何故か王国から捜索される
「今日はついにホーンラビットの狩猟ですか!」
エミールさんはやけに嬉しそうだ。
「はぁ、まぁ、でもそんなに嬉しがることです?」
「それはもう!だって洋平さんが初めてグリーンスライム以外の魔獣を狩猟してきたんですよ?」
「まぁ、そうなんですけどね。」
「それにしても・・・一体どうやればこんな倒し方ができるのでしょう・・・窒息死したホーンラビットなんて初めて見ました。」
はい。俺もです。そもそも、動物を殺すということ自体初めてなんですけどね・・・
ただ、このやり方癖になりそう。だって、魔獣の血で服とか汚れないんだもの。血を見るのも嫌だし、服が汚れるのはもっと嫌だ。いずれそういう経験をするかもしれないけど、できる限り避けて通りたい。
「いや~エミールさんには正直にお話ししますけど、口寄せと土木魔法の併用です。予め堀を作って、そこにホーンラビットを口寄せし、あとは土木魔法で埋めてしまえば完成です。」
そして露骨に嫌な顔をするエミールさん。
「聞くんじゃありませんでした。」
「いや、何となくわかりそうなものでしょ??」
「それ、人にはやらないでくださいね?」
「えっと、槍や剣で刺し殺したりするのは人にやっても構わない、と?」
「勿論、それもダメです!!」
あ、怒った。
それにしても殺し方に良いも悪いもあるのだろうか・・・
結果は同じなんだけどね。
「ああ、それと、これが報酬です。」
といって、忘れていたかのように貨幣の入った袋を差し出すエミールさん。
「おぉぉぉぉ!銀貨50枚??」
「素材の痛みもなく、あれほどきれいな状態でしたからね。狩猟報酬に加え、素材の買い取りも上乗せされてこの報酬です。」
「あざっす!」
これは良い狩猟だ。これからも続けよう。
というか、土木魔法が使えるようになった時点でかなり狩猟が楽になった。
今までは必死に肉体労働で穴を掘ってたからな・・・
今までの苦労は何だったのかと。
「あ、そうそう、王国の兵士の方が洋平さんを探してましたよ?」
「へ?」
急な話で俺はびっくりした。
だって、王国の兵士ってあれだろ?あの王女様の子分ってことだろ?
無能扱いして俺を追い出したはずの王国が今更俺に何の用が?
俺は悪い予感しかしなかった。