14話 キャンプと告解
魔族の女が退いた後、ウェッジたちは今の場所でキャンプを張ることにした。
ボスである黒犬を倒したおかげで、野犬や魔犬は警戒してあまり接近してこないだろう、ということだ。
幸いにも、黒犬が魔法で周囲の木々を薙ぎ倒したおかげで、キャンプに使えそうな空間になっていた。
少し整地をしたら寝床も確保できる広さになった。
フィオは、「生木は湿っておるから、好かぬ」と文句を言いながら焚き火を起こした。
持ってきた食料で夜食を取る。
お湯を沸かして味付きの干し肉を放り込み、塩、調味料で味を調え、スープを作った。
皆で火を囲み、スープをすする。
弛緩した空気が流れる。
ウェッジは傷こそ治してもらったが、戦いでかなり神経を磨り減らした。
一息ついた途端、疲労感に襲われた。
アリスの方も、慣れない行軍に魔族との邂逅、《治療魔法》の実行で疲労が蓄積している様子だ。
フィオは相変わらずだが、乾いた薪がないからか、あまり機嫌は良くないようだ。
食事の後、ウェッジはアリスに魔族のことを聞いてみることにした。
「アリス、貴女が以前出会った魔族と、先程の女魔族は別なのですね」
「うん。あたしの知ってるのは、もっと違ってた。あんな、何ていうか、胸とかおっきくなかったし」
「そこ、気になってたんですか」
魔族に性別があるのか不明だが。
「ところで……、貴女を襲った魔族、それから襲われたときの状況というのを、話してもらえませんか?」
フィオが以前に言っていたこと。
アリスはかつての住む場所と慕っていた人たちを魔族に奪われた、と。
そのときのことを話すように言うのはいささか酷だが、今は魔族打倒のための情報が必要だ。
あのレベルの魔族がもう一体いるだけでも、アリスを護衛する難易度がさらに上がってしまう。
ウェッジは意を決して、アリスに心の傷を開くように頼んだ。
「ウェッジさん、……分かりました。ウェッジさんだったら、ううん、ウェッジさんにこそ、聞いてほしいです」
アリスは銀の腕輪を握り締めた。
赦しを乞うような、祈りの所作だった。
――聞いてくれますか、あたしの、罪。
そして、アリスの告解が始まった。
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