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まんまるな瞳。

 街の子供が行方不明になった程度の話。


 ってなにそれ!


 そりゃあさ、人権とか子供の権利、とか、そんなものがちゃんと意識されているようなそんな世界じゃないかもしれないけどさ。


 でもだよ?


 父様母様は天から降ってきたあたしを拾って育ててくれたくらいの人だしそりゃあもちろんあたしが特別で全ての捨て子が幸せに育てられるわけでもない事もわかってるけど。でも、でも。


 子供が蔑ろにされる世界なんて、ふにゃぁ。


 嫌だ。あたしは嫌。




 フランクを頬張ってホクホクしていた気分なんて完全にふっとんだ。


 美味しい串焼きも、喉を通らなくて。


 ああごめんエオリア。


 あたしはそんな調子で館に帰るまで憤慨した様子のままで。エオリアに心配をかけてしまってたかも。ごめんね。





 あたしは夕食もあまり喉を通らなくてお父様お母様に心配をかけたまま自室に戻った。


 エオリアが自分が間食を食べさせたせいだと恐縮してたからそうじゃないよごめんねって声をかけたけどそれでもね。


 落ち込んでいるエオリアをもっと慰めたいけど言葉がそれ以上出なくって。


 ベッドに腰掛けたところで。


「許せないよね? そう思わない? デルタ」


 そう抱き上げたデルタに話しかけて。


「もきゅ?」


 デルタは何を言われたかよくわからない風で、こくびをかしげる。


「昼間の、子供が攫われたって話。デルタも聞いてたでしょう?」


「はう。攫われたってどういう意味?」


 もう。そこから?


「知らない人に連れて行かれたっていう意味。危険な目に遭ってるかもしれないの」


「それはかわいそう。きけん、いくない」


「でしょー?」


「はうあう」


「助けてあげたいよね……」


「じゃぁ? 助ける? イリス」


 純粋なまんまるの瞳でそう言うデルタに。


 そっか、そうだよね。


「そうだよね。僕たちで助けてあげよっか?」


「うん。ボクも助ける。イリスといっしょ」


 ふふ。


 そうだよね。きっとデルタと一緒なら何でも出来る気がするよ。


 あたしは今日買ったお洋服のうちわりと地味めで町娘風な服を着て。頭にはリボンをつけてデルタを抱っこして。


 そしてこっそりと窓から抜け出した。


 空を飛ぶのはそこまで難しくはない。背中に魔力で真っ白な翼を形成してふんわりと月夜の空に向かって羽ばたいた。


 向かう先は昼間の商店街。こんな夜に女の子が一人歩いていたら悪い大人が寄ってくる? うん、そう。それが狙い。


 とりあえず自分を囮にすることしか思いつかなかったから仕方ない。よね?




 夜風が気持ちよくて。


 月の光が満ちて、まるで降っているかのように見えた。

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