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グレードアップ

評価・ブクマありがとうございます。新キャラフラグです。

 ハト動画はビックリするほど、再生回数が伸びた。マオマオのリアクションを面白いと思ってくれる人が、自分の想像以上にいたみたい。

 でも、かなり大変だったんだけどね。

 まず、マオマオに怒られた。小1時間くらい怒られた。ハトがどれだけ嫌いで、どれだけ憎い存在かっていうのを延々聞かされた挙句、ばちくそ怒られました。

 そんで、部屋の掃除。業者さん呼んで、本格クリーニングしてもらいました。そうでもしないと、マオマオ出て行くって言うから。殺菌とかまでしてもらったんだよね。マオマオがすごい嫌がるもんだから、オレの誠意を見せたわけ。当たり前だろって言って、素気無く切り捨てられたんだけどさ。

 その様子も動画であげたら、意外にみんな見てくれた。掃除する映像って、気持ち良いのかも。業者さんにも許可取ってたし、結構反響もあったみたいで、感謝された。こういうのは嬉しいね。あとは、オレがちょいちょい怒られてんのが面白いのかな。人が辛い目に遭ってるのを見るのが好きだなんて、酷い。気持ち分かるけど。実際、辛い企画とかの方が見てて面白いんだよねー。だから、ハト動画も再生回数伸びてるんだろうなぁ。

 再生回数に伴うように、登録者数も少し増えた。やっぱ、面白いと思う動画とか、自分たちが評価されるっていうのは嬉しい。数字って、残酷だけど、その分、喜びも大きいし、実感しやすい。

 ただ、増えてきたからこその弊害も出てきた。何も考えずに顔出ししてたのもあって、大学でオレに気付く人も増えてきて。眼鏡と帽子とマスクがトレードマークになりつつあるオレ。自覚が無かった分、急に有名になってしまったって感じがする。大学行きにくくなってきたなぁ。海外で飛び級しまくって、いくつか大学卒業してるから、別に学位が必要な訳じゃないし、正直、平均的な大学って言う理由だけで選んだ大学だからなぁ。学生ライフってやつを経験したかっただけって言うか。十分満喫したし、もう辞めちゃってもいいんだけど。

 でも、この間、キャンパスのカフェで、めちゃめちゃ可愛い子を発見しちゃったんだよなー。かなりもう一目惚れ?背は低め。猫目で、キツそうに見えるけど、ゆるふわパーマで、女の子!って感じ。オレのタイプ。ドストライク。また会えないかなーって、うろつくんだけど、中々会えないんだよねぇ。目立たないようにしてるのに、学生が集中するキャンパスのカフェ行くのってリスキーだと思うし。1人だと悪目立ちするし。

 会えないと、探したくなっちゃうのは、本能なのかな。

 大学の場所からすると生活圏かぶってるんじゃないかなーとか、そんな事ばっか考えてる。これって、恋ってやつ?

 あーあ。都合良く、どっかで会えないかな。こんなの初めてだな。

 1人で街をブラブラするのも楽じゃないなー。


★ ★★


 転生して、初めてかもしれない。人間に対して殺意を覚えたのは。

 ジンの野郎は軽く〆た。

 暫くは大人しくしてるだろう。あのマンションから出て行く事も考えたが、ジンに説得され、残った。条件は完璧な清掃だ。前世なら、100回程度の死を経験させてやっただろうが、今世は平和な日本。想像に留めた。

 今世最悪の事件であったが、1つだけ良い事があった。スキルのグレードが上がった。


《鑑定》

前野眞緒:人間(前世:魔王ルカエディオ)

前世の記憶を保つ稀なる転生者。

【魔奪吸β】【魔即変換β】【魔眼α】【魔酔支配β】【魔思疎通δ】


 【魔眼α】威圧効果あり。意識的に対象を制止〜気絶させる事が可能。また、鑑定も可能。※魂の宿敵(パトス)には効果が弱まる


 限定的だったのが、割と広域的になったな。そして、鑑定内容が詳細になった。

 俺の魂の宿敵、鳩かよ。

 まあ、効果が弱まるだけで、効くようにはなったなら、成長はしているって事だな。それは、良しとしよう。

 あとは、意識的に使用出来るのは良い。今までは、無意識に発動させる事もあった。グレードが上がると、効果自体は大きく変わらないが、使い勝手が良くなるみたいだな。これは有り難い。

 一度試してみたいが…。ジンも居ねぇし、とりあえず、コンビニにでも行くか。


* **


 秋めいてきて、夜は気持ち良い。残暑も越えて、もう暫くしたら、涼しくなるだろう。肉まんなんかが食べたくなるな。

 夏休みの子供たちも居なくなって、割と静か、なはずだが…コンビニの前で、若い女が男に絡まれていた。

「お前、知ってるぞ」

「人違いです、離してくださいっ」

丁度良い。とりあえず、

「おっさん、それ、セクハラだぞ」

男を睨んでみる。制止って感じか?

「うっ…?!」

おお、何となく思うようになってるな。制止って言っても、一瞬、体の自由を奪う程度か。その隙に、男を女から離す。

「お前、何した…!?」

「別に何もしてねぇよ」

今度は、俺に対してギャーギャー騒ぎ出した。

「うるせぇな…」

もう、気絶でいいわ。面倒くせ。

 魔眼を再度発動させると、男はその場に座り込んだ。ま、酔っ払いが寝てても可笑しくないだろ。

「あ、あの…ありがとうござい、ます」

あ、忘れてた。

「いや、別に。酔っ払いに絡まれて災難でしたね」

出来るだけ、笑顔に努める。

「かなり酔ってたみたいで、話してる途中で寝たみたいです」

「そう、なんですか…?」

そうじゃないけど、そうだって事にしてくれ。

「俺が警察に連絡しとくんで、良かったら、早めに帰ってください」

「す、すみません。ありがとうございます」

促すと、困惑した様子ながらも、素直に帰ってくれた。後ろ姿を見送る。あ、悪いけど、鑑定だけ試させて貰うか。


《鑑定》

當府田(あふた)玲成(れいな):人間(前世:『廻れ、恋のルーレット〜最幸の恋は運次第!?〜』フラヴィア・ジル・ライヤー)

前世の記憶を保たぬ転生者。

【スキルなし】


 色々ツッコミたい気持ちはあるが、追いつかん。前世説明文が長い。とりあえず、ググる。

 …。

『廻れ、恋のルーレット〜最幸の恋は運次第!?〜』、通称『ラブル』は乙女ゲームらしい。そして、フラヴィア?は、主人公の邪魔をする、言わば悪役令嬢。最後は零落し、僻地へ追放されるキャラのようだ。中々、込み入った前世だな。確かに、猫目でキツそうな顔をしていた、ような気がする。前世からの影響でもあるんだろうか。話した感じは特に何も感じなかったが…まあ、記憶がない訳だし、そこまで差し支えもないんだろう。

 …とりあえず、警察に連絡して、ピザまんを買おう。



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