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偽物です!



???side


そこは、魔王城の地下奥深く。


そこには、魔法によって結界がはられた、固く閉ざされた牢獄がある。


その中に1人の男の姿をした悪魔がいる。


そして、その男は今、目を覚ます。



「あぁ、主様、やっとですか…。」




閉ざられた目を開くと、男は立ち上がり、自分の手首に付けられた、これもまた、魔法で操作された普通より強く造られた鎖を腕力だけで壊した。


パキンッ――


鎖の音が響くがここに見張り役などはいなく、たった今牢獄から脱走しようとする男を止められる者はいなかった。


男は牢獄を包む魔法の結界をいとも容易く壊すと、ニヤリと笑みを浮かべ、


「今、参ります、主様―――」


瞬間移動を使い、姿を消した。



sideout





******




アルノは怯えた眼差しを魔王バルデロへと向ける。

魔王は、アルノの怯える姿に機嫌を良くしたのか、邪悪な笑みを浮かべている。


そして、何か思い付いたのか、アルノに手を伸ばす。


後少しでアルノに届くという所で、掴まれた手。


何事かと、掴んだ者に視線を向けると見知らぬ男が立っていた。


そう、全くもって知らない男だ。


さっきまでいなかったはずの男だ。


不気味に思った魔王は男の手を払いのけようとしたが無理だった。


何故なら、男の掴む力の方が強かったからである。


男は何故か不機嫌なオーラを出して魔王を睨みつけていた。



「…ふふふ、まさか…、貴方如きがこの御方に触れられるとでも?」



そう言った男は魔王の掴んだ腕を握りつぶす勢いだった。



そんな事よりも、この御方とは、どの御方だろう?


魔王が触れようとしたのは僕だ。


しかし、こんな奴しらん。


グチャっという音と共に何かが飛び散る。


赤い液体が目の前に溢れた。


あー、ダメだ見たらいけない。


魔王の叫び声が城内に響いているが、アルノの耳にその声は届かない。


そして、魔王の腕を引きちぎった男は何故かアルノの前まで歩み寄ると、膝を付き、



「お迎えにあがりました。主様。」



そう言って、アルノの手を取った。


その瞬間、聞こえていなかった魔王の声が耳に飛び込んできた。



「ああぁああぁぁぁああああ!!!」



苦しそうに叫んでいる。


あー、なんて、


なんて、面白い光景だろうか。



「ははは、…あははははははっ!!!」



今度はアルノが壊れたように笑い出す。



「どうかなさいましたか?主様」



不思議そうにアルノを伺う男。

アルノは演技も辞めて立ち上がると片手で思いっきり前髪をかきあげた。



「…どうもこうもない。計画が全部吹っ飛んだんだ!せっかくここまで来て、最強の魔王じゃなかった?そりゃ、笑わずにいられないだろ?」



そう、アルノは気づいてしまった。

目の前にいる魔王が実は本物の最強魔王バルデロでは無いことに。

出なければ、いきなり現れた男にそう易易と腕の1本を取られるはずがないのだから。

そもそも、話している間からおかしかった。

こんな馬鹿がバルデロなはずが無いと思ったが、まさか、本当にバルデロではなかったとは。

自分は、意味の無い事をしていたんだと知って、笑っていたのだ。


ただ、次の言葉を聞くまでは…



「…?なんの事かよく分かりませんが、主様は最強の魔王で間違いありませんよ?」




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