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テンプレのクラス異世界召喚

俺、和田洋平(わだようへい)は都内の高校に通う2年生だ。

俺を含め、クラスメイトは確か数分前まで学校で数学の授業を受けていたはずだが・・・


気づいたら宮殿?の巨大な部屋の中にいた。それも数学の教師含めクラス全員だ。


「・・・」

「えっと、ここどこ?」

「まっ、まさかの異世界召喚?」

「マジか!じゃあ、俺たち勇者か!」

「そんな・・・今日彼氏とデートなのに・・・」


まったく、こいつらときたら・・・緊張感のかけらもない。

アニメにラノベの見過ぎだっつーの。大体、そういう物語って、召喚されたやつはろくな人生送ってないだろ・・・


とはいえ、これは俺にとっても一大事だ。

俺は緊張しながら今後の展開を待った。



しばらくすると、部屋の扉が開き、貴族風の恰好をした男女が部屋に入ってきた。


「ようこそおいで下さいました。異世界の勇者たちよ。」


俺は頭痛がした。

まさか本当にテンプレ通りの展開になるとは・・・


じゃあ、次の展開は「あなた達には特殊な力がある!魔王を倒して!」てか?


というわけで、俺は連中の真ん中に立つ王女様風(まぁ、実際王女様なんだろ)の女性の言葉を待った。


それにしても可愛い。


幼さの残る顔に金髪の巻き髪。そんでもって巨乳ちゃんときたもんだ。Fカップはあるだろうか。


ゴクリ・・・


おそらく、クラスのほかの男共も同じことを考えているのだろう。


「美人だ・・・」

「マジ可愛い・・・」

「将来の俺の嫁・・・」


なんてことをつぶやいている。


そんでもって、まぁ、当たり前かもだが、女子はそれを冷めた目で見ている。

そりゃ面白くないよな。


出てきたのが美男子の王子様なら対応は逆転していたんだろうけど。



王女様はおっしゃる。


「あなた達には特殊な力を授かる器があります!どうか、その力を使って魔王を倒し、この世界に平和をもたらしてください!」


なんかちょっと思ってたのと違うけど、キター(棒読み)

まぁ、テンプレどおりだな。


で、次は質問タイム。


イケメンにしてクラス委員長の相川翔(あいかわしょう)(男)が色々と質問したり、可愛いランキングで学年一位かつ生徒会長の飯田有栖(いいだありす)(女)がこの世界のことについて質問したり。


かいつまんで言うと、この世界はこんな感じ。


・文明レベルは近世手前の中世。

・剣と魔法の世界。魔力至上主義。

・なんと、スキルというものが存在する。

・国の名前はロマンス王国。

・異世界から転生されてきた奴はその過程で高い魔力を得る。

・1日は24時間。太陽あり月あり(まんま、地球じゃねーか)。

・魔王を倒せば元の世界に戻れる(かもしれない)


そして、みんな盛り上がる。「よし!魔王を倒して地球に戻ろう!」

はぁ・・・単純だね・・・そんなのうまくいく話、アニメやラノベでもなかなかないじゃん。


で、次は勇者スキルの授与 ← 今ココ


「では、一列に並んでください。この水晶に触れればスキルが授与されます。」


「よし、ここは名簿順になろう。」


と、相川が仕切る。まぁ、クラス委員長だからな。


ということで、俺は一番最後だ。テンプレ通りのスキル授与だが、さすがにここは緊張する。

このスキル獲得で外れを引くとマジでこの後が大変だ。

別にすごいスキルじゃなくてもいい。だけど、あまりにへぼいのはやめて!

・・・でも、できればすごいスキル カモン!!!!


で、スキルを獲得した奴らが次々と声を上げる。


「剣術系のスキル・・・微妙すぎる」


いや、金山(男)・・剣道部のお前にはピッタリじゃないか。

しかも、ただの剣術スキルじゃあない。スキル名は『飛燕(ひえん)』という斬撃を飛ばすもの。

剣士という近接職でありながら遠距離もできるとか、いいじゃないの。


「私、千里眼とかいうやつなんだけど・・・」

花田(女)・・・牛乳ビンの底みたいな分厚い眼鏡かけてるお前が千里眼とか・・・

名前の通り遠くのものを見たり動体視力が上がったりするスキルだ。なんと数キロ先のものもはっきり見えるとか。

ということは、その眼鏡とおさらばできるな。よかったじゃないか、花田。


「この、『英霊降誕』というのは?」

相川のつぶやきに王国の面々が「オォ」と感嘆の声を漏らす。

「それは、過去の英霊を身に宿せる破格のスキルです!あぁ、あなたが真の勇者様ですね!」

もうね、お姫様の目がキラキラ。周りの貴族っぽい連中もまるで神をあがめるかの如くだ。


クラスの女子も熱を帯びた歓声を上げる。


「さすが相川キュン・・・」

「顔もいいし、強そうだし・・・もう抱かれてもいいかも・・・」

「今のうちにツバつけとかなきゃ」


とまぁ、こんな感じ。まぁ、これもテンプレ。こうなるだろうことはある程度わかっていた。

振り返って俺はというと、中肉中背の目立たない男だ。クラスの隅に転がっているような、そんな存在。

まぁ、自分のクラスでの立場はよくわかっているからな。別に妬みもない。


というわけで、俺の番が回ってきた。

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