見かけた二人、カタナの女と黒ずくめの覆面を思い出した。

「二人とも遠い国の出身ということだ。覆面は魔法ではない何かを使うらしい。それから女の方はかなりの腕前のカタナ使い。教えられる情報はこれだけだ」

「そうですか……」

どちらも、かなりの武芸を修めているとウェッジは確信していた。

(厄介な精神干渉魔法の次は、異国の武芸者……。この大会、楽はさせてくれそうにないですね)

「しかし、それだけのためにわざわざ来て頂いて、ありがとうございます。仕事は大丈夫でしたか?」

「ふふ、事務員の彼に押し付けたから、問題無いさ」

ウェッジは幸の薄そうな事務員の男性に同情した。

「ところで……」

エリィが部屋を見回している。

「今日は祝勝会はしてないのかい?」

「えぇ、まだ一回戦を勝っただけですし。それに毎回祝えるほどお金に余裕も無いですから」

「……そうか」

よく見ると、エリィは手に食器を持っていた。

(食器を持参……?)

「いや、別に良いんだ。あの美味しそうな料理には興味があったが、なければ構わないさ」

そう言うと、そそくさと帰ろうとするエリィ。

「では、また。明日も健闘を祈っているよ」

最後に一言添えて、エリィは去っていった。

「もしかして……、料理を食べたかったのかな?」

アリスがウェッジに尋ねた。

「さぁ……」

ウェッジは首をかしげるしかなかった。

数ある作品の中から本作品をお読み頂いて、ありがとうございます。


もし、気に入って頂けたら、評価ptの入力やブックマーク登録を是非お願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ