グリーンスライムを配下においてみた
今日も俺はせっせとグリーンスライムを倒そうと、いつも通りせっせとグリーンスライムを口寄せしているわけだが・・・
「あれれ・・・これが「魔獣の気持ち」の効果かな・・・」
そう、グリーンスライムの声が聞こえてくる。それはもう必死の懇願である。
(お願いですぅぅぅ。なんでもするから助けてください~)
(王とでも神とでもたたえますから!たたえますから!どうかご慈悲をぉぉぉ)
みたいな感じ。
なんだか、ちょっと殺してしまうことに躊躇してしまう。
これはちょっと買うべきじゃなかったかな・・・「魔獣の気持ち」。
そうだ、試してみたいことがあった。
俺の言葉は相手に届くのか?ということである。
「こっ、こんにちわ!」
とりあえず声を出して挨拶してみた。グリーンスライムに挨拶って・・・
(お?何か我々に語り掛けておられるぞ?誰かわかる奴はいるか?)
(いや・・・わからない・・・)
(私も・・・)
(なっ、なにぃ?誰も分からんだと?まずいじゃないか!よし、みんな笑顔だ!笑顔で敵意がないことを知らしめるのだ!)
おお、見事に伝わっていない。言葉じゃダメか。
ただ、目の前のにゅるにゅる動いているスライムは一応今笑っているとのことだが・・・
全然わからねぇ・・・
よし、じゃあ、スライムに向かって心の中で念じてみたらどうか?
"こんにちわ!"
これならどうだ!?
(お?誰か、こんなときに挨拶したか?)
(いや?・・・)
(私じゃないよ?)
"僕ですよ!目の前の人間の!"
(何!?)
(え?)
(そっ、そんな・・・わかる!わかるよ!)
"ああ、よかった、念じれば伝わるみたいだね。初めまして。和田洋平って言います。皆さんは・・・えーっと?"
(はっ、初めましてぇぇぇぇ。だから殺さないでぇぇぇぇ)
(洋平様ぁぁぁぁ!あなたに服従しますから、どうか命だけはぁぁぁ!)
"ああ、大丈夫ですよ・・・さすがに会話できる相手を殺せるほど、心が強くありませんから・・・"
((よかったぁぁぁ・・・))
あ、スライムの外見もなんだかフシュゥゥゥって感じでしぼんだ気がする。
ああ、魔獣といっても言葉が分かるとなんだかかわいいな、と感じてしまうのはきっと俺だけじゃないはず。
だけど、こんな気持ちじゃあもうスライムの狩猟はできないな・・・
さてどうするかなぁ・・・
というわけで、ちょっとスライムにも相談してみる。
"でも困ったことになりました・・・"
(何がです?)
"いえね?私、今まであなたたちを倒すことでお金を得ていたんですよ。でも、こんなんじゃもうそういうことできそうにないでしょ?"
変な相談になっちゃったな。要は、あなたたちを狩猟できなくなったから私これからどうしましょう?って相談しているようなものでしょ?
そんなの普通狩猟される側に聞くような話じゃないよね。
(うーん・・・)
あ、スライム必死に考えてる。まぁ、自分の命がかかってるから必死にもなるよな。
(あ!ひらめいた!)
"おおっ!?"
(南の草原にはホーンラビットっていう魔獣がいるんですけど・・・あいつら、俺たちが足にまとわりつくと身動きが取れなくなるんですよ。そこを仕留めればよいかと・・・何となくですが、洋平様の能力は私たちを瞬時に洋平様のお傍に呼び寄せる能力なのですよね?)
あ、他の魔獣種を売りましたよ・・・同種じゃなかったらどうでもいいのかもしれない。
"まぁ、僕の見える範囲でしか呼び寄せられないけどね。"
(じゃあ、あらかじめこちらは洋平様の傍にいますので、ホーンラビットを私たちの真上に呼び出してもらえれば大丈夫かと・・・そうすれば、私たちがホーンラビットの足にまとわりつきますので、洋平様はそのすきにホーンラビットを仕留めてください!って・・・ダメでしょうか?・・・)
"ダメもなにも、今はそれしか考えられないですね・・・まぁ、ダメ元でやってみましょうか。それと、絶対に私を裏切らないでくださいよ??"
(((もっ、もちろんです!一族もろとも洋平様に服従します!)))
よろしい・・・