冒険者ギルド
「あった・・・」
まさにテンプレ通り。1階が受付兼酒場で、2階が事務所ね。
建物に入ると、これまたきれいなお姉さんが出迎えてくれた。
茶色いロングのきれいな髪をした、大人のお姉さんだ。
「冒険者ギルドへようこそ。初めて見る顔ですね。冒険者登録ですか?」
「はい。ただ、冒険者ギルドというものがよくわかっていなくてですね・・・冒険者とは何か?から教えていただけると助かるのですが・・・」
お姉さんは目をきょとんとさせた。・・・可愛い・・・
「なかなか珍しい方ですね。その服装もですが。」
俺が今着ているのは元の世界の制服だから、目立つのも仕方ない。
どこかのタイミングでこちらの世界の服を買わないといけないな。
今の俺にとって目立つというのは決して良いことじゃないからな。
「はい、まぁ、ちょっと異国から来たものでして・・・」
「分りました。冒険者とは、ギルドの依頼に基づいて魔獣や亜人を狩猟・討伐する方のことです。
ランク制であり、高いランクからいうと、S〜Eの計6段階です。
といっても、ランクSは勇者クラスの方ですので、実際にはランクAがトップと考えても差し支えありません。
一人前といわれるのはランクCからですね。ランクB以上となると有名人クラスです。」
「ふむふむ、ほぼテンプレ通りですね。ちなみに、グリーンスライムの狩猟依頼とかはありますか?」
「テンプレ?・・・よくわかりませんが、グリーンスライムの狩猟依頼はありますよ?1匹あたり銅貨10枚。討伐の証は魔核をギルドに持ってきていただければ査定します。」
「魔核はギルドが買い取りですか?」
「はい。大きさとその時の相場にもよりますが、大体銅貨5枚程度で取引されています。」
ということは、1匹倒せばその日の食事代にはなるか。3匹倒せば宿に泊まれる!
光明が見えてきた!
「では、その依頼を受注します。ちなみに、どのあたりでグリーンスライムは出没するのでしょうか?」
「えっとですね、町を出て東のルイス川に多く生息していますね。まれにワイルドリザードなどの強力な魔獣が出るので注意してください。」
巨大なワニみたいなものか?注意しておこう。
「はい。わかりました。では!」
「あ!ちょっと待ってください!」
受付のお姉さんは慌てた。
「まだ冒険者登録ができていません。そのためにはこの水晶に手をかざしてください。」
また水晶かよ!
水晶に手をかざすと、何やら文字が浮かび上がる。
氏名:和田洋平
種族:ヒューマン
体力:100
魔力:100
「・・・普通の人ですね・・・独りで大丈夫です?それに武器も持っていないようですけど・・・」
お姉さんの白い眼が怖い。
「だっ、大丈夫ですよ!無理はしませんから。」
おかしい、本当におかしい。俺は勇者なんだよな?
スキルはなくても基礎体力や魔力が優れてないと、クラスメイトの奴らも先が大変じゃないか?
それとも、これは俺だけなのか?うーんわからん。
俺はそそくさと冒険者登録を済ませ、ギルドを後にした。