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魔力、魔法、スキル

王都の街を散策する。まずは情報収集だ。


この世界で無知な俺が生き残るためには、何はともあれ情報収集して金の稼ぎ方とか生活の仕方を知らないといけない。


そしてなんと、これが異世界召喚の恩恵なのか、文字が読める読める。

だがしかし、きっと書くのは無理なんだろうなぁ。どこかで習わないとなぁ・・・とため息が出る。


いつの間にか王都のメインストリートにたどり着いた。


ここには様々な店が軒を連ねる。


「しかし、活気があるなぁ。本当に魔王とかいるの?」


店の店員が客引きしたりしているし、通りも人であふれていた。とても平和に見える。


俺はとりあえず、魔法屋に向かうことにした。

姫さんの話によれば、魔法は購入して覚えることができるといっていた。

きっとクラスメイトはこれからテンプレの通り王宮の魔術師から伝授されて無料で覚えられるんだろうが、俺は違う。全て自己資金で賄わなければならない。


だがしかし、魔法習得の相場が全く分からない。今の資金(銀貨10枚)で有用な魔法が習得できればいいが…


「ここか」


看板には『魔法屋』とある。


店に入ると女性の店員が一人。


「いらっしゃいませ。」

「ああ、どうも。」

「今日はどのような魔法をお探しで?」

「というか、魔法というものがわかっていなくて・・・できれば、魔法とは何か?から教えてくれるかな?」

「かしこまりました。まず、魔法というのは体内の魔力を用いて世界に干渉することを言います。それによって火をおこしたり、水を生み出したりといったことができます。」

「へぇ。じゃあ、魔力がなければ何もできないんだな。魔力の大きさとか量?とかって測れるんです?」

「はい。無料で測れますよ?早速測りましょうか。」


そういって水晶を持ってきた。また水晶かよ。


「ここに手をかざしてください。」


俺は水晶に手をかざした。途端に水晶から数字が表れる。


「魔力は丁度100ですね。」

「それって一般的に多いの?少ないの?」

「普通より少し多いです。」

「へ?すこし多いだけ?」


おかしい。

俺はスキルはないとはいえ、この世に召喚されてきた勇者じゃないのか?それとも俺が少ないだけ?

クラスメイトも同じようなものなのだろうか?


「ちなみに、魔力って増やせるの?」

「まぁ、魔獣を討伐すれば魔力を増やせますね。」


まぁ、テンプレ通りの回答だこと。


「ちなみに、魔法はどうやって覚えるの?」

「水晶に手をかざすと現時点で習得可能な魔法が表示されます。その中から覚えたい魔法を選べば覚えられます。」

「へぇ、裏を返すと、覚えられない魔法もあるっていうこと?」

「はい。まぁ好みとか特性みたいなものと考えてください。」


ふむふむ、まぁ、金さえあればどんな魔法でも覚えられるとか、ちょっとないよな。

そうなると、金持ち=賢者(なんでも魔法が使える職業)みたいな感じになっちゃうもんね。

納得納得。


「ちなみに・・・魔法っておいくら?」

「ピンキリですけど、お客様が習得できる魔法は最低金貨1枚からですね。」


俺は言葉に詰まった。

全然足りないじゃん・・・あの姫さん、本当に俺に何もさせない気なんだな。


「それで、どの魔法にします?」

「すっ、すまん、ちょっと急用を思い出した。またね!」

「はい、またのご来店をお待ちしております」


俺は慌てて店を出た。


「まぁいい。魔法について最低限のことが分かっただけでも良しとするか。確か習得に最低金貨1枚って言ってたよな。お金が稼げるようになったらまた来よう。」


俺は続いてスキルショップに足を運んだ。

ここでも俺を出迎えてくれたのは若いお姉さんだ。この世界の売り子さんは全部女性なのか!?


「いらっしゃいませ」

「こんにちわ」

「今日はどのようなスキルをお探しでしょうか?」


このやり取り、魔法屋と同じじゃないか。こいつらはNPCかっ!?


「いや、あいにくスキルのことがよくわかってなくてね。できればスキルとは何なのかを教えていただけると助かるんだが・・・」

「承知しました。スキルとは魔法の一種ではありますが、魔法のどの属性にも属さないものをまとめてスキルと呼んでいます。原理は魔法と同じく、魔力を使って発動します。」

「ふむふむ。ところで、スキルはおいくらぐらいします?」

「ピンキリですが、扱っているものだと最低銀貨3枚からですね。勿論、習得できるかどうかは話が別ですが。」


おおっ!?魔法より安い!俺は光明が見えた気がした。


「随分と動揺されているようですが、大丈夫でしょうか?」

「いっ、いや、魔法より安くてびっくりしただけです。ちなみに、どうしてそんなに安いんですか?」

「安いスキルというのはクセの強いものばかりですね。要は売れ残りです。そういうスキルって、身に着けたいと思っても覚えられないものが多いんですよ。」

「なるほど。しかし、そもそもスキルってどうやって仕入れるんです?」

「基本は犯罪奴隷からスキルを抜いて仕入れますね。あとは、お金に困った人が売りに来るとかです。スキルってその人が培った知識・経験ですから、同じスキル名だったとしても中身は違うんですよ。そこが魔術式を覚えて使う魔法とは違うところですかね。」


おお、それは新しい。

しかし、そうなるとスキルを抜くための道具なり術師がいないと成り立たないわけだが・・・


「スキルショップなんて世界中にありますからね。スキルを抜くための魔道具があるんですよ。」


何それ、怖い・・・だけどほしい・・・

それがあれば、良く異世界モノのお話で出てくる「相手のスキルを奪うスキル」みたいな、ね。

それがあれば一生安泰な気がする。


「もっとも、国が厳重に管理していますから手に入れることは難しいですけどね。」

「ですよねぇーハハハ・・・」


そうだ、あのことを聞こう。


「そういえば、スキルショップでは汎用的なスキルしか扱っていないと聞いたのですが・・・合ってます?」

「そりゃそうですよ。町で売っているスキルはこういっちゃなんだけど売ってもさほど問題にならないものばかりですね。だって、物騒なスキルを売ってたらまずいですよね?」


そりゃな。銃が店で売られているアメリカにだって、さすがにバズーカやロケットランチャーは売ってないわけで、同じ理由だろう。


「そういう物騒なスキルは基本的に国が管理してますよ。」

「なるほど、それで汎用的なスキルとクセの強い売れ残りスキルが売られてるわけですね。よくわかりました。」

「で、どんなスキルがお望みです?」

「というかですね、手持ちが銀貨10枚しかなくて、生活のことを考えると出せても銀貨5枚程度なんですよ。その程度で買えるすいるって何があります?」


店員さんは渋い顔をした。すまんね、貧乏で・・・


「まぁ、とりあえず水晶に手をかざしてみてくださいよ。そうすれば習得できるスキルがわかりますので。」


そして俺は水晶に手をかざし、店員さんはメモに銀貨10枚で習得可能なスキルを書き込み俺に見せた。


「その値段ですと、買えるのはこの4つですね。どれもキワモノで、人気もないものばかりですね。」


どれどれ?


・魔獣の気持ち:銀貨5枚

・口寄せ(目視範囲):銀貨3枚

・雑食(何を食べても腹を壊さない):銀貨5枚


うーん、見事にキワモノばかりだ・・・

どんなものかというと・・・


・魔獣の気持ち

 魔獣の心を読むことができる。ただし、心が読めるのは1体だけ。距離制限あり。


 対魔獣専用の読心術みたいなものか・・・ちなみに、こちらの考えを伝えることはできないようだ。

 まぁ、悪くはないが、心が読めても魔獣を倒す手段がないので、習得の優先度は下がるな。



・口寄せ(目視範囲)

 目視確認した動物を身近な場所に口寄せする。口寄せは1回につき1体。


 契約・調教した魔獣を召喚するとかじゃないのね。

 てか、そんなモンスターを口寄せしたら自分が襲われちゃうじゃないですか・・・


・雑食

 有機物であればどんなものでも食べることができ、そこから栄養を取ることができる。

 毒草などの毒物を食べても死ぬことはない。


 このスキルは悪くない。飯代を浮かすには持ってこいなスキルだ。



魔獣の気持ちってなんだよ・・・魔獣と意思疎通を図れるスキルか?

口寄せも目視範囲に存在する魔獣を自分の近くに召喚するものだ。雑食は何気にありかな?食費がうきそう。


ん?まてよ?


「ご存知でしたら教えていただきたいのですが・・・王都近辺だとどんな魔獣がいるんです??」

「そうですねぇ・・・まぁ、グリーンスライムにワイルドボアやホーンラビット、あと、ワイルドドッグとかですかね。亜人種だとゴブリンなんかも出ますけど。」


要は、グリーンスライムに、野生の猪に、角の生えたウサギ、それに野犬ね。

グリーンスライムってのはきっと動きが遅そうだな。


「ふむふむ、ちなみに、魔獣っていうのは素材が売れたりするんです?」

「そりゃ勿論ですよ。グリーンスライムだったら魔核、それ以外の魔獣だったら魔石ですかね。皮や肉も売れますけど。ゴブリンは売れる素材ないですね。物騒だから討伐される、というだけです。」


ほうほう


「質問ばかりですみません。そのグリーンスライムってやつは、簡単に殺せたりします?例えば、槍でつつくとか。」

「槍じゃあ無理ですね。刺したり切ったりには強いモンスターですから、できれば火魔法が望ましいですけど、それが無いなら石で叩き潰すとかのほうがいいですね。」


はい、ひらめきました。


「ありがとうございます。それでは口寄せと雑食のスキルをいただけます?」

「承知しました。こちらも売れ残ったスキルで処分に困っていたところです。サービスさせてもらいますよ。」


というわけで、さっそく水晶に手をかざす。

店のお姉さんは合計銀貨8枚のところを銀貨5枚にまけてくれた。


さあ、スキルってやつを試してみようじゃないか。

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