倉庫の奥で。
「ほら! 暫くここに入ってな!」
ギイ、ばたん!
投げ捨てられるように放り投げられたそこはどこかの倉庫?
転がった拍子に膝小僧を擦りむいて。
「悲鳴もあげないか。馬鹿なのか? こいつ」
最初だけ優しく話しかけてきたおじさん、そうこちらを一瞥すると扉をバタンと閉じた。
ガタガタンとかんぬきでもかけた音が続く。
ふう。
やっぱり悪い人だったよ。あたしの直感は正しかった。
膝はとりあえずさっと治癒してデルタを抱き直す。
「悪い奴? あれ、倒していい?」
そうまんまるな目をしてこちらを見るデルタに、
「まだだめ。攫われた子供たちを助けるのが先ね」
そう話す。
周囲を観測すると何かの倉庫のようで木でできた箱がいくつか並んでいる。
窓は、無い。
床に一応空気穴みたいなのが空いてるくらい。
ふむむ。
耳をすませてみるけど子供の鳴き声とかそういうのは聞こえない、か。
どこか別の場所に囚われてるのかな。どうしよう。
「お腹すいたー! お腹すいたお腹すいたお腹すいた!! 誰かー。いないのー?」
ちょっと叫んでみる。どんな反応するかな。
「うるさい! 静かにしろ!」
ドン と扉を叩いてそう怒鳴られた。
って、扉の外で見張ってる? っていうこと?
なんとなくの不自然さを感じたあたし。部屋の中をもう一度見渡してみた。
だってね?
こんな子供を一人押し込めてかんぬきまでかけたんでしょう?
ドアの向こうで見張ってなきゃいけない理由なんて何処にも無い筈?
それこそこの部屋に他に何か大切なものがあったりしなきゃぁ、ね?
木の箱は全部で五つ。
積んであるわけではなくて、割と無造作に置いてある。
だよね?
こういうものは普通は隅っこに積んであった方が自然、だよね。
そう思ってそのうち一つに触ってみる。
なんだろう、ぎゅっと詰まった重い箱というよりこれは……。
コンコンと叩いてみても、中身は空? なのに重い。っていうかこれ、もしかして?
耳を当ててみると、くうくうと寝息。間違い無いよこの中、子供が寝てる!
じゃぁもしかしてこの木箱全部?
あたしは部屋の壁に消音のフィールドをはって、そして木箱の蓋を剥がしてまわった。
案の定、そこには多分薬か何かで眠らされた子供。あたしと同年代の子がまるまって押し込められていた。
うーん。
これで全部?
わかんないからあのおじさんとっちめて白状させよっか。
「ねえデルタ。君にはこの子達、任せてもいい? 僕は外のおじさん達とっちめるから」
「うん。イリス。任せといて」
子供たちを中央に置いてそこに結界をはる。おまけにデルタに見張らせて。
「さあ、いっちょうやってみますか」
あたしはそう言い放ち、目の前の扉に手をかけた。




