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電気じかけのサクランボ

あいすきゃんでぇの男

 ギラギラと太陽が照りつける灼熱の夏。蝉の声が鳴り響く人通りの少ない田舎道に洒落た者がやって来た。

 そこにおさげをした小娘が、ぽつんと立ち尽くしていた――六歳くらいの小娘で鼻水をたらしながら指をチューチューしゃぶっていた。

「おじょうちゃん、今日は暑いね」と洒落た者は、なれなれしい口をきいた。
「……うん」
「かわい子ちゃん! あいすきゃんでぇ好きかい?」

 小娘は無言のままそっぽを向いた。

「べっぴんちゃん! おてんばちゃん! これをみてごらんなさい――あいすきゃんでぇだよ。ちべたぁ~く冷えた、あいすきゃんでぇあげるよ」と洒落た者はあいすきゃんでぇを片手に猫なで声をあげた。「そぉ~だぁ~あじのあいすきゃんでぇ。おいしそぉ~だぁ~ろう?」

「……しらないひとから……ものをもらっちゃいけないって……ママが……いってたもん……」と小娘が言って、なぜか赤くなった。

「ねえ、どうして赤くなるんだい? おやおや! 取って食いやしないよ……」そして洒落者はその場にしゃがみこんで手を叩いた。「さあ、おいでおいで! おじょうちゃん! こっちにおいで!」にっこりと微笑んだ。

「おやおや! なんでもないさ! きれい子ちゃん! さあ、おじさんのあいすきゃんでぇをうけとってごらんなさい!」

 小娘がおそるおそる、震える手であいすきゃんでぇを受け取った。

「うぶなんだな!」と、洒落た者は決めて、小娘の頭をなでなでした。

 つぎの瞬間だった。

「現行犯で逮捕する!」警察官が叫んだ。「まったく懲りないやつだ」

 警察官は洒落た者に手錠をかけた。

「おじょうちゃん! この男は危険だから離れなさい」
「おまわりさん! あたしはなにも悪いことしてないですよ……ただ、そのおじょうちゃんにあいすきゃんでぇを――」
「黙れっ! この幼女連続誘拐犯が!!」警察官は警棒で思いっきり洒落た者の禿げた頭と醜い顔をボカッボカッと容赦なく殴りつけた。眼鏡のレンズは粉々になった。「話はゆっくりと署で聞こうじゃないか」

 警察官はうめき声をあげる洒落た者をパトロールカーに乗せた。

 青と赤が混ざり合い紫がかったあいすきゃんでぇを少女はおいしそうにチューチューしゃぶりはじめた。


 少女はにやりと笑った。






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