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00 プロローグ

ヒーロー×ブレイブ英雄編開幕です。

 俺は草原に寝転んで、空を見上げながら考える。


 この空の下のどこかで、誰かが笑って暮らしている。

 それと同じように、誰かの命が理不尽に奪われている。

 それは俺が生まれてくる前からのあたりまえなことで、何一つ特別でもなんでもないのだと。


 俺はぼうっと空を見上げながら考えていた。


「どうしたのですか?先ほどの戦闘でケガでも……」


 そう『ナディア』がききながら目線を合わせてくる。

 心配そうに眉を落とす彼女に、俺は頭を振った。


「大丈夫、どうしようもないことを考えていただけだよ」


「本当ですか?以前みたいに何か隠しているのでしたら――」


「気にしなくていいよナディア。コイツは言っている通り、“どうしようもないこと”を考えていただけさ。今日の晩飯とかね」


 俺とナディアの会話に割って入るように、ディノが言葉を投げつけてくる。

 この男はいつも嫌味な態度で俺で遊んでくるが、どうしてか今はそれほど頭に来なかった。


「いつも明日の天気を気にしているディノには負けるよ」


 いつもの皮肉を返しながら体を起こす。

 草を払い、整えると遠くからフィムが肩を怒らせながら近づいてくるのが見えた。


「もう、準備ができたら出発するといっていたでしょう!ナディアも、こんなバカは放っておいて、さっさと支度をしてください!」


「す、すみません、でも……」


 遠くからでもわかる剣幕で怒っているフィムは、そばにいたナディアにも矛先を向ける。

 俺の扱いが散々なのは今に始まったことではないので、俺は気にせず野営に戻ることにした。

 ……ほんとは、一緒にいたディノが標的にされないのが一番の理不尽だと思っている。


 ナディアはフィムに駆け寄りながら、何か弁明しているようだが、フィムに手を引かれて引きずられるように行ってしまった。


「ククッ、キミはほんとに人気者だね。この老いぼれにも爪の先くらい分けてほしいよ」


 隣でそれを眺めていたディノが嘯く。


「何がだよ。どの町に行ったって大人気のディノ大先生がよくいうよ」


「いやいや、僕のそれと、キミのこれは全く別物だよ。ああ、キミは幸せ者で不幸だね」


 意味の分からないことを言いながら笑うディノを無視して仲間の待っている場所へ戻る。

 野営ではハウレスとヴァンが仕度を済ませ、無言の空間を作り上げていた。

 こいつらを二人でこのまま置いておくとどうなるか気にはなったが、またフィムに怒られたくもないので俺も仕度に取り掛かる。


 皆で野営を出、また次の町へ向かう。

 空はどこまでも広く、青く、透き通っていた。

 この空をあの時と同じようにはしないと、また強く決意して、俺は歩みを進めた。


 これは、英雄『カイン・リジル』が英雄になる前の一幕。

 彼は見事魔王を倒し、世界に平和をもたらす。


 だが、その平和は永遠ではなく。

 新しい戦争の準備期間でしかなかったのだった。

本編はここから15年ほど時間が飛びます。

彼の“一番輝いていた時代の後”というお話ですが、

勇者編ともども応援お願いします。

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