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はじまりのハジマリ

謎の美女ガイラ選ばれた主人公、村瀬喜助とその悪友、宇都宮翔児はいきなり海に蹴り飛ばされる。しかしその先はスマホの繋がらない異世界で能力も底上げされてる!?しかも男と二人で転移!?普通、美少女ととか孤独転移でしょ!?


そんな普通の転移とは若干ズレたユルユル異世界転移物語。頑張れ喜助!おそらく一番厄介なのは宇都宮だけどね♪

 気が付くと大きなクレーターの中心にいた。まず人生でクレーターの中心に行く経験もなかなか無いと思うが、さらに気が付くとクレーターの中心にいた人なんて世界中を探しても俺ぐらいだと思う。当然、今気が付いたのだから知らない場所である。

 よくわからない状況でよくわからない場所にいるためか、精神的負担が大きく足腰に力が入らなくなりその場でヘタリ込んだ瞬間、

「ウグッ」

 聞いたことのある声が聞こえたため下を向くとそこには見慣れた奴が健やかな顔をして寝ていた。悪友の『宇都宮翔児ウツノミヤショウジ』である。俺がこんなにオドオドして状況を把握しようと頭をフル回転させているのにコイツは気持ち良さそうに寝ている。顔を何発か平手打ちを食らわしても起きる気配がない。イライラしてきたため腹いせにウツ(宇都宮のアダ名)の上に座って状況整理を再開させた。


 まず、俺達がここに来る前の記憶は確か旅行をしていたはずだ。俺達二人は良くつるんでいたため、大学生最後の思い出作りで宛の無い車旅をしてしていた。

『普通彼女とするでしょ?』とか『ゲイなの?』というツッコミは無しの方向で。ちなみにゲイではない。

 車中泊をしたり旨い飯や大きな風呂に入ったりと最高に楽しい旅行をしていたはずだった。・・・のだが、ある日海でビールを呑みながらテトラポットに座ってしゃべっていると怪しげな美女が話しかけてきた。確かガイラと名乗っていたハズだ。そのガイラが『そなた達には資格がある』だの『世界の刺激因子になってほしい』だの頭のおかしな事を言っていた気がする。宗教の勧誘かなにかと思い適当にあしらっていたら後ろから蹴り飛ばされて海に落ちたハズだ。

 その後の記憶がないため頭のおかしな美女に蹴り落とされた事が原因と思われる。それ以外は思い出せないため次はスマホで色々とググってみようと画面を見ると圏外であった。フリーWi-Fiも感知できない。

「ここまじでどこだよ」

 困惑と絶望と一握りの期待が入り交じった表情で愚痴を言っているとウツがケツの下でモゾモゾと動きながら苦しそうな顔をしている。一人で考えることが嫌になりもう一度起こそうと体を揺すっていると、

「今日もメグちゃん超かわいい」

 とウツが言い出した。起きているのかとマジマジ見ているとただの寝言ようだったため俺の怒りが最高潮に達した。

「リア充爆ぜよ!!彼女の夢なんか見てんじゃねーよ!!」

ウツのケツを力の限り蹴っ飛ばすとウツが目を疑うほど飛んでいった。それはもうサッカーボールのように。

ハッ!と我に返った俺は原因が不明だが流石にマズイと感じて飛んでいった方角に走って行くとウツが起きていた。


「今、僕は空から降ってきたのかも!?」


ウツの話によると、気がついたときは空でその瞬間落下が始まったそうだ。俺が原因なんだが、さて何から話そうか。

「ウツ、ガイラって女覚えてる??」

「ん?あぁ、あの嘘臭さと無駄に魅力的な人ね。突然蹴られて海に落ちたよな。というかいきなり後ろから蹴るとか頭がイッテる人かもね。で、覚えてるけどなに?」

やはりガイラって女は俺の夢ではないか。

「俺達海に落とされたのに何でこんな陸に居るんだろうなぁと思ってね」

「本当だ!?確かにあれは海だったはずだ。天気が良すぎで干からびちゃったかな♪」

「バカな事言ってるんじゃないよ。それにスマホ見てくれ。おそらく俺と同じ状況だからさ。」

するとウツはポケットからスマホを出して色々試しているようだ。数分後悲しそうな顔で口を開いた。

「どうしようスケ!!来期のアニメ情報が調べられない!!」

こんな返答が来ることを予想していたがやはりウツはバカだった。ちなみにスケとは俺のアダ名で『村瀬喜助ムラセキスケ』コイツは俺をそう呼ぶのである。ウツはこんな事を言っているが俺達は世間から一流大学と呼ばれている大学生でしかもコイツは主席である。こんなバカな事を良く口にするが記憶力はかなり優れ、頭の回転も早いため何気に頼りになる。


「ウツ、何かおかしくないか?実はお前が目覚める前は向こうにあるクレーターの中で俺達は目が覚めたんだ。」

「えっ!?そうなの?空から落ちてきたんじゃないの??」

「いや、気にするところそこじゃなくてさ。」

苦笑いをしながらウツを見るとスッと真面目な顔つきになった。

「まぁ、スケの言いたいことは大体わかるよ。記憶のギャップが激しすぎるし、スマホも繋がらない。何より海にいた時に見えていた金星が今は無い。」

金星まで見てたのか、確か昼間でもある程度晴れて方角もわかっていれば金星の認識はそれほど難しくないらしい。あいかわらずな観察力で恐いな。しかし、不確定要素ばかり増えて精神的に過度のストレスがのしかかり胃がムカムカしているときにズボンのポケットに変化が起きた。


ブルブルブルッ!


二人のスマホが急に鳴り出し、画面には『非通知』とだけ書いてある。つい先程までは圏外だったハズだが?と考えているとウツも同じように感じたらしく目があった。とりあえず出てみるか?とアイコンタクトをすると、


「もしもし。聞こえますか選ばれし者達?」


・・・頭のおかしな美女ガイラの声じゃねーか。

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