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時計塔の見る夢  作者: 柊 里駆
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巨大地震発生

クロとカナンは大通りの時計塔から離れた場所でその時を待っていた。日が落ちて数刻、と日記には書かれていた。もう間もなくのはずた。流石にカナンも不安そうにクロを抱えている。心なしか体が震えているようだ。


「大丈夫か?カナ…。」

クロが声をかけようとしたその時、地の底から響くような轟音と共に地面が激しく揺れた。自力では立っていられず、思わず木にしがみつく。この揺れで、近くの幾つかの家屋が崩れる音がした。揺れは数分間続き、やっと揺れが収まると、近くに住む住人達が慌てて外に飛び出してくる。皆が体のどこかに傷を負っている。倒れた家屋の住人を助けようと助けを呼ぶ声がする。逃げようとしても、どこに逃げたらよいかわからず、オロオロする人々。見渡す限り、どこも混乱していた。


助けてやりたかったが、クロ達にはどうすることもできない。この光景は魔法で作り出されたものだから。助けられるとすれば、この世界を作った者だけだ。


暫くしてあちこちから火の手が上がる。全てあの日記の通りだ。後もう少ししたら全てが元通りになるのだろう。その時、クロはふと時計塔が気になってそちらの方向を見た。時計塔は揺れた瞬間には何とか耐えたが、やはりもたなかったようだ。あちこちにヒビが入っている。そして、ついに塔の真ん中辺りから崩れ落ちた。


その時、かなり強い思念が、クロにもカナンにも届いた。

『助けて、大切な人達を助けて』と。


次の瞬間、壊れたものが復元されていく。その魔法は、時計塔を中心として外側に広がる。人も、物も、そして時間も、今日の朝に戻されていった。全てが何事もなかったかのように。クロとカナンだけが時間に取り残されたようだった。


そしてまた、あの日の朝が始まる。







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