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第9話 継承

宿に着いた。これから鬼麻纏流の全てを伝授するとのことだったが、一体何をするのだろうか。



「夕日、とりあえずその椅子に座れ」



夕日はシャルネアに言われた通り近くにあった椅子に座る。すると、シャルネアは、夕日の頭に手をのせる。



「シャルネア?」

「いくぞ夕日」



(いくって何を・・・)

シャルネアの手が光り始める。シャルネアの手の甲には幾何学模様が浮かんでいた。



「っつ!?」



(なんだこれ!?何かが頭に入ってくる。・・・これは記憶?)

夕日の頭に入ってきたのはシャルネアの記憶だった。しかも、戦闘の記憶だけ。



「うっ!!」



いきなり頭の中に大量の記憶が入ってきたため頭が鈍器で殴られたような痛みを覚える。



「すまん。痛いだろうが今は耐えてくれ。今私がやったのは鬼麻纏流の特別な継承儀式。普通の継承儀式と違い継承儀式を行うものの記憶が継承者に引き継がれる。その際、継承者に頭痛が生じるが、少しすると痛みはひくとのことだから安心しろ」

「いや、安心できねぇよ!!らしいってなんだよらしいって」



大きな声を発したことにより頭に再度痛みが走る。頭を抱えなんとか痛みに耐える。



「仕方ないだろこの儀式をするのは初めてなんだ。いや、私だけじゃなく今までで一度もないんじゃないか?普通、自分の寿命削ってまで継承するやつなんかいないだろう」

「ああ、そうだな。普通はな」



このままでは



「これで、俺に鬼麻纏流の全ては引き継がれたのか?」

「ああ、多分な」



またしても憶測に過ぎない返しに夕日は引っかかったが黙って聞き流した。夕日は引き継がれてなければそれでいい。引き継がれてればラッキーくらいの気持ちでいた。少しするとシャルネアの言った通り、頭痛はなくなっていた。シャルネアの言ったことが本当だったのなら、引き継ぎもされているはず。

(それにしても今ので完了とは・・・。そういえば寿命が縮むって話だったな。これで俺は3年ほどしか生きられない。でもいい)

夕日はこの体で3年も生きている意味はないのだから。



「おそらく引き継ぎは成功しただろう。鬼麻纏流の全てを引き継いだのはいいが、体ができていないと話しにならない。よって、今から体作りをしてもらう」



そう言いシャルネアは、ダンベルのようなものを俺に渡してくる。



「これなんだ?」

「これはダンベルっていうものだ。使い方は」

「やっぱりダンベルか」



俺はシャルネアからダンベルをとり、使ってみる



「使い方わかるか?」

「ああ、あっちの世界にもあったからな。ほらこうやって・・・痛っっったーーーーーー!!」




ダンベルを使用した直後、全身の骨が砕け筋肉がちぎれた。夕日は全身を襲う痛みに絶叫する。だが、すぐに痛みはなくなった。



「あれ?」



(なんで痛みがなくなったんだ?)

夕日はいきなり痛みがなくなったことに驚いていた。それと同時に体が強くなったような感覚を覚えた。



「そのダンベルはな、元々師匠の物なんだ。ある時、要らないからと言われ貰ったんだ。それでそのダンベルの効果は、使った者に負荷を与え即座に回復させ鍛えるという物だ」



(負荷を与える限度を間違ってない?人の骨を砕いて筋肉を断つほどの負荷をかけたらだめでしょ!!・・・これを渡したってことは、本来の使い方と同じことをしろ、と?)



「それじゃあ、夕日。それを使って体が壊れないようになるまで鍛えろ。そうすれば鬼麻纏流の技を使えるようになる」



(ですよねー。でも、痛いのわかっててやるやつなんていないだろ)

夕日はそのダンベルを使う気にはなれなかった。



「ほら、さっさとやる」



だが、シャルネアの逆らえないオーラにあてられ体が勝手に動いてしまう。

(やめろーーーー!!俺の右手ーーーー!!)

ゆっくりと右手は上がっていき、ボキボキと砕ける音とパチンっと切れる事が同時に何箇所から聞こえる。



「はい、1回目」

「痛っ・・・たくない」

「次、2回目」

「痛っ・・・たくない」



それから痛みとシャルネアの圧に耐え何回も何回も続けた。



「はい、これでラスト1027回目」

「・・・」



1027回目にしてようやく体が負荷に耐えられるようになった。

(それにしてもキツかった)

体力的にというよりは精神的な方のキツさがあった。体は壊れなくなった。が、体型は何も変わっていない。夕日はムキムキになるのを想像していたがどうやらそんなことはないらしい。



「ふう、疲れた」

「よし。それじゃあ、今日はここまでにしよう。流石に疲れただろう」



筋トレと言うなの自傷行為を開始したのは時刻にして11時くらい。それから7時間くらいずっと筋トレをしていた。さっきも言った通り夕日は疲れている。なので、夕日はもう寝ることにした。布団に入り目を閉じる。体力的にも精神的にも疲れた夕日の体はすぐに睡魔に襲われ、数秒で寝息をたて始めた。

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